【過去問演習No.116-120】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.116】

コンクリートの打ち込み・締め固めの施工計画に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コールドジョイントを防止するための打重ね時間間隔の限度は,一般にコンクリートの凝結の始発時間とされている。
(2)一般に,型枠振動機は棒形振動機よりも締め固め効果が大きい。
(3)打重ね時間間隔の限度は,外気温か高いほど短くなる。
(4)打ち込み時のコンクリート温度が30℃と予想されたので,打重ね時間間隔が90分以内になるように計画した。
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正解は(1)と(2)

【解説】
(1)×誤り。コりレドジョイントを防止するため,打重ねは,コンクリートが振動を受けて流動化し,新旧のコンクリートが一体化可能な時間以内になされなければなりません。先に打設されたコンクリートの凝結開始以前に確実に打重ねるため余裕をもった設定が必要です。
(2)×誤り。振動機によるコンクリートの締め固めは,コンクリートに振動を与え,コンクリートの流動性を高め,コンクリート中に残った空隙あるいは巻き込まれた空気等を排除し,密実にするために行います。棒形振動機はコンクリート断面内部に効果のある範囲を想定して隙間がないように直接振動を加えるのに対し,型枠振動機はコンクリート断面に表面から振動を加えるものであり,その効果は型枠からの距離に反比例します。
(3)○正しい。一般に,化学反応は雰囲気温度が高くなるに従い速くなります。したがって,気温が高いときは打重ね時間間隔を短くしなければなりません。
(4)○正しい。同一部材の同一打設区画のコンクリートを,同一打設日に時間をおいて打ち足すことをコンクリート打重ね,と称します。コンクリートの打重ね時間間隔の上限は,打ち込み時のコンクリート温度により制限値が設けられており,これをこえた時間を経過した後コンクリートを打重ねると,コンクリートを一体化しにくくなります。このため,25℃を境に,こえる場合は120分を上限,未満の場合は150分を上限としています。

【No.117】

コンクリートの打ち込み・締め固めの施工計画に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートをポンプ圧送すると,スランプは増大する傾向にある。
(2)コンクリートの品質を確保するためにはコンクリートバケット工法が適しているが,施工における作業効率は一般にコンクリートポンプ工法の方が高い。
(3)打ち継ぎ目は,できるだけせん断力の小さい位置に,部材の圧縮力を受ける方向と直角に設ける。
(4)スランプが6.5cmの舗装コンクリートの運搬に,ダンプトラックを用いた。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。コンクリートをポンプ圧送すると、繰り返しの応力変化およびせん断力によって、スランプは低下するのが一般的な傾向です。
(2)○正しい。コンクリートバケットによる運搬は,材料分離のおそれがなくコンクリート運搬に敵した方法ですが,コンクリートポンプによる圧送に比べて作業効率が低いです。したがって,記述は正しいです。
(3)○正しい。コンクリート部材の鉄筋とコンクリートの応力分担を考慮し,せん断力を多く受けもつコンクリートはせん断力の大きな位置に打ち継ぎ目を設けてはなりません。また圧縮力の作用方向と直角に打ち継ぎを設ければ,打ち継ぎ部分で滑べることはありません。したがって,記述は正しいです。
(4)×誤り。土木学会示方書では,スランプ5cm以下の舗装コンクリートに限り,かつ運搬時間1時間以内の場合に限りダンプトラックでの運搬を可能としています。したがって,記述は誤りです。

【No.118】

コンクリートの養生に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)湿潤養生は,コンクリートの表面が散水しても荒れない程度に硬化した後に,なるべく早く開始するのがよい。
(2)養生温度が高いと,初期の強度は高くなるが,長期の強度の伸びは小さくなる。
(3)湿潤養生期間が長いほど,コンクリートの水密性は高くなる。
(4)膜養生とは,コンクリートの表面に透水性のシートを設置し,その上から散水する養生方法である。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。コンクリートから水分が失われると硬化に支障を来すほか,水分が抜けた微細な経路は後に収縮の原因となったり異物の侵入路となります。このため,湿潤養生はできる限り早めに始めるのがよいです。水平面の場合,日射,風等により水分が急速に失われることがあるため,表面が散水しても荒れない程度に硬化したら湿潤養生を開始するのがよいです。
(2)○正しい。養生温度が高いと,セメントの水和反応が急激に進み初期の強度発現は高くなります。しかしその後の水和は緩慢となり,長期の強度の伸びは小さくなります。
(3)○正しい。コンクリートの水密性は硬化組織の緻密性により左右されます。長期間湿潤養生を行うと水和反応が長期にわたって進行し,コンクリートの組織は緻密になり水密性は高くなります。
(4)×誤り。膜養生とは通常,コンクリートの表面に遮水性の膜を形成する薬剤を散布することにより,コンクリート表面からの水分の逸散を防ぐ養生方法です。

【No.119】

コンクリートの養生に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)養生温度が低いと,コンクリートの長期的な強度の増進は小さくなる。
(2)湿潤養生期間を長くすると,コンクリートの水密性は向上する。
(3)高炉セメントB種を用いたコンクリートの湿潤養生期間は,普通ポルトランドセメントを用いた場合より短くできる。
(4)湿潤養生を打ち切り,気中に置いたコンクリートの強度は,湿潤状態を継続した場合より長期的に増進する。
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正解は(2)

【解説】
(1)×誤り。養生温度が低い場合,コンクリートの初期強度は低くなりますが長期的な強度の増進は阻害されることはなく,長期強度が低くなることはありません。
(2)○正しい。湿潤養生期間を長くすると,コンクリートの水和が進み硬化組織が緻密化します。このため物性一般が向上し,強度や水密性が向上します。
(3)×誤り。高炉セメントB種は,セメントクリンカーの一部を高炉スラグ微粉末で置換したセメントです。高炉スラグ微粉末はセメント水和物のアルカリに反応し,強度を発現するため,高炉セメントを用いたコンクリートは普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートに比べ強度の発現は遅くなります。このため,湿潤養生期間は,普通ポルトランドセメントを用いた場合に比べ長くしなければなりません。
(4)×誤り。コンクリートは,セメントの水和反応により強度が発現します。湿潤養生を打ち切ると,水和反応は徐々に停止します。一方,湿潤状態を継続した場合,水和反応は継続することとなります。水和反応が長期的に増進します。

【No.120】

コンクリートの表面仕上げに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートの表面仕上げは,外観を美しくするほか,耐久性および水密性を増すために行う。
(2)コンクリートの表面仕上げは,ブリーディング水があるうちに終了するのがよい。
(3)金ごて仕上げを何度も繰り返して行うと,表面にセメントペーストが集まりすぎ,収縮ひび割れの原因となる。
(4)沈みひび割れは,コンクリートが固まり始める前にタンピングして取り除くのがよい。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。打設したまま放置すると,コンクリートの表面はブリーディングによる水分とそれに伴われる微粒分が表面(上面)に上昇します。水分は時間の経過とともに蒸発し,微粒分の多い層が表面(上面)に形成されます。この層は微粒分のためひび割れが発生しやすく,耐久性の低下につながる。このため,表面(上面)に微粒分の多い層をつくらぬように仕上を行います。もちろん仕上により表面の外観は美しくなります。
(2)×誤り。コンクリートの表面仕上げは,上記のように,表面に微粒分の多い層ができるのを阻止するために行うものです。したがって,プリーディング水があるうちに終了してしまうと,その後のブリーディング水により微粒分が運ばれ,微粒分の多い層が形成されることになります。
(3)○正しい。金ごて仕上げは,表面に残った骨材を沈め,コンクリート表面にセメント量の多いペーストによる層を形成して,美観および耐久性の高い,つまり気体や液体などの異物を通しにくい層を形成するために行うものです。これを過度に何度も繰り返し行うと,表面にセメントペーストが集まりすぎ,収縮ひび割れの原因となります。
(4)○正しい。コンクリート表面にブリーディング水が上昇する際,相対的に骨材や粉体は沈降します。沈みひび割れは,この沈降を鉄筋等が阻害するため,コンクリート表面では主に鉄筋の上面に沿って発生します。このひび割れをなくすには,コンクリートが固まり始める前に,タンピングによりひび割れを閉じさせるようにするのがよいです。
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