【No.131】
鉄筋の加工および組立てに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)鉄筋の曲げ加工を,常温で行った。
(2)帯(鉄)筋やあばら筋(スターラップ)の末端部に,フックを設けた。
(3)種類の記号がともにSD345で,呼び名がD25とD29の鉄筋の継手に,ガス圧椄継手を用いた。
(4)粗骨材の最大寸法が同じなので,鉄筋のあきの最小値を鉄筋径に関わらず一定とした。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。鉄筋を曲げ加工する際加熱すると,鉄筋が加熱あるいは冷却される際その組織や状態が変化し,材質が脆くなる等の不具合が生じるので,曲げ加工の際加熱してはなりません。
(2)○正しい。帯(鉄)筋やあばら筋(スターラップ)等のせん断補強筋は,引張を受けた場合その引張に耐えなくては意味がないので,通常,せん断補強筋はフックを付けて定着するか,溶接等により閉鎖形とします。
(3)○正しい。鉄筋にガス圧接継手を用いる場合,同一種類かつ径の呼び名が同一であれば問題ません。また,種類の記号が一段差まで,あるいは径の呼び名の数値差が7以下であればガス圧接継手を用いてよいです。
(4)×誤り。鉄筋のあきの最小値は,コンクリートの充填性が粗骨材の最大寸法から,また,コンクリートのひび割れ発生の可能性は鉄筋径により決定します。
【No.132】
鉄筋の組立てに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)現場における直組みにおいて,帯(鉄)筋が動かないように,主(鉄)筋との交点の要所を0.8mmの焼きなまし鉄線で緊結した。
(2)床スラブにおいて,所定のかぶり(厚さ)が確保できるように,スベーサを2m2あたり1個設置した。
(3)エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いていたので,風雨および日射のあたる屋外に長期間組み立てた状態で放置した。
(4)種類の記号がSD345の鉄筋とSD490の鉄筋をガス圧接により接合した。
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正解は(1)
【解説】
(1)○正しい。鉄筋を現場において組み立てる際,交点を溶接すると,溶接部の材質が変化して硬くなり伸び能力が低下する,溶接部近傍に断面欠損が生じるなどの欠陥が生じやすいです。このため,通常は鉄筋の交点を溶接してはならず,交点はなまし鉄線で緊結します。
(2)×誤り。床スラブの鉄筋は,比較的径の細い鉄筋が使用されるほか,コンクリート打設の際の配管の振動等,作業による影響を受けやすいです。このため,通常0.9m四方ないし1.0m四方の頂点に1個,すなわち,1.0m2以内に1個あて設置します。
(3)×誤り。一般に,エポキシ樹脂等の合成樹脂は,紫外線により劣化します。このため長期間太陽光に曝してはなりません。
(4)×誤り。鉄筋をガス圧接により接合する場合,通常は同種類かつ同径のものどうしを接合します。しかし,構造物の高さ方向や部位の違いにより,異なる種類あるいは異なる径の鉄筋を接合する場合があります。この際,種類については記号1段階差までのものは接合してよいです。つまり,SD345にはSD390までは接合することができます。ちなみに,径については7mmの差まで許されます。
【No.133】
鉄筋の加工および組立てに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)粗骨材の最大寸法が20mmであるため,鉄筋のあきの最小寸法を20mmとした。
(2)曲げ加工した鉄筋を,曲げ戻して使用した。
(3)現場で施工しやすいように,柱の主(鉄)筋のガス圧接継手を同じ高さに設けた。
(4)鉄筋の交点の要所を,直径0.8mmの焼きなまし鉄線で緊結した。
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正解は(4)
【解説】
(1)×誤り。配筋の際の鉄筋相互の“あきに関する記述ですが,まず,鉄筋相互のあきはコンクリートの充填作業からのみ決定するのではないことを知っておかなければなりません。あき部分のひび割れを防止する目的で鉄筋径,コンクリート強度にも左右されます。
(2)×誤り。一度曲げ加工を行うと鉄筋の品質が変化します。これを曲げ戻すとさらに品質の変化が生じ,見掛けが直線となっていても品質の異なる部分が残ることとなります。このため,一度曲げ加工した鉄筋を曲げ戻して使用してはなりません。
(3)×誤り。ガス圧接継手は,引張強度については母材と同等以上とみなしてよいです。しかし,圧接部分は断面が大きく,引張力を受けた際の伸び能力は母材部分より小さくなります。このため,圧接継手を柱の同じ高さ(同一断面)に設けると,その断面では変形に追随しにくくなります。さらに,この圧接こぶによりコンクリートの充填性も低下します。
(4)○正しい。鉄筋を組み立てる際コンクリート打設などその後の作業により配筋の乱れが生じないようにするため,交点を焼きなまし鉄線で緊結します。この作業を鉄線による“結束”と称しています。交点を溶接で緊結する方法は,鉄線で結束する方法より固定度が高く乱れ防止の側面からは良好です。しかし,溶接部分の鉄筋の品質変化,断面欠損等の可能性が高くなるため,溶接してはなりません。
【No.134】
鉄筋の加工,組立てに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)重ね継手の長さを,鉄筋の種類,直径およびコンクリートの設計基準強度を考慮して定めた。
(2)重ね継手部は,鉄筋の断面積が大きくなるので,断面力(部材応力)が大きい部分に配置した。
(3)鉄筋の端面に塗料が付着していたが,塗料を除去せずにガス圧接した。
(4)曲げ過ぎた鉄筋を,正しい形状になるように大きく曲げ戻した。
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正解は(1)
【解説】
(1)○正しい。重ね継手を用いる場合,その重ね長さは,鉄筋の種類,直径およびコンクリートの設計基準強度を基に決定します。
(2)×誤り。重ね継手部分は鉄筋の断面積が大きくなるため,コンクリートの充填が十分ではなく欠陥が発生する可能性があります。したがって,重ね継手に限らず,鉄筋の継手は部材内の断面力の小さい部分に設ける。
(3)×誤り。ガス圧接あるいは溶接継手を用いる場合,端面のさび汚れなどを落した後作業を行うのが鉄則です。
(4)×誤り。鉄筋を加工する際曲げを繰り返すとその部分が脆くなり,鉄筋の伸び能力が小さくなるため,曲げ伸ばしした鉄筋を使用してはなりません。
【No.135】
鉄筋の加工および組立てに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)鉄筋の曲げ加工は,鉄筋の加工部を加熱して行うのがよい。
(2)鉄筋の折曲げ内法直径(または曲げ内半径)は,鉄筋の種類や径によって決定するのがよい。
(3)鉄筋相互のあきは,粗骨材の最大寸法以上とするのがよい。
(4)鉄筋表面に浮きさびがあっても,これを除去せずにそのまま組み立てるのがよい。
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正解は(2)
【解説】
(1)×誤り。鉄筋を加工する際,熱を加えると材質が変化し,その機械的性質にさまざまな変化を生じさせるため,鉄筋を加熱してはなりません。
(2)○正しい。鉄筋を曲げ加工する際,極端に小さい角度で曲げるとその部分が変質し脆くなり,場合によっては折れることがあります。そのため,鉄筋の種類(材質)とその径に応じて内法直径(または曲げ内半径)の最小値が定められています。
(3)×誤り。鉄筋相互のあきの値は,コンクリートの充填と引張応力が生じた際のひび割れ防止の観点から定められています。粗骨材最大寸法と同じではコンクリート充填に支障が生じることがあるため,鉄筋のあきは粗骨材最大寸法の1.25倍以上とされています。
(4)×誤り。鉄筋表面の状態は,黒皮(酸化皮膜)に点状のさびがある程度であればそのまま組み立ててよいです。しかし,浮きさび部分はコンクリートとの付着を阻害するので残しておいてはなりません。また,さびの状態(深さ)を確認するためにも浮きさびは落とさなければなりません。