【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.62)各種補修

コンクリート診断士 問題と解説Vol.62

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問306_火害の補修】

 火害を受けたコンクリート構造物の対策に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)RC床版のコンクリート表面の受熱温度は300℃程度で、コンクリート表面にすすが付着していたので、すすを除去した。
(2)RC桁のコンクリート表面に、数mmの幅のひび割れが発生し、鉄筋の一部が露出していたので、かぶりコンクリートの打換えと併せて鋼板接着補強を行った。
(3)PC桁の災害縁(最下縁)に配置されているPC鋼材の受熱温度は450℃程度で、かぶりコンクリートの一部が爆裂していたので、かぶりコンクリートの脆弱部を打ち換えた。
(4)RC柱の主鉄筋が数mわたって露出し、主鉄筋の内側のコンクリートが脆弱化していたので、そのRC柱を撤去し、更新した。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。受熱温度は300℃程度以下の場合、鉄筋およびコンクリートは構造耐力上、火災の影響を受けていないと判断できます。
(2)問題のとおりです。幅が数mmの大きなひび割れが生じている場合、断面修復します。
(3)誤りです。PC鋼材は400℃を超える加熱を受けると、機械的な性質が低下するため、かぶりコンクリートの打ち換えだけでなく、PC鋼材の交換等を考慮しなければなりません。
(4)問題のとおりです。鉄筋が火災によって直接受熱し、内部のコンクリートまで脆弱化しているため、断面補修ではなく、撤去し更新をします。

【問307_補修】

 各種補修工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)ひび割れからの塩化物イオンの浸透を抑制する目的で、弾力性のある被覆材を用いた表面塗布工法を適用した。
(2)中性化の進行を抑制する目的で、アルカリ性付与などの含浸材を用いた含浸材塗布工法を適用した。
(3)中性化した内部コンクリートのアルカリ性を回復させる目的で、塗膜防水材を用いた表面被覆工法を適用した。
(4)はく落したコンクリートの欠損断面を修復する目的で、ポリマーセメントモルタルを用いた断面修復工法を適用した。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。ひび割れに追従するように、弾力性のある被覆材を用います。
(2)問題のとおりです。中性化の進行を抑制する目的で、アルカリ性付与などの含浸材を用いた含浸材塗布工法を適用します。
(3)誤りです。塗膜防水材を用いた表面被覆工法では、アルカリ性を回復させることはできません。
(4)問題のとおりです。はく落したコンクリートの欠損断面を修復する目的で、ポリマーセメントモルタルを用いた断面修復工法を適用します。

【問308_補修】

 コンクリート構造物の補修に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)ひび割れ幅が0.4mmで挙動の小さいひび割れなので、可とう性エポキシ樹脂を注入した。
(2)ひび割れが深いので、硬化速度の速いエポキシ樹脂を注入した。
(3)下地処理を省略したいので、表面被覆材の塗布回数を多くした。
(4)電気防食をするため、外部電極を設置する前にエポキシ樹脂系表面被覆材を塗布した。
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正解(1)

(1)問題のとおりです。挙動のあるひび割れには、可とう性のエポキシ樹脂を用いて補修します。また、ひび割れ幅が0.4mmと小さいため、注入工法を採用します。
(2)誤りです。ひび割れが深い場合、硬化速度の速いエポキシ樹脂を用いて注入すると、深部まで十分に注入されずに硬化してしまう可能性が高くなります。
(3)誤りです。下地処理は、コンクリート下地と被覆材の付着性を向上させるために行います。塗布回数を多くしても、下地との付着は良くなりません。
(4)誤りです。電気防食工法は、コンクリート表面に陽極材を設置し、かぶりコンクリートを介して、コンクリート中の鋼材に直流電流を流すことにより、鋼材をカソード分極させて防食する工法です。エポキシ樹脂は絶縁体となるため、不適当です。

【問309_補修】

 コンクリート構造物の変状と対策に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)沿岸部にある道路橋コンクリート製壁式高欄に、さび汁を伴った鉛直方向のひび割れが発生したので、鉄筋の裏側までコンクリートを除去し、鉄筋の防せい後に断面修復と表面被覆を行った。
(2)工場地帯にある建物の庇(ひさし)下部にひび割れに沿ってつらら状の析出物が発生していたので、析出物を除去して防水処理を行った。
(3)寒冷地にある道路橋の鉄筋コンクリート製T型橋脚張出し部の端部に、鉄筋までのひび割れ深さ20mm程度の脆弱部分が認められたので、その上に表面被覆を行った。
(4)温泉地帯にある道路橋の鉄筋コンクリート製橋脚の基部において、地盤との境界部が劣化していたので劣化部分を除去し、鉄筋の防せい後に断面修復と表面被覆を行った。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。沿岸部であることから、塩害の可能性が高くなります。さび汁を伴ったひび割れが発生しているため、鉄筋の防せい処理、断面修復、劣化因子の塩化物イオンの侵入を防ぐための表面被覆が適しています。
(2)問題のとおりです。つらら状の析出物は、エフロレッセンスであると推定します。エフロレッセンス自体は品質上の問題は無いため、除去したうえで、水酸化カルシウムが水に溶出しないように、防水処理を行います。
(3)誤りです。寒冷地の道路橋では、塩害と凍害による複合劣化の可能性が高くなります。脆弱部分ははつり取り、塩害による鉄筋の腐食を防止するため、鉄筋を防せい処理し、断面修復を行います。
(4)問題のとおりです。温泉地帯の地盤には、土壌中に含まれる硫酸塩がコンクリートの劣化原因となる場合があります。硫酸塩による劣化は、硫酸ナトリウムなどの硫酸塩水溶液がコンクリートの内部に侵入し、コンクリート内部の水酸化カルシウムと反応して二水せっこうを生成し、さらに、セメント中のアルミン酸三カルシウムと反応してエトリンガイトを生成し膨張を引き起こします。酸による鉄筋の腐食、劣化因子である硫酸水溶液の侵入を防ぐ必要があります。

【問310_補修】

 コンクリートの変状に応じた長期的な対策に関する記述のうち、適当なものはどれか
(1)酸性河川にさらされる鉄筋コンクリート橋脚の下部の全面に顕著な変色が見られたので、コンクリート表面をケレンして表面被覆を施した。
(2)疲労を受ける鉄筋コンクリート床版の下面に、エフロレッセンスを伴った亀甲状のひび割れが発生したので、ひび割れにエポキシ樹脂を注入した後に、床版上面に防水層を施した。
(3)プレストレストコンクリート桁のシースに沿ってエフロレッセンスを伴ったひび割れが発生したので、コンクリート表面のエフロレッセンスを除去した後、エポキシ樹脂によるひび割れ補修と表面被覆を行った。
(4)海岸部に位置する鉄筋コンクリート桁にさび汁を伴ったひび割れが発生したので、鉄筋の裏側までコンクリートを除去し、鉄筋に防せい塗装を施した後に添え筋を設置したうえで、断面修復と表面被覆を行った。
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正解(4)

(1)誤りです。酸性河川の環境下では、コンクリートの化学的浸食および内部鉄筋の腐食対策が必要です。表面被覆だけでなく、鉄筋の防せい処理等の対策が必要です。
(2)誤りです。エフロレッセンスが床版下面に発生していることから、上部のひび割れが貫通し、上面から下面へと通水していることが判断できます。疲労強度が低下して、蛇割れが発生していることが考えられるため、上面増厚工法等の耐荷力向上対策と、上面の防水を施すことが必要です。
(3)誤りです。シースに沿ったエフロレッセンスを伴うひび割れは、シース周辺の空隙と定着部などからの水の侵入が原因です。シース内部の未充てん箇所の対策が必要です。
(4)問題のとおりです。沿岸部であることから、塩害の可能性が高くなります。さび汁を伴ったひび割れが発生しているため、鉄筋の防せい処理、断面修復、劣化因子の塩化物イオンの侵入を防ぐための表面被覆が適しています。
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