コンクリート主任技士過去問 問題と解説
【令和2年度―問題16】
下図に示すような柱と梁のコンクリートの打込みに関して施工上の打継目を設ける計画とした。柱および梁の打継目の位置の組合わせとして、適当なものはどれか。
柱 | 梁 | |
(1) | ア | ウ |
(2) | ア | エ |
(3) | イ | ウ |
(4) | イ | エ |
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正解(4)
打継目は、できるだけせん断力が小さい位置に設け、圧縮力を受ける方向と直角にします。梁および床では、スパンの中央付近に設け、柱や壁では、床または基礎の上端に設けます。
【令和2年度―問題17】
一般の建築工事において、断面800mm×800mmの柱にコンクリートを打ち込み、材齢7日にて脱型した。柱の中心部と表層部のコンクリートの発現強度、ならびに管理用の標準養供試体と現場水中養生供試体の発現強度を概念的に示した下図において、強度発現を示す曲線の組合わせとして適当なものはどれか。ただし、セメントには普通ポルトランドセメントを用い、打込みから材齢28日までの外気温は10℃一定と仮定する。
中心部 | 表層部 | 現場水中 養生供試体 |
|
(1) | D | B | C |
(2) | B | D | C |
(3) | D | C | B |
(4) | B | C | D |
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正解(2)
水中で養生する場合、材齢90日程度まで強度発現が継続します。
水中かつコンクリート強度が最も発現する20℃で養生しているため、標準養生供試体はAです。
水中かつコンクリート強度が最も発現する20℃で養生しているため、標準養生供試体はAです。
現場水中養生供試体は、材齢28日以降も強度発現が継続しているBです。
外気温が10℃のため、表層部のコンクリートは最も強度が出ていないDです。
柱の中心部は、表層部よりも温度が高くなり、強度発現しやすい20℃に近づくと考えられるため、Bです。
なお、柱の断面寸法がさらに大きく、外気温が30℃を超えるような場合には、マスコンクリートとなるため、表層部よりも、中心部の方が強度が低くなる場合があります。
【令和2年度―問題18】
夏期の施工において、超遅延剤を用いたスランプ18cmのコンクリートを、断面800mm×800mm、高さ4.5mの柱部材と、厚さ250mm、高さ4.5mの壁部材にそれぞれ打上がり速度(打込み速さ)1.5m/hで打ち込んだ。各部材の最下部に作用するコンクリートの側圧の経時変化を概念的に示した下図(1)~(4)のうち、適当なものはどれか。なお、超遅延剤を用いないスランプ18cmのコンクリートの柱部材の側圧分布を下図に示す。
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正解(1)
コンクリートの凝結が進むとともに、側圧は減少していきます。超遅延剤を用いると、側圧の減少が遅くなるため、図の山の頂点は右側にずれます。
また、柱部材と壁部材では、柱部材の方が側圧が大きくなります。
よって、正解は(1)となります。
【令和2年度―問題19】
鉄筋の加工および組立てに関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
(1)土木学会示方書では、鉄筋は常温で加工することを原則としているが、加熱して加工をする場合には、あらかじめ材質を害さないことが確認された加工方法で、加工部の鉄筋温度を適切に管理して行うこととしている。
(2)鉄筋のあきの最小値は、粗骨材の最大寸法や鉄筋径から定められるが、高流動コンクリートを使用する場合は、その値を小さくすることができる。
(3)JASS5では、鉄筋の曲げ加工を行う際の折曲げ内法直径の最大値が定められている。
(4)ガス圧接継手は、同一種類の鉄筋であっても、径が異なる鉄筋には、いかなる場合にも用いることはできない。
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正解(1)
(1)問題のとおりです。鉄筋は常温で加工することを原則とし、加熱して加工する場合には、あらかじめ材質を害さないことが確認された加工方法で、加工部の鉄筋温度を適切に管理して行う必要があります。土木学会示方書、平成11年度版以降では、鉄筋は900℃から1000℃程度で加工し、急な冷却をしない場合は、特に材質を害さないとされています。
(2)誤りです。鉄筋のあきの最小値は、JASS5では、25mm以上、粗骨材の最大寸法の1.25倍以上、鉄筋径の1.5倍以上のうち、最大の値と定められています。高流動コンクリートであっても、鉄筋のあきの最小値は変わりません。
(3)誤りです。JASS5では、鉄筋の曲げ加工を行う際の折曲げ内法直径の最小値が定められています。鉄筋を急激に曲げると、縁端部が塑性化し、強度低下を引き起こします。
(4)誤りです。ガス圧接継手では、鋼材の種別は1ランク以内、径の差は7mm以内であれば圧接が可能です。
【令和2年度―問題20】
暑中コンクリートの製造および施工計画に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)同一スランプを得るための単位水量は、練混ぜ温度10℃の増加に対して、10%程度多くなるものとして計画した。
(2)運搬時間と日中の外気温の上昇を考慮して、運搬中のコンクリート温度の上昇量を見込んで荷卸し時の温度を算出する計画とした。
(3)コンクリートの練上がり温度を下げるためには、粗骨材の温度を下げることが効果が高いと判断し、粗骨材の温度を下げる計画とした。
(4)コンクリート表面の急激な乾燥とプラスティック収縮ひび割れを防止するため、表面を仕上げた後、直ちに膜養生剤を散布する計画とした。
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正解(1)
(1)誤りです。所要のワーカビリティーを得るための単位水量と練上り温度には一定の関係があり、一般には10℃の上昇に対して単位水量が2~5%増加する傾向があります。
(2)問題のとおりです。暑中コンクリートの打設計画時には、運搬時間と日中の外気温の上昇を考慮して、運搬中のコンクリート温度の上昇量を見込んで荷卸し時の温度を算出する計画とします。
土木学会標準示方書には、温度上昇量を推定する式が記載されています。
T2=T1+0.15(T0-T1)t
T0:周囲の温度(外気温)(℃)
T1:練り混ぜたときのコンクリート温度(℃)
T2:打ち込み終了時のコンクリート温度(℃)
t:練り混ぜてから打ち込み終了までの時間8(h)
T2=T1+0.15(T0-T1)t
T0:周囲の温度(外気温)(℃)
T1:練り混ぜたときのコンクリート温度(℃)
T2:打ち込み終了時のコンクリート温度(℃)
t:練り混ぜてから打ち込み終了までの時間8(h)
(3)問題のとおりです。暑中コンクリートの製造において、通常、骨材温度±2℃につきコンクリート温度±1℃の変化、水の温度±4℃につきコンクリート温度±1℃の変化、セメント温度±8℃につきコンクリート温度±1℃の変化が見込めます。
(4)問題のとおりです。プラスティック収縮ひび割れは、打込み直後にコンクリート表面が急激に乾燥し、乾燥収縮を起こすことが原因で生じます。暑中コンクリートでは、急激な水分の蒸発などによりプラスティック収縮ひび割れが発生しやすくなるため、打ち込み直後の膜養生などの対策が必要です。
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