コンクリートが固まる過程
コンクリートはセメント、水、骨材を練り混ぜてをつくります。コンクリートは練り混ぜた直後から水和反応が始まり、それに伴い固まります。
ここで、コンクリートはいきなり固まるのではなく、徐々に固まっていきます。以下に、その過程を示します。
- 流動=コンクリート打設時の状態
- 凝結=流動性が無くなること
- 硬化=強度発現をすること
この過程は、水和反応を起因とします。セメントと水の反応のことを水和反応と言います。水和反応による反応熱を一般的に水和熱と呼びます。
水和熱の着目点
”セメントの水和熱”に着目した場合、主に2つの特徴がコンクリートの強度発現に関係します。
- 反応速度と温度の関係
- 反応前と反応後の熱量の差
【反応速度】に関連するのが遅延型のコンクリートです。
【熱量の差】に関連するのが中庸熱・早強コンクリートです。
ここで、コンクリートの養生温度が高いほど反応速度が速くなります。つまり、熱量の差と反応速度は相関関係にあります。
水和反応性の順位
セメントの水和反応は、非常に複雑です。
主にセメントに含まれる4種類の鉱物が水和反応を起こします。
- アルミネート相(C3A)
- フェライト相(C4AF)
- アリット(エーライト)(C3S)
- ベリット(ビーライト)(C2S)
セメント中に含まれる上記の鉱物が、反応順を変化させたりすることで、長期間にわたり、段階的に水和反応を起こします。
水和熱速度と時間の関係
以下の図は、水和熱の発する速度と、その時間の関係を表しています。
第Ⅰ期:注水直後の急激な反応
=アルミン酸三カルシウム(C3A)とせっこうの反応→エトリンガイトの生成
第Ⅱ期:潜伏期
第Ⅲ期:加速期
=ケイ酸三カルシウム(C3S)が反応→水酸化カルシウム(Ca(OH)2)→ケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)が生成
第Ⅳ期:減速期
第Ⅴ期:反応がゆっくり進行
第Ⅴ期に入るのが注水後24時間程度です。第Ⅱ期の「潜伏期」が存在することで、その間にコンクリートの打込をすることができます。
材齢1日(24時間)程度までに、急激な反応は終了します。
遅延型コンクリート
セメントの凝結時間を調整するために、グルコン酸、クエン酸などのオキシカルボン酸をコンクリートに添加します。これにより、第Ⅱ期(打込の時間)を長くすることで、コールドジョイントといった初期不良を起こしにくくすることが期待されます。
中庸熱・早強の違い
中庸熱コンクリート
アルミネート相(C3A)、アリット(C3S)の含有量を少なくし、ベリット(C2S)の含有量を多くすることで、水和熱の抑制と長期強度発現性を改善したコンクリートです。
早強コンクリート
セメント粒子を細かくし、水との接触面積を増大させることで、水和反応を速めたコンクリートです。粒子の細かさは、重さあたりの表面積で表され、一般的に、この値が大きいほど早期に強度が発現します。
重さあたりの表面積:ブレーン値:cm2/g)
普通セメント:2,500cm2/g以上
早強セメント:3,300cm2/g以上
長早強セメント:4,000cm2/g以上引用元:JIS規格
以上、コンクリートの水和熱についてまとめました。筆者の理解はまだまだ不十分であると感じているので、今後も学習を続け、理解を深めたいと思います。
記事を読んでくださり、ありがとうございました。この記事が何かのお役に立てれば幸いです。