【H27_No.16~20】コンクリート主任技士 問題と解説
【(H27)-No.16】
コンクリートを吐出量50m3/hで水平に長距離圧送することを計画した。コンクリートポンプ車から筒先の水平距離は150mで、圧送管は5B管とした。下記の文章の空欄aおよびbに入る値の組合せとして、適当なものはどれか。
輸送管の高圧配管の範囲を確認するため、圧送負荷が3N/mm2となる地点を求めたところ、筒先から( a )mであった。コンクリートポンプを選定するため、必要な吐出圧力を求め、経済性も考慮し、( b )N/mm2の吐出能力を有するポンプを選定した。なお、所定の吐出能力は、圧送負荷の1.25倍の最大圧送負荷を満足するものとした。
管内圧力損失と吐出量の関係は、次の式で表される。
$${管内圧力損失(×}10^{-2}{N/mm}^2{/m}{)}=0.03{×}{(吐出量(}{m}^3{/h))}+1.0$$
a | b | |
(1) | 96 | 3.75 |
(2) | 96 | 5.0 |
(3) | 120 | 3.75 |
(4) | 120 | 5.0 |
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正解(4)
圧送管1mあたりの圧力損失は、問題文で与えられています。吐出量は50m3とすると。
$$0.03{×}50+1=2.5{×}10^{-2}{(N/}{mm}^2{/m)}$$
150m圧送するので、管内での圧力損失(筒先での圧送負荷)は、上式(1mあたり)に150を乗じます。
$$2.5{×}10^{-2}{×}150=3.75{N/mm}^2$$
筒先(ポンプから150m先)での圧送負荷は、3.75N/mm2となります。つぎに、圧送負荷が3.0N/mm2となる位置を計算します。
150(m):3.75(N/mm2)=x(m):3.0(N/mm2)より
150(m):3.75(N/mm2)=x(m):3.0(N/mm2)より
$${x}=\frac{3.0}{3.75}{×}150=120{(m)←aの答え}$$
ポンプの吐出能力は、最大圧送負荷の1.25倍以上の能力が必要です。
$$3.75{×}1.25=4.69{≦}5.0{←bの答え}$$
【(H27)-No.17】
下図に示す鉄筋コンクリート床版を打ち継ぐ位置として、適当なものはどれか。
(1)A点近傍(たわみが小さい位置)
(2)AB間(鉄筋の継手を計画している位置)
(3)B点近傍(曲げモーメントが小さい位置)
(4)C点近傍(曲げモーメントが最も大きい位置)
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正解(4)
(1)×:誤りです。A点近傍は曲げにより上端に引張力が働き、たわみが小さく、コンクリートに生じる圧縮力は小さいです。
(2)×:誤りです。AB間は、鉄筋の継手と同位置であり、コンクリートの打ち継ぎを設けることは望ましくありません。
(3)×:誤りです。B点近傍は、曲げモーメントが最も小さい位置で、コンクリートに生じる圧縮力は小さいです。
(4)〇:問題のとおりです。曲げモーメントが最大となる位置で、コンクリートに生じる圧縮力が最大となる位置です。
【(H27)-No.18】
各種コンクリートの養生に関する次の一般的な記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)初期材齢時の湿潤養生が不十分であると、組織が密実にならないので、強度の増進が小さくなり、炭酸ガスや塩分の浸透に対する抵抗性が低下する原因にもなる。
(2)壁状構造物のマスコンクリートの施工において、型枠の取外し直後のコンクリート表面に冷水を散水すると、コンクリート温度を下げられるので、温度ひび割れの防止に有効である。
(3)低熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートは、強度発現が遅いので、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも湿潤養生期間を長くする必要がある。
(4)打込み直後の高強度コンクリートの上面に膜養生剤を散布すると、表面からの水分の蒸発を抑制できるので、プラスティック収縮ひび割れの防止に有効である。
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正解(2)
(1)〇:問題のとおりです。初期材齢時の湿潤養生が不十分であると、組織が密実にならないので、強度の増進が小さくなり、炭酸ガスや塩分の浸透に対する抵抗性が低下する原因にもなります。
(2)×:誤りです。壁状構造物のマスコンクリートの施工において、型枠の取外し直後のコンクリート表面に冷水を散水すると、表面の温度が急激に下がり、内部との温度差が生じることにより、温度ひび割れが生じやすくなります。
(3)〇:問題のとおりです。低熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートは、強度発現が遅いので、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも湿潤養生期間を長くする必要があります。
(4)〇:問題のとおりです。打込み直後の高強度コンクリートの上面に膜養生剤を散布すると、表面からの水分の蒸発を抑制できるので、プラスティック収縮ひび割れの防止に有効です。
【(H27)-No.19】
下図のA~Dの線は、スランプ18cmのコンクリートを高さ3.5mの鉛直部材に(1)~(4)のいずれかの条件で打込んだときの、型枠の最下部の側圧と打込み高さの関係を示したものである。図中のCの線に対応する打込みの条件として、適当なものはどれか。なお、打込み時の気温と配(調)合条件は同じとする。
(1)6m/hの打込み速さで柱部材に打ち込んだ場合
(2)6m/hの打込み速さで壁部材に打ち込んだ場合
(3)12m/hの打込み速さで柱部材に打ち込んだ場合
(4)24m/hの打込み速さで壁部材に打ち込んだ場合
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正解(1)
型枠設計用のコンクリートの側圧は、打込み速さの影響が最も大きくなります。打込み速さsは、s≦10(m/h)、10(m/h)<s≦20(m/h)、20<s(m/h)の場合で大きく異なります。打込み速さが速いほど、打込み高さが高くなっても、側圧が減少しにくくなります。つまり、図中のAおよびBは、打込み速さが速い(3)と(4)が該当します。
次に、型枠設計用のコンクリートの側圧は、部材断面の大きさに影響を受けます。壁のような断面の小さい(薄い)部材は、柱などの断面の大きい(厚い)部材よりも、打込み高さが高くなるほど、側圧の減少が大きくなります。Dは(2)が該当します。
以上より、図中のCに対応する打込みの条件は(1)となります。
次に、型枠設計用のコンクリートの側圧は、部材断面の大きさに影響を受けます。壁のような断面の小さい(薄い)部材は、柱などの断面の大きい(厚い)部材よりも、打込み高さが高くなるほど、側圧の減少が大きくなります。Dは(2)が該当します。
以上より、図中のCに対応する打込みの条件は(1)となります。
【(H27)-No.20】
鉄筋の継手に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。
(1)ガス圧接継手は、ハンマーを用いた打撃試験の周波数分析によって強度レベルを検査する。
(2)スリーブ圧着継手、ねじ節鉄筋継手は、機械式継手に分類され、D51のような太径鉄筋に使用できる。
(3)重ね継手は、鉄筋を平行に重ね合わせ、異形鉄筋の節同士のかみ合いによって力を伝達するものである。
(4)重ね継手の長さの最小値は、コンクリートの強度や鉄筋種類によらず、鉄筋の径によって定められている。
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正解(2)
(1)×:誤りです。圧接継手の内部の欠陥は超音波探傷試験で検査します。ハンマーを用いた打撃試験では、圧接部分の強度を推定することはできません。
(2)〇:問題のとおりです。スリーブ圧着継手、ねじ節鉄筋継手は、機械式継手に分類され、D51のような太径鉄筋に使用できます。
(3)×:誤りです。重ね継手は、鉄筋の応力をまずコンクリートに伝え、さらにコンクリートの応力を重ね合わせた鉄筋に伝える継手です。異形鉄筋やねじ節鉄筋のみではなく、丸鋼でも重ね継手は可能です。
(4)×:誤りです。重ね継手の長さの最小値は、コンクリートの強度や鉄筋種類および鉄筋の径、重ね継手部分の形状(フック)等によって細かく定められています。