【過去問演習No.51-55】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.51】

コンクリートの水密性を比較するための指標として,透水係数/Fc(cm/s)がある。この透水係数に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)水セメント比が大きいと,透水係数は小さくなる。
(2)粗骨材の最大寸法が大きいと,透水係数は大きくなる。
(3)混和材にフライアッシュⅡ種を使用すると,透水係数は小さくなる。
(4)湿潤養生を十分行うと,透水係数は小さくなる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。水セメント比が大きいほどセメント硬化体部分の組織はポーラスになり,水が移動するための空隙が多くなります。このようなコンクリートは水密性が低く,透水係数が大きいです。
(2)○正しい。粗骨材の最大寸法が大きくなると骨材の下面の水隙が大きくなり,水の通り道ができやすくなります。このようなコンクリートは水密性が低く,透水係数が大きいです。
(3)○正しい。フライアッシュなど良質なポゾラン物質はコンクリート中の水酸化カルシウムと反応し,その反応生成物によって空隙が充填され水密性を向上させ,透水係数の小さいコンクリートになります。
(4)○正しい。湿潤養生の期間が長いほどセメントの水和反応は進み,組織が緻密なセメント硬化体が形成されます。このようなコンクリートは水密性が高く,透水係数が小さいです。

【No.52】

普通コンクリートの力学的性質に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)圧縮強度は,空気量が増加すると小さくなる。
(2)圧縮強度は,同じ水セメント比の場合,川砂利より砕石を用いた方が大きくなる。
(3)圧縮試験により求められる応力-ひずみ関係は,破壊時まで直線状となる。
(4)曲げ強度は,圧縮強度が増加すると大きくなる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。水セメント比が一定のとき,空気量1%の増加によって圧縮強度は4~6%減少します。ただし,凍害を防止するために,一般にはAE剤やAE減水剤等を用いて3~6%の空気量が導入されています。
(2)○正しい。コンクリートの強度は,骨材の種類(石質)や粒径,表面状態等と関係があります。たとえば,表面が平滑な川砂利よりも,粗な砕石の方がセメント硬化体との付着力が大きくなり,コンクリートの圧縮強度は大きくなります。
(3)×誤り。コンクリートは完全な弾性体ではないので,応力とひずみの関係は最初から曲線となります。
(4)○正しい。曲げ強度と圧縮強度の比(曲げ強度/圧縮強度)は1/5~1/8程度で,圧縮強度の増加とともに曲げ強度も大きくなります。ただし,その比は圧縮強度の増加とともに小さくなります。

【No.53】

圧縮強度が30N/mm2の普通コンクリートの力学的性質に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)最大圧縮応力に達するときの圧縮ひずみは,0.02程度である。
(2)ポアソン比は,5~7程度である。
(3)圧縮応力下におけるクリープ限度は,圧縮強度の50%程度である。
(4)鉄筋の弾性係数は,コンクリートの弾性係数の7~10倍程度である。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。コンクリートの種類によって破壊時(最大圧縮応力時)の荷重一ひずみ関係は異なりますが,同一種類のコンクリートの場合,最大圧縮応力に達する際のひずみは0.2%前後です。
(2)×誤り。コンクリートに軸方向の力を加えたとき,その軸方向のひずみと直角方向のひずみの絶対値の比をポアソン比と呼びます。コンクリートの圧縮時のポアソン比は,1/5~1/7です。
(3)×誤り。持続応力度が破壊強度の80%程度を超すと載荷応力に比べきわめて大きなクリープ変形を生じ,コンクリートが破壊に至る場合があります。このような破壊をクリープ破壊と呼び,その下限応力をクリープ限度と呼びます。その値はおよそ75~85%程度です。
(4)○正しい。一般に,コンクリートの弾性係数(ヤング係数)は2.2~2.5×104N/mm2程度で,圧縮強度の増大とともに大きくなります。また,鉄筋の弾性係数は2.0×105N/mm2程度で引張強度に関係なく一定で,コンクリートの弾性係数との比は8~9程度です。

【No.54】

硬化コンクリートの各種強度に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートの引張強度は,円柱供試体を用いた割裂試験により求めることができる。
(2)コンクリートの曲げ強度は,角柱供試体を用いた曲げ強度試験により求めることができる。
(3)コンクリートのせん断強度は,圧縮強度と引張強度から間接的に求めることができる。
(4)コンクリートと鉄筋との付着強度は,円柱供試体を用いた局部加圧試験により求めることができる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。コンクリートの引張強度の試験方法は,JISA1113によって定められており,作製した円柱供試体を用い,図1に示す割裂試験で間接的に求めるのが標準です。
(2)○正しい。コンクリートの曲げ強度の試験方法は,JISA1106によって定められており,作製した断面が正方形の角柱供試体を用い,曲げ試験で最大曲げモーメントを求め,次の計算式から算出するのが標準です。
(3)○正しい。コンクリートのせん断強度は,圧縮強度と引張強度から間接的に求めることができます。
(4)×誤り。コンクリートのせん断強度を直接求めることは難しく,一般的には別途求めた圧縮強度と引張強度を用いて算出します。

【No.55】

普通コンクリートのひび割れの特徴に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートの沈下に起因するひび割れは,鉄筋の上部や壁と床の境目などに発生しやすい。
(2)セメントの水和熱に起因するひび割れは,拘束条件によらず部材断面を貫通して発生しやすい。
(3)乾燥収縮に起因するひび割れは,壁の開口部では隅角部から斜めに発生しやすい。
(4)火災および表面加熱に起因するひび割れは,表面全体に細かく亀甲状に発生しやすい。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。貧配(調)合のコンクリートやかぶり厚さが薄い場合,打設時の速度が速い場合や締め固めが不十分な場合,打設後から始発までの数時間に,はりの上端やスラブ面などの水平鉄筋(上部)に沿って発生するひび割れを沈下ひび割れといいます。
(2)×誤り。硬化初期の強度が不十分な時期,水和熱によって部材内部の温度が高まる一方,大気によって部材表面の温度が下がり,部材の内部と外部に大きな温度差(温度勾配)が生じた場合に発生するひび割れを温度ひび割れといいます。コンクリート舗装版などの場合には版を貫通することもありますが,一般には部材を貫通するまでには至りません。
(3)○正しい。開口部がある建物では,乾燥収縮によってそれら開口部の隅角部から発生し,斜め方向に伸びます。
(4)○正しい。火災による高温履歴を受けた場合,コンクリート中のセメントペーストは水分が蒸発して収縮しますが,骨材は逆に膨張するため,亀甲状(網目状)のひび割れが発生しやすくなります。
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