コンクリート主任技士過去問 問題と解説
【平成28年度―問題16】
コンクリートの製造に関する次の記述のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)またはJIS A 5011-1(コンクリート用スラグ骨材‐第1部:高炉スラグ骨材)の規定に照らして、誤っているものはどれか。
(1)ミキサの要求性能としての練混ぜの均一性の確認については、定格容量および定格容量の1/2のそれぞれの場合において、コンクリート中のモルタル量の偏差率、コンクリート中の粗骨材量の偏差率、圧縮強度の偏差率、空気量の偏差率およびスランプの偏差率の5項目を確認することが規定されている。
(2)細骨材と粗骨材の各々の貯蔵設備容量は、各工場の1日最大使用量以上と規定されている。
(3)高炉スラグ細骨材は潜在水硬性があり、高温貯蔵時における固化の危険性について、受渡し当事者間の協定によって確認することが規定されている。
(4)高炉スラグ微粉末の計量は、購入者の承認があれば袋の数で量ってもよいが、1袋未満のものは必ず質量で計量することが規定されている。
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正解(1)
(1)誤りです。ミキサの練混ぜの均一性の確認は、「コンクリート中のモルタルの単位容積質量差が0.8%以内」「コンクリート中の単位粗骨材量の差が5%以下」と規定してされています。
(2)問題のとおりです。骨材の貯蔵設備は、レディーミクストコンクリートの最大出荷量の1日分以上に相当する骨材を貯蔵できなくてはなりません。
(3)問題のとおりです。高炉スラグ細骨材は潜在水硬性があり、高温貯蔵時における固化の危険性について、受渡し当事者間の協定によって確認することが規定されています。 潜在水硬性とは、単に水を混ぜただけでは水和反応を起こさないですが、刺激剤によって水和反応を起こす性質のことを差します。
高炉スラグは、アルカリ環境(pH12以上)で、固溶されていた炭酸カルシウム、三酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが溶出しそれらが刺激剤となって、カルシウムシリケート水和物(C-S-H)やカルシウムアルミネート水和物(C-A-H)を生成して硬化します。
高炉スラグは、アルカリ環境(pH12以上)で、固溶されていた炭酸カルシウム、三酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが溶出しそれらが刺激剤となって、カルシウムシリケート水和物(C-S-H)やカルシウムアルミネート水和物(C-A-H)を生成して硬化します。
(4)問題のとおりです。高炉スラグ微粉末の計量は、購入者の承認があれば袋の数で量ってもよいが、1袋未満のものは必ず質量で計量することが規定されています。
【平成28年度―問題17】
コンクリートの工程管理において、56点の圧縮強度試験結果が得られたので、JIS Z 9021(シューハート管理図)の手法に基づきX管理図を作成した。このX管理図において、管理の対象をA群~D群に分けた場合、異常が生じていると考えられる群の組合せとして、適当なものはどれか。ただし、異常値(CL(中心線)およびσ(標準偏差))は既に与えられているものとする。
(1)A群、B群、C群
(2)B群、C群、D群
(3)A群、C群、D群
(4)A群、B群、D群
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正解(1)
【シューハート管理図とは?】
JIS Z 9020-2に規定され、ほぼ規則的な間隔でサンプリングを行いデータを収集します。収集したデータの一定個数を「群」と呼びます。各群から、平均値や最大値・最小値といった値の特性を得たうえで、その群の値が異常かどうかを判定する手法です。
<管理値>
シューハート管理図では、平均値(μ)と、分散(σ)を用いて値を管理します。中心線(CL:Center Line)、上方管理限界(UCL:Upper Control Limit)、下方管理限界(LCL:Lower Control Limit)の線を引き、群の特性を判定します。
JIS Z 9020-2に規定され、ほぼ規則的な間隔でサンプリングを行いデータを収集します。収集したデータの一定個数を「群」と呼びます。各群から、平均値や最大値・最小値といった値の特性を得たうえで、その群の値が異常かどうかを判定する手法です。
<管理値>
シューハート管理図では、平均値(μ)と、分散(σ)を用いて値を管理します。中心線(CL:Center Line)、上方管理限界(UCL:Upper Control Limit)、下方管理限界(LCL:Lower Control Limit)の線を引き、群の特性を判定します。
UCL=μ+3σ
CL=μ
LCL=μ-3σ
シューハートの管理図は、3シグマ法とも呼ばれます。データが正規分布に従う場合、μ±3σ以内におさまる確率は99.73%です。逆を言うと、この区間の外に出る確率は0.27%となります。
1σ 区間におさまる確率→ 約 68.27%
2σ 区間におさまる確率→ 約 95.45%
3σ 区間におさまる確率→ 約 99.73%
【シューハート管理図の8つのルール】
シューハート管理図においては、各群の値が異常であるかを判断するためのルールが存在します。以下に示すルールに当てはまった場合、その群は「異常」であると判定されます。
ルール1:1点が管理限界線の外にある場合
ルール2:中心線の一方側に9点が連続する場合
ルール3:6点以上連続して上昇または下降する場合
ルール4:14の点が交互に増減している場合
ルール5:連続する3点中、2点がμ±2σを超える場合
ルール6:連続する5点中、4点がμ±1σを超える場合
ルール7:連続する15点がμ±1σ以内に存在する場合
ルール8:連続する8点がμ±1σを超える場合
もう一度問題を確認します。
A群:ルール7
B群:正常
C群:ルール3
D群:ルール2
【平成28年度―問題18】
呼び強度が27のコンクリートについて、ロットA~Cの圧縮強度試験を行ったところ、下表の結果が得られた。JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、各ロットの合否判定の組合せとして、正しいものはどれか。
圧縮強度の試験結果(N/mm2)
ロットA | ロットB | ロットC | ||||
試験値 | 平均値 | 試験値 | 平均値 | 試験値 | 平均値 | |
1回目 | 30.2 | 29.1 | 21.2 | 23.0 | 29.2 | 30.0 |
27.9 | 22.5 | 30.2 | ||||
29.2 | 25.2 | 30.6 | ||||
2回目 | 21.6 | 22.7 | 29.8 | 29.0 | 25.7 | 26.6 |
23.0 | 28.4 | 26.6 | ||||
23.4 | 28.8 | 27.5 | ||||
3回目 | 29.6 | 30.1 | 30.0 | 30.7 | 24.3 | 26.4 |
30.5 | 30.6 | 27.0 | ||||
30.1 | 31.5 | 27.8 | ||||
3回の平均 | 27.3 | 27.6 | 27.7 |
試験結果の判定の組合せ
ロットA | ロットB | ロットC | |
(1) | 不合格 | 不合格 | 不合格 |
(2) | 不合格 | 不合格 | 合格 |
(3) | 不合格 | 合格 | 合格 |
(4) | 合格 | 合格 | 合格 |
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正解(3)
JIS A 5308による、圧縮強度の規定値はつぎの2つ両方を満足しなければなりません。
①1回の試験結果が購入者の指定した呼び強度の強度値の85%以上
②3回の試験結果の平均値が購入者の指定した呼び強度の強度値以上
①1回の試験結果が購入者の指定した呼び強度の強度値の85%以上
②3回の試験結果の平均値が購入者の指定した呼び強度の強度値以上
①呼び強度27×0.85=23
ロットA
①2回目の試験結果が22.7N/mm2<23.0N/mm2で×
②27.3>27.0で〇
=不合格
ロットB
①すべて23.0以上で〇
②27.6≧27.0で〇
=合格
ロットC
①すべて23.0以上で〇
②27.7≧27.0で〇
=合格
【平成28年度―問題19】
レディーミクストコンクリートの製造・運搬・検査に関する次の記述のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、誤っているものはどれか。
(1)回収骨材を用いる場合、「レデイ―ミクストコンクリート配合計画書」には回収骨材の置換率を、「レディーミクストコンクリート納入書」にはA方法もしくはB方法いずれかの使用方法を記入する。
(2)JIS A 5005(コンクリート用砕石及び砕砂)の規定に適合する砕石と、JIS A 5308付属書A(レディーミクストコンクリート用骨材)の規定に適合する砂利を混合して使用する場合、混合後の粗骨材の粒度は、JIS A 5308付属書Aの砂利の規定に適合している必要がある。
(3)購入者との協議により、運搬時間の限度を変更した場合、納入に先立ち、変更した運搬時間の限度を「レディーミクストコンクリート配合計画書」の備考欄に記入する。
(4)「レディーミクストコンクリート納入書」の発時刻の欄には、生産者がコンクリートの練混ぜを開始した時刻を記入する。
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正解(1)
(1)誤りです。回収骨材を用いる場合、「レデイ―ミクストコンクリート配合計画書」には、A方法もしくはB方法を記入し、「レディーミクストコンクリート納入書」には回収骨材の置換率を記入します。
(2)問題のとおりです。混合後の粗骨材の粒度は、砂利の規定に適合している必要があり、混合後の細骨材の粒度は0.15mmをとおるものを除いて、砂の粒度に適合している必要があります。
(3)問題のとおりです。購入者との協議により、運搬時間の限度を変更した場合、納入に先立ち、変更した運搬時間の限度を「レディーミクストコンクリート配合計画書」の備考欄に記入します。
(4)問題のとおりです。「レディーミクストコンクリート納入書」の発時刻の欄には、生産者がコンクリートの練混ぜを開始した時刻を記入します。
【平成28年度―問題20】
下図は、壁状構造物を高さ方向に3層、水平方向に6ブロック(ア~カ)、計18ブロックを打ち重ねる際の側面図(水平長さは縮小して示している)に、①から⑱までの打込み順序を模式的に示したものである。A~Dに示す打込み順序のうち、コールドジョイントを防ぐ効果が最大となる打込み順序として、適当なものはどれか。なお。各ブロックは30分で施工できるものとし、ブロック内では矢印の方向に片押しで打込むものとする。
(1)A
(2)B
(3)C
(4)D
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正解(2)
コールドジョイントを防止するため、回し打ちではなく、片押し打ちを行います。