【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.78)総合問題6

コンクリート診断士 問題と解説Vol.78

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問381_表面変状】

 外壁表面および擁壁表面に生じた変状に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)打ち放しコンクリート外壁に、内部からのさび汁を伴う茶色の変色が生じていたので、黄鉄鉱を含む骨材の酸化による変色であると推察した。
(2)表面、塗装仕上げが施された外壁の、仕上げ材を剥がした箇所で、表面コンクリートが白色に変色していたので、コンクリート中の鉄筋の腐食が原因であると推察した。
(3)無筋コンクリート擁壁の表面に、茶色や黒色の変色が見られたので、地衣類の繁茂による変色であると推察した。
(4)高炉スラグ微粉末を、使用したコンクリートで、型枠を脱型した直後、表面が青緑色に変色していたが、強度には影響がないと判断した。
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正解(1)

(1)〇:問題のとおりです。さび汁を伴う茶色の変色が生じた場合は、コンクリート内部の、鉄筋や、セパレータなどの鋼材の腐食や、鉄分を含む骨材の酸化による変状である可能性が高いです。
(2)×:誤りです。コンクリート表面が白色に変色していることから、エフロレッセンスやセメント水和物の変質が原因である可能性が高いです。
(3)×:誤りです。無筋コンクリートの表面のみが茶色や黒色に変色している場合、地衣類、植物等の繁茂による変色である可能性が高いです。
(4)×:誤りです。コンクリートに、硫化物が含まれている場合、その硫化物が原因となり、コンクリートの内部が青緑色に呈色する場合があります。この青緑色は、高炉セメントに含まれる硫化物の還元色で、これが空気にさらされるなどして酸化すると、青緑色から白色に変化します。高炉セメントを用いたコンクリート構造物の表面が、型枠の脱型直後に、青緑色を呈するという現象がみられる場合がありますが、これは、型枠の脱型直後は、コンクリートに含まれる硫化物が酸化しておらず、還元色を呈していることに起因します。型枠の脱型後、一定期間が過ぎると硫化物が酸化し白色に変化するため、自然なコンクリートの色になります。

【問382_塩害】

 塩害に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)コンクリート中に鋼材表面の不動態被膜を破壊する濃度の塩化物イオンが含まれると、アノード部分では塩化鉄ニを生成する。
(2)コンクリート中に、鋼材表面の不動態被膜を破壊する濃度の塩化物イオンが含まれると、カソード部分では電子を放出する。
(3)塩化物イオンが腐食に関係する場合には、ミクロセル腐食が生じやすい。
(4)土木学会示方書では鉄筋が腐食し始める塩化物イオンの量は、1.2kg/m3とされている。
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正解(4)

(1)×:誤りです。コンクリート中に鋼材表面の不動態被膜を破壊する濃度の、塩化物イオンが含まれると、アノード部分では、二価の鉄イオンが溶出します。
(2)×:誤りです。コンクリート中に、鋼材表面の、不動態被膜を破壊する濃度の、塩化物イオンが含まれると、カソード部分では、電子を放出する。
(3)×:誤りです。塩害環境下の、コンクリート構造物で生じる鉄筋腐食は,外部から浸透する塩化物イオンの量が、部材位置によって不均一となるため、一部で、局所的に腐食が進行する、マクロセル腐食となる可能性が高くなります。マクロセル腐食は,鉄筋表面全体で、均一に腐食が進行する、ミクロセル腐食と異なり、局所的に腐食が進行し、その速度も、速くなると考えられています。
(4)〇:問題のとおりです。土木学会示方書では、鉄筋が腐食し始める塩化物イオンの量は1.2kg/m3とされています。

【問383_アルカリシリカ反応】

 アルカリシリカ反応による、モルタルの膨張に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)モルタルバー法で、モルタル供試体を26週間貯蔵した場合、供試体の貯蔵環境を、温度40℃とすると、20℃の場合より膨張率は大きくなる。
(2)モルタルバー法で、モルタル供試体を26週間貯蔵した場合、供試体の貯蔵環境を、相対湿度60%とすると、95%の場合より膨張率は大きくなる。
(3)モルタルバー法で、モルタル供試体を26週間貯蔵した場合、反応性を有する骨材の量が多いほど膨張率は大きくなる。
(4)モルタルバー法で、モルタル供試体を26週間貯蔵した場合、普通ポルトランドセメントの15%をフライアッシュで置換すると、置換しない場合より膨張率は大きくなる。
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正解(1)

(1)〇:問題のとおりです。モルタルバー法で、モルタル供試体を、26週間、貯蔵した場合、供試体の貯蔵環境を温度40℃とすると、20℃の場合より膨張率は大きくなります。
(2)×:誤りです。モルタルバー法で、モルタル供試体を26週間貯蔵した場合、供試体の貯蔵環境を相対湿度60%とすると、95%の場合より膨張率は小さくなります。
(3)×:誤りです。アルカリシリカ反応による膨張量は反応性を有する骨材の量がペシマム量となったときに最大になります。比例関係ではありません。
(4)×:誤りです。フライアッシュの混和率が高いほど単位セメント量は小さくなり、コンクリート中のアルカリ分が小さくなります。そのため、膨張量は小さくなります。

【問384_化学的浸食】

 酸による、コンクリートの化学的浸食に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)セメント水和物の酸化カルシウムは、酸の種類によって異なる生成物に変化し、その生成物によって、異なる劣化の挙動を示す。
(2)モルタルバー法で、モルタル供試体を26週間貯蔵した場合、供試体の貯蔵環境を相対湿度60%とすると、95%の場合より膨張率は大きくなる。
(3)モルタルバー法で、モルタル供試体を26週間貯蔵した場合、反応性を有する骨材の量が多いほど、膨張率は大きくなる。
(4)モルタルバー法で、モルタル供試体を26週間貯蔵した場合、普通ポルトランドセメントの15%を、フライアッシュで置換すると、置換しない場合より膨張率は大きくなる。
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正解(1)

(1)×:誤りです。セメント水和物の水酸化カルシウムは、酸の種類によって異なる生成物に変化し、その生成物によって異なる劣化の挙動を示します。
(2)〇:問題のとおりです。セメント水和物の水酸化カルシウムは、硫酸の作用を受けると二水せっこうが生成して、体積膨張をし、著しい膨張破壊を生じる。
(3)〇:問題のとおりです。セメント水和物のアルミン酸三カルシウムは、硫酸の作用を受けると、エトリンガイトが生成して体積膨張をし、著しい膨張破壊を生じます。
(4)〇:問題のとおりです。セメント水和物の水酸化カルシウムは、塩酸の作用を受けると塩化カルシウムが生成・溶解することで、表層部のセメント硬化体のみが表れたような状態となり、骨材が露出する浸食を生じます。

【問385_化学的浸食】

 コンクリートの、成分の溶出に関する次の記述のうち、不適当なものはいくつか
(1)硬度が同じ、地下水との接触では、地下水が遊離炭酸ガスを多く含むほど、成分が溶出しやすくなる。
(2)滞留した水との接触の場合、流れのある水の場合と比べて、成分が溶出しやすくなる。
(3)コンクリートに、フライアッシュを混和することにより、カルシウム成分の溶出が抑制される。
(4)水酸化カルシウムは、カルシウムシリケート水和物よりも溶出しにくい。
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正解2つ

(1)〇:問題のとおりです。硬度が同じ、地下水との接触では、地下水が、遊離炭酸ガスを多く含むほど、成分が溶出しやすくなります。
(2)×:誤りです。滞留した水との接触の場合、流れのある水の場合と比べて、成分が溶出にくくなります。
(3)〇:問題のとおりです。コンクリート中の水酸化カルシウムとフライアッシュが反応するポゾラン反応により、安定した水和生成物が形成されるため、カルシウム成分の溶出が抑制されます。
(4)×:誤りです。溶出による劣化とは、コンクリート中のセメント水和物成分が、周囲の水に溶解して硬化体組織が疎となる現象です。主要な水和生成物のうち、最も溶解度が大きいのは水酸化カルシウムです。水酸化カルシウムが消費された後に、カルシウムシリケート水和物の溶出が進行します。
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