【H26_No.21~25】コンクリート主任技士 問題と解説

主任技士過去問解説

【H26_No.21~25】コンクリート主任技士 問題と解説

【(H26)-No.21】

 寒中コンクリートおよび暑中コンクリートの養生方法に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか
(1)寒中コンクリートでは、構造物の周囲に上屋や囲いを設け、その内部を加熱してコンクリートの冷却を防止する方法が有効である。
(2)寒中コンクリートでは、コンクリートの表面を断熱シートなどの断熱材料で覆い、セメントの水和熱を利用してコンクリートの冷却を防止する方法が有効である。
(3)暑中コンクリートでは、打込み後速やかに、ポリエチレンシートなどの遮水性のあるシートで表面を保護し、水分の急激な発散を防ぐ方法が有効である。
(4)暑中コンクリートでは、表面全体に一様に冷風を当てることにより、コンクリート温度を下げる方法が有効である。
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正解(4)

(1)〇:問題のとおりです。寒中コンクリートでは、初期凍害を防止するために、構造物の周囲に上屋や囲いを設け、その内部を加熱してコンクリートの冷却を防止する方法が有効です。
(2)〇:問題のとおりです。寒中コンクリートでは、コンクリートの表面を断熱シートなどの断熱材料で覆い、セメントの水和熱を利用してコンクリートの冷却を防止する方法が有効です。
(3)〇:問題のとおりです。暑中コンクリートでは、コンクリート表面が直射日光や風にさらされると、急激な乾燥が生じ、ひび割れが生じやすくなります。打込み後速やかに、ポリエチレンシートなどの遮水性のあるシートで表面を保護し、水分の急激な発散を防ぐ方法が有効です。
(4)×:誤りです。暑中コンクリートでは、表面全体に一様に冷風を当てた場合、コンクリート表面のみ温度が下げることで、コンクリート表面と内部の温度差による温度応力が生じ、温度ひび割れが生じる可能性があります。

【(H26)-No.22】

 型枠・支保工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)土木学会示方書およびJASS5により型枠を設計する場合、型枠に作用するコンクリートの側圧の計算にあたって、打込み箇所の鋼材量や配筋状態は考慮しなくてよい。
(2)せき板として使用する合板は、加工が容易で一般に経済的であるが、樹種によってはコンクリート表面に着色・変色・硬化不良などの欠陥をもたらすことがある。
(3)水平部材の支保工の設計では、打ち込まれるコンクリートの自重などによる沈下量を考慮して、上げ越し(むくり)をつける。
(4)柱部材の型枠下部に作用する打込み完了時の側圧は、スランプが大きいほど、また凝結が早いほど大きくなる。
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正解(4)

(1)〇:問題のとおりです。土木学会示方書およびJASS5により型枠を設計する場合、型枠に作用するコンクリートの側圧の計算にあたって、打込み箇所の鋼材量や配筋状態は考慮しなくてよいとされています。
(2)〇:問題のとおりです。せき板として使用する合板は、加工が容易で一般に経済的ですが、樹種によってはコンクリート表面に着色・変色・硬化不良などの欠陥をもたらすことがあります。この硬化不良は、木材に含まれるリグニンや糖類などが原因とされています。
(3)〇:問題のとおりです。水平部材の支保工の設計では、打ち込まれるコンクリートの自重などによる沈下量を考慮して、上げ越し(むくり)をつけます。
(4)×:誤りです。柱部材の型枠下部に作用する打込み完了時の側圧は、スランプが大きいほど、また凝結が遅いほど大きくなります。

【(H26)-No.23】

 鉄筋の加工、組立ておよび継手に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)鉄筋の末端部のフックの余長は、コンクリートとの定着効果の観点から、折曲げ角度が90°の場合よりも180°の場合の方が長くとる必要がある。
(2)異形鉄筋を用いる場合の閉鎖型の帯筋やあばら筋では、異形鉄筋とコンクリート間の付着力が大きいため、鉄筋の末端部のフックを90°とするのが一般的である。
(3)鉄筋量が多い部材では、重ね継手よりもガス圧接継手を用いる方が、継手位置での鉄筋のあきを確保できるので、一般的にコンクリートの打込みが容易になる。
(4)呼び名がD32で種類がSD345の鉄筋と、同じ径のSD490の鉄筋は、強度ランクが2つしか離れていないので、ガス圧接継手によって接合することができる。
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正解(3)

(1)×:誤りです。鉄筋の末端部のフックの余長は、折曲げ角度が180°の場合よりも90°の場合の方が長くとる必要があります。
(2)×:誤りです。異形鉄筋を用いる場合の閉鎖型の帯筋やあばら筋では、鉄筋の末端部のフックを135°とするのが一般的です。
(3)〇:問題のとおりです。鉄筋量が多い部材では、重ね継手よりもガス圧接継手を用いる方が、継手位置での鉄筋のあきを確保できるので、一般的にコンクリートの打込みが容易になります。
(4)×:誤りです。ガス圧接継手は、強度ランクが1つ離れている場合に接合可能です。また、鉄筋の直径を表す呼び名の数字の差が、7以内の場合に接合可能です。

【(H26)-No.24】

 寒中コンクリートに関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)コンクリート表面が型枠の取外し直後に湿った状態とならないので、土木学会示方書に従って、初期凍害を防ぐための初期養生は圧縮強度が3.5N/mm2に達するまでとした。
(2)初期凍害を防止するため、凍結を生じやすい毛細管の量が少なくなるように水セメント比や単位水量を大きくした。
(3)外気温が氷点下であったため、周囲に囲いを設けてコンクリートを打込んだ後、初期凍害を防止できる強度が得られるまで加熱養生を行い、土木学会示方書に従って、さらに2日間コンクリートの温度を0℃以上に保った。
(4)JASS5に従って、日平均気温またはコンクリート平均温度に20℃を加算し、必要な強度が得られるまでの期間について総和した値を積算温度として、発現強度を推定した。
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正解(3)

(1)×:誤りです。初期凍害を防ぐための初期養生は圧縮強度が5N/mm2に達するまでとされています。
(2)×:誤りです。初期凍害を防止するため、凍結を生じやすい毛細管の量が少なくなるように水セメント比や単位水量を小さくします。
(3)〇:問題のとおりです。初期凍害を防止できる強度である5N/mm2が得られるまで温度を5℃以上に保ち、さらに2日間コンクリートの温度を0℃以上に保つことが標準とされています。
(4)×:誤りです。日平均気温またはコンクリート平均温度に10℃を加算し、必要な強度が得られるまでの期間について総和した値を積算温度として、発現強度を推定します。

【(H26)-No.25】

 海水の作用を受けるコンクリートに関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか
(1)コンクリート構造物中の鋼材腐食に対する対策として、コンクリートの外部に陰極(カソード)を設置し、鋼材を陽極(アノード)とする電気防食工法が有効である。
(2)硬化後に外部からコンクリート中に侵入する塩分は、アルカリの供給源となるため、アルカリシリカ反応を助長させることがある。
(3)やむを得ず打継目を設ける場合、鉄筋の腐食が懸念されることから、打継目は海水中を避け、最高潮位近傍に設けるのが良い。
(4)海水に接するコンクリートでは、セメント硬化体中の水酸化カルシウムと海水中の硫酸マグネシウムが反応し、生成される膨張性の物質が組織を充填し緻密になる。
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正解(2)

(1)×:誤りです。コンクリート構造物中の鋼材腐食に対する対策として、鋼材に陰極(カソード)を設置し、コンクリートの外部を陽極(アノード)として、鋼材の電位をマイナス方向へ変化させる電気防食工法が有効です。
(2)〇:問題のとおりです。硬化後に外部からコンクリート中に侵入する塩分は、アルカリの供給源となるため、アルカリシリカ反応を助長させることがあります。
(3)×:誤りです。打継目はコンクリート内部に劣化因子が侵入する弱点となりやすいので、干満部を避けます。最高潮位から上60cmと最低潮位から下60cmとの間には、打継目を設けないようにします。
(4)×:誤りです。海水中の硫酸マグネシウムは、セメントの水和生成物である水酸化カルシウムと反応し、膨張性のある石こう(硫酸カルシウム)と水酸化マグネシウムを生成します。さらに、生成された石こうの一部は、セメント中のアルミン酸三カルシウムと反応して、膨張性のエトリンガイトを生成します。膨張性の石こうおよびエトリンガイトによってコンクリートにひび割れを発生させることがあります。
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