【過去問演習No.76-80】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.76】

特殊なコンクリートの配(調)合に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)増粘剤を用いない高流動コンクリートの場合,分離抵抗性を付与するため,粉体量を増やして水粉体比を小さくする。
(2)マスコンクリートの場合,温度上昇量を小さくするため,単位セメント量を少なくする。
(3)流動化コンクリートの場合,スランプを大きくするため,単位水量を多くする。
(4)軽量コンクリートの場合,耐凍害性を確保するため,空気量を多くする。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。増粘剤を用いない高流動コンクリート中の場合,水粉体比の減少(粉体量の増加)によって材料の分離抵抗性を付与します。
(2)○正しい。マスコンクリートの内部温度上昇を小さくするためには,水和熱の小さいセメントの使用や単位セメント量を少なくします。
(3)×誤り。流動化コンクリートの流動性および材料分離抵抗性については,スランプフローや漏斗流下時間等によって評価されますが,スランプを大きくするために単位水量を多くすることは品質の低下を招きます。
(4)○正しい。空気量を多くすると,耐凍害性の増大やワーカビリティーの改善になります。ただし,なるべく小さい値を選ぶことが望ましいです。

【No.77】

コンクリートの配(調)合に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)粗骨材の最大寸法は,打ち込み等に支障のない範囲内でできるだけ大きくするのがよい。
(2)空気量は,所要のワーカビリティーおよび耐凍害性が得られる範囲内でできるだけ大きくするのがよい。
(3)単位水量は,所要のスランプが得られる範囲内でできるだけ小さくするのがよい。
(4)単位セメント量は,所要のワーカビリティーおよび強度が得られる範囲内でできるだけ小さくするのがよい。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。粗骨材の最大寸法が大きくなると,コンクリート中の空隙率が小さくなり,単位セメント量および単位水量を少なくできます。
(2)×誤り。空気量が1%増えると,同一スランプを得るための単位水量は2~4%低減でき,空気量3~6%での耐凍害性は確認されています。しかし,過大な空気を連行すると,強度や耐久性の低下といったマイナス効果が大きくなります。
(3)○正しい。ブリーディング量の増大による材料分離を防ぐためにも,単位水量は所要のスランプが得られる範囲内で,できるだけ小さくします。
(4)○正しい。単位セメント量が大きいと,単位水量も増大し,乾燥収縮ひび割れや水和熱による温度ひび割れなどが発生する場合もあるため,単位水量はできるだけ小さくします。

【No.78】

温度ひび割れを抑制するための配(調)合上の対策に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)粗骨材の最大寸法を大きくした。
(2)減水率の高い混和剤に変更した。
(3)スランプを小さくした。
(4)細骨材率を大きくした。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。粗骨材の最大寸法が大きいほど,所要のスランプを得るための単位水量は少なくなり,単位セメント量も少なくできます。
(2)○正しい。減水率が高い混和剤を使用することにより,単位水量と単位セメント量を低減できるため,温度ひび割れを抑制できます。
(3)○正しい。一般に,スランプを大きくすると単位水量が多くなり,単位セメント量も増加することから,スランプは小さい方が温度ひび割れの発生確率は低いです。
(4)×誤り。同一のスランプを得る場合,緇骨材率が大きいと,より多くの単位水量が必要になるため,細骨材率は十分な施工性が確保できる範囲で小さくします。

【No.79】

コンクリートの性質に及ぼす配(調)合の影響に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)単位セメント量を大きくすると,水和熱によるひび割れは生じやすくなる。
(2)単位水量を大きくすると,乾燥収縮量は小さくなる。
(3)水セメント比を大きくすると,すり減り抵抗性は増加する。
(4)空気量を小さくすると,耐凍害性は増加する。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。セメントの水和反応は発熱反応であり,コンクリートの凝結・硬化時にセメントの水和熱が蓄積されると内部温度が上昇し,水和熱によるひび割れは生じやすくなります。
(2)×誤り。コンクリートの乾燥収縮は,単位セメント量および単位水量が多いほど大きくなる傾向にあります。
(3)×誤り。すり減りに対する抵抗性を高めるためには,水セメント比の小さな配(調)合として,圧縮強度を大きくします。
(4)×誤り。コンクリート中に空気量が適当量存在すると,自由水の移動を可能にするため凍結融解の繰返し作用に対する抵抗性(耐凍害性)が増大しますが,空気量を小さくすると耐凍害性は減少します。

【No.80】

高い水密性が要求されるコンクリートの配(調)合設計に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)水セメント比を,50%から60%に変更した。
(2)粗骨材の最大寸法を,20mmから40mmに変更した。
(3)普通ポルトランドセメントを,フライアッシュセメントB種に変更した。
(4)単位水量を,160kg/m3から180kg/m3に変更した。
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正解は(3)

【解説】
(1)×誤り。欠陥のないコンクリートでは,透水係数を支配する最大の因子は水セメント比であり,水セメント比が55%をこえると,セメントペーストの水密性が極端に低下します。
(2)×誤り。粗骨材の最大寸法が大きいほど,柤骨材下面の水膜が大きくなり透水係数が増大し,水密性が低下します。
(3)○正しい。十分な湿潤養生を行えば,フライアッシュの周辺部がポゾラン反応生成物で満たされ,長期にわたって強度が増進し水密性も向上します。
(4)×誤り。単位水量が大きく,スランプの大きいコンクリートはブリーディング量が増大し,分離しやすいです。この場合,鉄筋とコンクリートあるいは骨材とセメントペーストとの付着力の低下や,コンクリートの水密性の低下などをもたらします。
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