【コンクリート主任技士過去問解説】平成28年度No26~30

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成28年度―問題26】

 マスコンクリートの温度ひび割れ抑制対策に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)普通ポルトランドセメントを用いる場合、単位セメント量を10kg/m3低減すると、コンクリートの断熱温度上昇は約5℃小さくなる。
(2)単位セメント量が300kg/m3で打込み時のコンクリート温度が20℃の場合、高炉セメントB種を用いると、フライアッシュセメントB種を用いた場合よりも、コンクリートの断熱温度上昇は約5℃小さくなる。
(3)パイプクーリングは、内部拘束応力の低減には有効であるが、外部拘束応力の低減効果は小さい。
(4)打込み開始前から型枠面を保温することは、内部拘束応力の低減には有効であるが、外部拘束応力の低減効果は小さい。
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正解(4)

(1)誤りです。普通ポルトランドセメントを用いる場合、単位セメント量を10kg/m3低減すると、コンクリートの断熱温度上昇は約1℃小さくなります。
(2)誤りです。高炉セメントB種を用いると、フライアッシュセメントB種を用いた場合よりも、コンクリートの断熱温度上昇は約5℃大きくなります。
(3)誤りです。パイプクーリングは、打ち込み後のコンクリート内部の温度上昇を小さくする方法です。外部の拘束により、内部に応力が発生するのを防ぐため、外部拘束応力低減の効果があります。
(4)問題のとおりです。型枠保温は、外部コンクリートの急激な温度下降(変化)を小さくする方法です。内部の拘束により、外部に応力が発生する野を防ぐため、内部拘束応力低減の効果があります。

【平成28年度―問題27】

 場所打ち杭および地下連続壁に用いる水中コンクリートの施工計画に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)地下連続壁の施工において、水中での材料分離によるコンクリートの品質低下を防止するため、単位セメント量を通常のコンクリートの最小値である270kg/m3よりも多い360kg/m3とした。
(2)場所打ち杭の施工において、コンクリートの締固めができないこと、孔壁(掘削壁面)と鉄筋との間隔が狭い場合にはコンクリートが十分に行き渡らないことがあることを考慮して、鉄筋のかぶり(厚さ)は10cmとした。
(3)地下連続壁の施工において、安定液やスライムの混入によるコンクリートの品質低下を防止するため、トレミーの先端をコンクリート中に50cm程度挿入して打ち込む計画とした。
(4)場所打ち杭の施工において、コンクリート上面では、レイタンスや安定液あるいはスライムの混入により所要強度に満たない不良部分が発生するため、余盛り高さを100cmとした。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。地下連続壁の施工に用いるコンクリートでは、土木学会示方書では、350kg/m3、JASS5では360kg/m3以上と規定されています。
(2)問題のとおりです。場所打ち杭の施工において、コンクリートの締固めができないこと、孔壁(掘削壁面)と鉄筋との間隔が狭い場合にはコンクリートが十分に行き渡らないことがあることを考慮して、土木学会示方書では、鉄筋のかぶり(厚さ)は10cm以上としています。
(3)誤りです。トレミーの先端をコンクリート中に2m以上挿入して打ち込む計画とします。
(4)問題のとおりです。場所打ち杭の施工において、土木学会では、余盛り高さを50cm以上、JASS5では、50~100cmとしています。

【平成28年度―問題28】

 下図は、鉄筋コンクリート造3階建て建物外壁に生じたひび割れを模式的に示したものである。次に示すひび割れの説明のうち、不適切なものはどれか
(1)建物全体が冷却により収縮すると、(A)のようなひび割れが生じる。
(2)屋根スラブが日射により膨張すると、(B)のようなひび割れが生じる。
(3)地震による水平方向の力を繰り返し受けると、(C)のようなひび割れが生じる。
(4)建物の両端部の基礎が沈下すると、(D)のようなひび割れを生ずる。
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正解(3)

(1)問題のとおりです。建物全体が冷却により収縮する場合です。
(2)問題のとおりです。建物上部の膨張により生じるひび割れです。
(3)誤りです。建物の中央の基礎が沈下すると生じるひび割れです。地震時の水平方向の力は左右から繰り返し受けるため、変形も左右に繰り返し生じることになります。
(4)問題のとおりです。建物の両端部の基礎の沈下により生じるひび割れです。

【平成28年度―問題29】

 軸力と曲げモーメントが作用する鉄筋コンクリート柱の設計に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)せん断破壊よりも曲げ破壊が先行するように設計する。
(2)引張側の主(鉄)筋の降伏よりも圧縮縁のコンクリートの圧壊が先行するように設計する。
(3)せん断耐力は、コンクリートの負担分とせん断補強筋の負担分の和として算出する。
(4)帯(鉄)筋は、せん断破壊の防止や軸方向鉄筋の座屈防止などのために配置する。
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正解(2)

(1)問題のとおりです。せん断破壊は、脆性的な破壊であり、人命確保という観点から、粘り強い破壊形式である曲げ破壊が先行するように設計します。
(2)誤りです。曲げ破壊を先行させるために、圧縮側のコンクリートの圧壊よりも、引張側の主(鉄)筋の降伏が先行するように設計します。
(3)問題のとおりです。せん断耐力は、コンクリートの負担分とせん断補強筋の負担分の和として算出します。
(4)問題のとおりです。帯(鉄)筋は、せん断破壊の防止や軸方向鉄筋の座屈防止などのために配置します。

【平成28年度―問題30】

 プレストレストコンクリート部材に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)PC鋼材量は変化させずにプレストレスの導入量を大きくすると、曲げひび割れ耐力は増加するが、曲げ終局耐力はほとんど変化しない。
(2)プレストレスの導入量は、コンクリートの乾燥収縮やクリープ、PC鋼材のリラクセーションによって経時的に減少することを見込んで設計する。
(3)一般的な荷重による変形が生じても、プレストレスが導入されているため、鉄筋コンクリートと比べて除荷後の残留変形が小さくなる。
(4)プレテンション方式では、PC鋼材とコンクリートとの付着によりプレストレスが導入されるため、導入されたプレストレスは、部材中央部に比べて部材端部に近いほうが大きくなる。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。PC鋼材量は変化させずにプレストレスの導入量を大きくすると、曲げひび割れ耐力は増加しますが、曲げ終局耐力はほとんど変化しません。
(2)問題のとおりです。プレストレスの導入量は、コンクリートの乾燥収縮やクリープ、PC鋼材のリラクセーションによって経時的に減少することを見込んで設計します。
(3)問題のとおりです。プレストレストコンクリート部材は、一般的な荷重による変形が生じても、プレストレスが導入されているため、鉄筋コンクリートと比べて除荷後の残留変形が小さくなります。
(4)誤りです。プレテンション方式では、PC鋼材とコンクリートとの付着によりプレストレスが導入されるため、導入されたプレストレスは、中央部で引張応力度が大きくなり、付着力が小さい部材端部は引張応力度は小さくなります。
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