【過去問演習(2)No.131-135_施工】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.131】

型枠を取り外してよい時期に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)JASS5によれば,平均気温が25℃の場合は15℃の場合よりも型枠を早く取り外すことができる。
(2)JASS5によれば,混合セメントB種を用いる場合は,普通ポルトランドセメントを用いる場合よりも型枠を早く取り外すことができる。
(3)土木学会示方書によれば,梁の底面の型枠は,梁の側面の型枠よりも低いコンクリート強度で取り外すことができる。
(4)土木学会示方書によれば,壁の側面の型枠は,フーチングの側面の型枠よりも低いコンクリート強度で取り外すことができる。
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正解は(1)

【解説】
(1)○正しい。一般に平均気温が高い場合は,低い場合に比べて型枠を早く取り外すことができます。
(2)×誤り。混合セメントB種を用いるコンクリートは,普通ポルトランドセメントを用いる場合に比べて,強度の発現が遅くなります。
(3)×誤り。梁の底面の型枠を取り外す方法は次の2法があります。①梁の支柱を取り外した後にせき板を取り外す,②梁の支柱を一時的に取り外し型枠を取り外した後支柱を元どおりに取り付ける。①の場合,コンクリート強度は設計基準強度に達していなければなりません。②の場合,一時的に梁の支柱を外すので,①の場合よりは低いですが梁の側面の型枠よりも高いコンクリート強度が得られた後でなければ行うことはできません。
(4)×誤り。部材の側面の型枠の取り外し時期は,部材の種類によらず一定です。

【No.132】

型枠の施工、取り外しに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)水平部材について,側面の型枠を底面の型枠よりも早く取り外すようにした。
(2)梁部材の型枠支保工の組立てに際し打ち込まれたコンクリートの自重などで型枠がたわむことを考慮して,上げ越し(むくり)を設けた。
(3)コンクリート橋脚の打ち込みに際し,透水性型枠を使用することにより,コンクリート表層の品質を向上させた。
(4)断面の大きな部材において,コンクリートの内部温度が最大となったことを確認した後,速やかに型枠を取り外して散水した。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。水平部材の側面の型枠は,5~10N/mm2/程度の強度に達すれば取り外すことができます。底面の型枠の支柱は,コンクリート強度が設計基準強度を満たすか,構造計算により安全であることが確認できる強度に達していなければ取り外すことはできません。
(2)○正しい。コンクリート打ち込み後コンクリートの自重などにより,型枠が変形したり,支保工・型枠の間に存在する弛み等により変形します。このため,上げ越し(むくり)を付けて型枠を組み立てるのは通常行われることです。
(3)○正しい。透水型枠は,コンクリート中の余剰水分を吸収し排出する機能をもっていて,コンクリート表層つまり,型枠接触面の品質を向上させる性能をもっています。また,傾斜した蓋状の型枠の場合,いわゆる水あばた等の防止にも有効です。
(4)×誤り。断面の大きな部材,すなわちマスコンクリートにおいて,ひび割れの発生する要因は,内部拘束と外部拘束です。ひび割れの発生を少なくする対策としては,前者は内外の温度差を小さくすること,後者はコンクリート部材全体の温度降下勾配を小さくすることが重要です。いずれの場合でも表面を急冷することは行ってはなりません。

【No.133】

鉄筋の加工および組立てに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)鉄筋の交点の要所は,直径0.8mm以上の焼きなまし鉄線またはクリップで緊結する。
(2)鉄筋の曲げ加工は,常温で行うのが原則である。
(3)鉄筋のあきの最小寸法は,粗骨材の最大寸法および鉄筋径によって異なる。
(4)かぶり(厚さ)は,鉄筋芯からコンクリート表面までの距離である。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。組み立てた鉄筋はその後の作業によって変形や乱れを生じないよう,その交点を全数の1/2程度結束しなければなりませんが,直径0.8mm以上の焼きなまし鉄線またはクリップで緊結します。溶接などで緊結してはなりません。
(2)○正しい。鉄筋を曲げ加工する際鉄筋を加熱すると鉄筋の品質が劣化します。鉄筋の曲げ加工は常温で行うのが原則です。
(3)○正しい。鉄筋のあきとは,隣り合う鉄筋間の鉄筋表面相互の間隔です。その最少値は,以下の2条件から定められています。すなわち,①コンクリートを充填する際,鉄筋問をコンクリートが支障無く(少なく)通過するため,②鉄筋コンクリート部材が外力を受けた際,鉄筋とコンクリートの付着を確保(あき部分にひび割れが発生しないよう)するため,です。つまり,あきの最小寸法は,①は粗骨材の最大寸法,②は鉄筋径によって定まります。
(4)×誤り。かぶり(厚さ)は,コンクリートを鉄筋の保護材料としてとらえ,耐火性,コンクリートの中性化,耐久性から定められています。このため,コンクリートの寸法が重要であり,鉄筋表面からコンクリート表面までの距離を指します。

【No.134】

現場における鉄筋の加工・組立ておよび継手に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)帯(鉄)筋やあばら筋(スターラップ)を加工する場合にその末端部に135°フックを設けた。
(2)疲労を受ける部位の主(鉄)筋と帯(鉄)筋を組み立てる場合に,疲労強度を確保するため,鉄筋の交点の要所を溶接して組み立てた。
(3)鉄筋をガス圧接により接合する場合に,曲げ加工部の近傍を避けて行った。
(4)ガス圧接を行った場合に,超音波探傷によりガス圧接部の検査を行った。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。柱やはりのせん断補強筋は,その末端部に135°以上のフックを付けるか,溶接し閉鎖型としなければなりません。
(2)×誤り。鉄筋を組み立てる際,その交点を溶接すると溶接部で鉄筋の性状が変化し欠陥となります。鉄筋の交点の固定,曲げ加工等鉄筋の加工組立ては冷間で行うのが原則です。
(3)○正しい。曲げ加工部の近傍は,鉄筋が伸びと圧縮の変形を受けているので,ガス圧接作業により加熱するとさらに品質が変化する可能性があります。したがって,曲げ加工近傍では圧接は避けるべきです。
(4)○正しい。鉄筋をガス圧接接合した場合,圧接面の欠陥の有無を調査するには,超音波による探傷検査が有効です。

【No.135】

鉄筋の重ね継手に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)D32を超える太径の鉄筋は,重ね継手には適していない。
(2)継手の長さは,コンクリート強度が高いほど長くする。
(3)継手の長さは,鉄筋の強度が高いほど長くする。
(4)フック付き重ね継手の長さは,直線重ね継手の長さより短くできる。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。重ね長さは鉄筋の径に応じて決められており,鉄筋に発生する応力に応じて径の20~50倍の長さとしなければなりません。このため,D32をこえるような太径の鉄筋では,重ね長さが1mをこえることになり,きわめて不経済となり,適用は困難となります。
(2)×誤り。コンクリート強度が高い場合,コンクリートのひび割れ抵抗は高くなり,短い区間で応力を伝達することができるので,重ね長さを短くすることができます。
(3)○正しい。鉄筋の強度が高い場合,その応力を伝達するためには,コンクリート区間の長さはより長くしなければなりません。
(4)○正しい。重ね継手にフックを付けた場合,直線重ね継手に比べて定着の程度は高く,フック付き重ね継手は重ね長さを直線重ね継手の長さより短くできます。
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