【JASS5改定】2022年の改定で大きく変わったところ
このページでは、建築およびコンクリート関係資格取得を目指す方向けに、2022年11月に改訂されたJASS5で筆者が気づいたポイントを備忘録のためにまとめています。
どなたかのお役に立てば幸いです。
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紛体
紛体:結合材、結合材と非活性無機質微粉末とを混合したもので、フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性に寄与する微粉末状の物質の総称です。単位粉体量計算や水粉体比の計算に用いられます。
単位セメント量、単位結合材料、単位粉体量は、それぞれ意味が異なるので、注意が必要です。
コンクリートの種類
高強度コンクリート:設計基準強度が48N/mm2を超えるコンクリート。従来は、設計基準強度が36N/mm2を超えるコンクリートでした。
低収縮コンクリート:2022年の改定で新設された項目です。コンクリートの乾燥収縮率を650×10-6以下としたコンクリートです。乾燥収縮率を満足させるために、膨張材・収縮低減剤・化学混和剤・粗骨材などの材料を選定し、工事監理者の承認を受けることとされています。目標とする乾燥収縮率により、等級が設けられました。等級の数字が大きくなるほど、収縮しにくい(ひび割れが生じにくい)コンクリートとなります。
水準 | 目標とする乾燥収縮率 |
低収縮等級1 | 650×10-6以下 |
低収縮等級2 | 500×10-6以下 |
低収縮等級3 | 400×10-6以下 |
現場練りコンクリート:2022年の改定で新設された項目です。施工者が工事現場内で製造するコンクリートです。1969年版のJASS5までは、コンクリートプラントで製造する「レディーミクストコンクリート」が特別仕様でしたが、近年のコンクリートの施工状況から、今回の改定で「現場練りコンクリート」が特別仕様になりました。
要求性能
環境性:2022年の改定で新設された項目です。コンクリートの構造安全性、耐久性、耐火性、使用性に加え、今回の改定で追加されました。環境性は、資源循環性、低炭素性および環境安全性に関する規定が設けられています。資源循環性および低炭素性については、等級が設けられています。
資源循環性 | |
---|---|
資源循環等級0 | 再生材料を使用しない |
資源循環等級1 | 構成材料の1つに資源循環に貢献する再生材料を使用する |
資源循環等級2 | 構成材料の複数に資源循環に貢献する再生材料を使用する 構成材料の1つに資源循環に大きく貢献する再生材料を使用する |
資源循環等級3 | 構成材料の複数に資源循環に大きく貢献する再生材料を使用する |
資源循環に貢献すると大きく貢献するの違いについて。例えばスラッジ水は未利用率が高いため大きく貢献する材料で、上澄水は利用率が高いため貢献する材料となります。等級の決め方は、ポイント制となっています。骨材などの構成材料ごとに、どれくらいの割合を使うかでポイントが異なります。
低炭素性 | |
---|---|
低炭素等級0 | 0%≦CO2削減率≦5% |
低炭素等級1 | 5%<CO2削減率≦20% |
低炭素等級2 | 20%<CO2削減率<40% |
低炭素等級3 | 40%≦CO2削減率 |
環境安全性:建築物の供用期間において、有害化学物質が有害量溶出しないものとされています。
練混ぜ水
計画供用期間の級が超長期の場合は、スラッジ水を用いないこととされました。従来は、計画供用期間の級が長期および超長期の場合は、回収水を用いないこととされていました。
分類 | 計画供用期間の級 | |||
短期・標準 | 長期 | 超長期 | ||
回収水 | 上澄水 | 従来:〇 | 従来:× | 従来:× |
今回:〇 | 今回:〇 | 今回:〇 | ||
スラッジ水 | 従来:〇 | 従来:× | 従来:× | |
今回:〇 | 今回:〇 | 今回:× |
まとめ
近年の社会状況から、用語の定義が変更・追加されました。環境に関する項目が追加されたり、この記事では触れませんでしたがIT,IoT活用のための規定が盛り込まれていることも改定のポイントとして挙げられます。以上、どなたかのお役にたてば幸いです。