【過去問演習(3)No.136-140_施工】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.136】

流動化コンクリートに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)流動化コンクリートに関して,流動化によるスランプの増加量は,10cm以下となるように計画する。
(2)流動化コンクリートに関して,細骨材率は,ベースコンクリートと同じスランプの一般のコンクリートより小さくする。
(3)流動化コンクリートに関して,流動化したコンクリートのスランプの経時変化は,同一スランプの一般のコンクリートの場合より大きくなる。
(4)流動化コンクリートに関して,流動化したコンクリートの圧縮強度は,ベースコンクリートと同程度である。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。ベースコンクリートからのスランプの増加量が過大であると材料分離などが生じやすくなるため,流動化剤添加によるスランプの増加量は10cm以下が原則とされています。
(2)×誤り。流動化コンクリートは,セメントペースト量が少なく細骨材率の小さい,硬練りのベースコンクリートを流動化させたものであるため,流動化させる前のベースコンクリートの細骨材率は,流動化後に材料分離が生じないように高めにしておくのがよいです。一般には,流動化コンクリートに用いるベースコンクリートは,流動化後のスランプと同じスランプの一般のコンクリートの細骨材率を使用します。
(3)○正しい。流動化コンクリートは,通常のAE減水剤を用いたコンクリートに比べて,混和剤添加後からのスランプの経時的な低下が大きいです。そのため,流動化コンクリートは流動化後,20~30分以内に打ち込みを完了させるのが望ましいです。
(4)○正しい。流動化コンクリートの圧縮強度は,空気量がほぼ同じであれば,ベースコンクリートの圧縮強度と同程度です。

【No.137】

一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴として,単位粗骨材量は少ない。
(2)一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴として,圧送時の圧力損失は小さい。
(3)一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴として,ブリーディング量は多い。
(4)一般のコンクリートと比較した,高流動コンクリートの特徴として,凝結時間は短い。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。高流動コンクリートの配合設計では,構造物の形状,寸法,配筋状態を考慮して自己充てんレベルを設定し,「充てん装置を用いた間げき通過性試験」により適切な範囲の単位粗骨材量を設定します。通常は,所定の間げき通過性を確保するために,一般のコンクリートより単位粗骨材量を小さくします。
(2)×誤り。高流動コンクリートは塑性粘度が大きいため,コンクリートポンプ圧送時の負荷は,一般のコンクリートに比べて大きくなります。とくに粉体系は単位結合材量が多くなるほど,圧送負荷が増加します。
(3)×誤り。高流動コンクリートは材料分離抵抗性を損なうことなく,流動性を著しく高めたコンクリートであり,通常のコンクリートよりも粉体量が大きくなることから,フリーディング量は小さくなります。
(4)×誤り。高流動コンクリートは,単位水量を過大にせずに流動性を向上させるために,高性能AE減水剤等を使用します。高性能AE減水剤はコンクリートの凝結を遅延させる効果があるため,凝結時間は長くなります。

【No.138】

スランプ12cmのベースコンクリートをスランプ18cmに流動化する場合に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)スランプ12cmのベースコンクリートをスランプ18cmに流動化する場合,ベースコンクリートを工事現場に運搬し,トラックアジテータ内のコンクリートに流動化剤を添加して撹拌する計画とした。
(2)スランプ12cmのベースコンクリートをスランプ18cmに流動化する場合,細骨材率は,スランプ12cmの一般のコンクリートと同じとした。
(3)スランプ12cmのベースコンクリートをスランプ18cmに流動化する場合,流動化剤の使用量は,コンクリートの温度によって変化させた。
(4)スランプ12cmのベースコンクリートをスランプ18cmに流動化する場合,流動化後の圧縮強度は,ベースコンクリートの圧縮強度と同等であるとみなして発注した。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。流動化剤は,練り混ぜ水と同時に添加するよりも,練り混ぜ水の添加から遅れて添加するほうが効果は大きいです。通常は,ベースコンクリートを現場に運搬し,現場にて流動化剤を添加して撹拌する方法が用いられます。
(2)×誤り。流動化コンクリートは,セメントペースト量の少ない,硬練りのベースコンクリートを流動化させたものであるため,一般のスランプ18cmのコンクリートに比べて,材料分離を起しやすくなります。そのため,流動化コンクリートに用いるベースコンクリートは,流動化後のスランプと同じスランプの,一般のコンクリートの細骨材率を使用するのがよいです。
(3)○正しい。スランプの増大量が同じ場合の流動化剤の使用量は,5~30℃のコンクリート温度の範囲では,温度が高いほうが,やや少なくて済むことが多く,コンクリートの温度に応じて変化させるのがよいです。ただし,流動化後のスランプの経時的な低下量は,温度が高いほど大きいです。
(4)○正しい。流動化コンクリートの圧縮強度は,空気量がほぼ同じであれば,ベースコンクリートの圧縮強度と同程度です。

【No.139】

水中コンクリートに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)一般の水中コンクリートの水中落下高さを,1m以下として打ち込んだ。
(2)地下連続壁(地中壁)に用いる,水中コンクリートの水セメント比を,60%とした。
(3)地下連続壁(地中壁)に用いる,水中コンクリートのスランプを,21cmとした。
(4)水中不分離性コンクリートの圧送負荷を,一般のコンクリートの1/2~1/3として計画した。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。一般の水中コンクリートでは,コンクリートを水中で落下させないように,先に打ち込んだコンクリート中に,トレミーもしくはポンプの配管の筒先を,30~50cm程度挿入して打ち込むのが原則です。
(2)×誤り。地下連続壁(地中壁)に用いる水中コンクリートの強度は,水中打設に伴うセメントの流失や,安定液の混入等により,同じ配合で気中施工した場合よりも低下します。そのため,コンクリート標準示方書,ならびにJASS5では,水セメント比は55%以下にすることを規定しています。
(3)○正しい。水中コンクリートは締め固めが困難であるため,一般のコンクリートよりもスランプを大きくする必要があります。地中連続壁(地中壁)に用いる水中コンクリートに対しては,コンクリート標準示方書では,15~21cmの範囲を,標準JASS5では,調合管理強度が33N/mm2未満の場合は21cm以下,33N/mm2以上の場合は,23cm以下としています。
(4)×誤り。水中不分離性コンクリートは,流動性は大きいですが,粘性を著しく高めたコンクリートであるため,コンクリートポンプによる圧送負荷は,通常のコンクリートの2~3倍程度となります。

【No.140】

一般のコンクリートと比較した場合の水中不分離性コンクリートの特徴に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)一般のコンクリートと比較した場合の,水中不分離性コンクリートの特徴として,単位水量が大きい。
(2)一般のコンクリートと比較した場合の,水中不分離性コンクリートの特徴として,ブリーディング量が大きい。
(3)一般のコンクリートと比較した場合の,水中不分離性コンクリートの特徴として,凝結時間が長い。
(4)一般のコンクリートと比較した場合の,水中不分離性コンクリートの特徴として,ポンプ圧送負荷が大きい。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。水中不分離性コンクリートは,水中で,高い充填性や,セルフレベリング性を発揮させる必要があるため,通常のコンクリートよりも,単位水量は大きくなります。一般に,スランプフロー50cm前後で,単位水量は210~230kg/m3程度です。
(2)×誤り。水中不分離性コンクリートは,水中不分離性混和剤の混和により,ある程度の流水条件下にて水中落下させても分離しにくいなど,材料分離抵抗性を著しく高めた水中コンクリートであるため,ブリーディングはほとんど生じません。
(3)○正しい。水中不分離性コンクリートは,水中不分離性混和剤の混和の影響によって,通常のコンクリートに比べて凝結が遅延する傾向を示します。
(4)○正しい。水中不分離性コンクリートは,流動性は大きいですが,粘性を著しく高めたコンクリートであるため,コンクリートポンプで圧送する場合の圧送負荷は,通常のコンクリートの2~3倍程度となります。
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