【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.75)総合問題3

コンクリート診断士 問題と解説Vol.75

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問371_受熱温度推定】

 火災を受けたコンクリートの、受熱温度の推定に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)コンクリートの受熱温度を推定する方法には、UVスペクトル法と、グルコン酸ナトリウムによる、酸素消費量の定量分析の、2種類がある。
(2)コンクリートが、400℃付近まで加熱されると、コンクリート中の化学混和剤の濃度が減少する。
(3)UVスペクトル法は、分光光度計を用いて、波長、550nmにおけるUV光を分析し、吸光度と加熱温度との関係から、受熱温度を推定する方法である。
(4)UVスペクトル法は、分光光度計を用いて、波長、260nmにおけるUV光を分析し、吸光度と加熱温度との関係から、受熱温度を推定する方法です。
UV、つまり、紫外線は、10から、400nmの波長範囲の光を指します。
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正解(4)

(1)×:誤りです。コンクリートの受熱温度を推定する方法には、UVスペクトル法と、過マンガン酸カリウムによる、酸素消費量の定量分析の、2種類があります。UVスペクトル法は、コンクリート内の混和剤に着目し、受熱温度を推定する方法です混和剤は、受熱温度が上昇すると、吸光度が変化します。過マンガン酸カリウムによる方法は、有機化合物である混和剤と、過マンガン酸カリウムの酸化反応を利用した方法です。受熱温度が高くなる程、混和剤が酸化されるため、過マンガン酸カリウムの酸化反応量が小さくなります。グルコン酸ナトリウムによる方法は、受熱温度の推定ではなく、硬化コンクリートのセメント量の推定に用いられます。
(2)×:誤りです。コンクリート中の化学混和剤は、600℃以上の受熱により、燃焼や炭化を起こし、濃度が減少します。
(3)×:誤りです。UVスペクトル法は、分光光度計を用いて、波長、260nmにおけるUV光を分析し、吸光度と加熱温度との関係から、受熱温度を推定する方法です。UV、つまり、紫外線は、10~400nmの波長範囲の光を指します。
(4)〇:問題のとおりです。ポリカルボン酸系の、化学混和剤の分子構造には、ベンゼン環が含まれておらず、波長、260nmにおける、UV光が吸光されないため、UVスペクトル法が適用できません。

【問372_圧縮強度試験】

 コンクリート構造物から採取したコアの、圧縮強度試験方法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)粗骨材の最大寸法が、20ミリメートルであったため、直径、70ミリメートルのコアを採取した。
(2)コア供試体の高さを、4か所において測定し、最大値と最小値の、平均値を供試体の平均高さとした。
(3)コア供試体の直径を、供試体高さの中央付近で互いに直交する2方向について測定し、その平均値を供試体の平均直径とした。
(4)直径、100ミリメートルのコア供試体の高さが、150ミリメートルであったので、試験で得られた圧縮強度に、補正係数を乗じて補正した。
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正解(3)

(1)〇:問題のとおりです。コア供試体の直径は、粗骨材寸法の3倍以上とします。
(2)〇:問題のとおりです。コア供試体の高さは、最大値と最小値の、平均値とします。
(3)×:誤りです。コア供試体の直径は、上下高さの1/4付近、および、高さの中央付近の3か所で、互いに直交する2方向について測定し、その平均値を供試体の平均直径とします。
(4)〇:問題のとおりです。コア供試体の高さと直径の比は、2.0以下の場合には、試験で得られた圧縮強度に、補正係数を乗じて補正します。例えば、高さと直径の比が1.0の場合には、試験で得られた圧縮強度に0.87を乗じ、強度を低減させます。これは、同じ断面寸法の場合、短い試験体のほうが、圧縮試験強度が高く測定されるためです。

【問373_電磁波レーダー法】

 コンクリート構造物の鉄筋探査における、電磁波レーダー法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)鉄筋のかぶり厚さを推定するためには、コンクリートの比誘電率の設定が重要である。電磁波の速度は、コンクリートの比誘電率に比例する。
(2)コンクリートの含水率と、比誘電率は、比例関係である。
(3)実際のかぶり厚さよりも、かぶり厚さの推定値が小さい場合、調査箇所のコンクリートの含水率が、想定よりも高い。
(4)実際のかぶり厚さよりも、かぶり厚さの推定値が小さい場合、比誘電率を初期値よりも、高く変更する。
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正解(2)

(1)×:誤りです。比誘電率は、真空中の誘電率に対する、媒質の誘電率です。電磁波の速度は、コンクリートの比誘電率の平方根に、反比例します。
(2)〇:問題のとおりです。含水率は高いほど比誘電率は大きくなります。
(3)×:誤りです。コンクリートの含水率が、想定よりも低い場合、かぶり厚さを推定する際の電磁波の速度が、実際よりも速くなるため、電磁波の伝播時間が短くなり、実際のかぶり厚さよりも、かぶり厚さの推定値が小さくなります。
(4)×:誤りです。推定したかぶり厚さが、想定よりも小さい場合、電波の速度が、想定よりも大きくなっているということになります。電磁波の速度は、コンクリートの、比誘電率の平方根に、反比例します。問題の場合、電波の速度を高く設定するために、比誘電率の設定は初期値より、低く変更します。

【問374_電位差滴定法】

 電位差滴定法による、RC構造物から採取したコアの、全塩化物イオン濃度の測定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)乾式コンクリートカッターを用いて、コアからコンクリート切片を切り出した。
(2)分析試料は、コンクリート切片を、0.15ミリメートル以下に、微粉砕したものを用いた。
(3)ただちに測定ができなかったため、分析試料をデシケータ内で保存した。
(4)微粉砕した分析試料を、蒸留水に入れて、加熱煮沸した後、採取したろ液を、資料溶液とした。
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正解(4)

(1)〇:問題のとおりです。塩化物イオンは水溶性であるため、乾式コンクリートカッターを用いて、コアからコンクリート切片を切り出します。
(2)〇:問題のとおりです。電位差滴定法に用いる分析試料は、コンクリート切片を、0.15ミリメートル以下に、微粉砕します。
(3)〇:問題のとおりです。塩化物イオンは水溶性であるため、ただちに測定できない場合は、デシケータ、乾燥容器内で保存します。
(4)×:誤りです。全塩化物イオンの測定では、コンクリート内部に固定化された、不溶分の、塩化物イオンを溶解させる必要があります。試料に硝酸を加え、加熱煮沸して、全塩化物イオンを抽出し、不溶分をろ過、洗浄して、ろ液を飼試料溶液とします。

【問375_アルカリシリカ反応】

 アルカリシリカ反応による残存膨張性の推定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)コア供試体は、直径を、100ミリメートルとし、長さを、構造物の表面から、50ミリメートルの部分を除く、250ミリメートルとした。
(2)解放膨張率を測定するため、もとの長さを測定したコア試料を、密閉容器に入れ、すみやかに、温度、20±2℃、相対湿度、95%以上で貯蔵した。
(3)解放膨張率の測定が終了したコア試料は、密閉容器に入れ、すみやかに、相対湿度、60±5%で貯蔵した。
(4)促進膨張率を測定する際には、各貯蔵容器の保管環境から、24時間前に、コア試料を貯蔵容器ごとに取り出し、20±2℃にたもった測定室で保管した。
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正解(3)

(1)〇:問題のとおりです。残存膨張性試験のコア試料は、原則として、直径を、100ミリメートルとし、長さを、250ミリメートルとします。
(2)〇:問題のとおりです。もとの長さを測定したコア試料を、密閉容器に入れ、すみやかに、温度、20±2℃、相対湿度、95%以上で貯蔵します。
(3)〇:問題のとおりです。解放膨張率の測定が終了したコア試料は、密閉容器に入れ、すみやかに、温度、20±2℃、相対湿度、95%以上で貯蔵します。解放膨張率の測定前と、測定後は、同じ環境で保存します。
(4)×:誤りです。促進膨張率を測定する際には、各貯蔵容器の保管環境から、24時間前に、コア試料を貯蔵容器ごとに取り出し、20±2℃にたもった測定室で保管します。
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