コンクリート診断士 問題と解説Vol.2-38
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【No.186】
補強工法に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)巻き立て工法は,既設コンクリート部材の周囲に補強材を配置し,既設部材との一体化により,必要な性能を図る工法である。
(2)外ケーブル工法は,緊張材をコンクリートの外部に配置し,定着部あるいは偏向部を介して部材に緊張力を与えることにより,必要な性能の向上を図る工法である。
(3)外ケーブル工法は,プレストレスを導入することにより,コンクリート橋の曲げおよびせん断補強を目的とする補強方法で,構造物の局所的な補強よりも,構造系の変更や断面力の改善を目的として採用されることが多い。
(4)外ケーブル工法は,プレストレスを導入すると,剛性が向上する。
クリックで【No.186】の解答と解説をみる
正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。巻き立て工法は,既設コンクリート部材の周囲に補強材を配置し,既設部材との一体化により,必要な性能を図る工法です。
(2)○正しい。外ケーブル工法は,緊張材をコンクリートの外部に配置し,定着部あるいは偏向部を介して部材に緊張力を与えることにより,必要な性能の向上を図る工法です。
(3)○正しい。外ケーブル工法は,プレストレスを導入することにより,コンクリート橋の曲げおよびせん断補強を目的とする補強方法で,構造物の局所的な補強よりも,構造系の変更や断面力の改善を目的として採用されることが多いです。
(4)×誤り。外ケーブル工法は,プレストレスを導入しても,剛性は向上しません。
【No.187】
補強工法に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)床スラブの補強において,床スラブに過大なひび割れが発生し,大たわみが生じている場合の補強は支持点を追加する小梁の増設工法が適する。
(2)床スラブのひび割れが網目状に発生している加速期にある場合は,ひび割れ補修工法では不十分となるため,鋼板接着工法や連続繊維シート接着工法などの補強工法が適する。
(3)梁の補強において,損傷度が小さい場合は,樹脂注入工法などで性能回復を図る。
(4)梁の補強において,損傷度が大きい場合は,コンクリートの増し打ちなどで性能の回復を図ることが一般的である。
クリックで【No.187】の解答と解説をみる
正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。床スラブの補強において,床スラブに過大なひび割れが発生し,大たわみが生じている場合の補強は支持点を追加する小梁の増設工法が適します。
(2)○正しい。床スラブのひび割れが網目状に発生している加速期にある場合は,ひび割れ補修工法では不十分となるため,鋼板接着工法や連続繊維シート接着工法などの補強工法が適します。
(3)○正しい。梁の補強において,損傷度が小さい場合は,樹脂注入工法などで性能回復を図る。
(4)×誤り。梁の補強において,損傷度が大きい場合は鋼板や炭素繊維シートを用いた工法で体力回復を図ることが一般的です。
【No.188】
補強工法に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)柱の補強において,損傷度が小さい場合には,樹脂注入工法などで性能回復を図る。
(2)柱の補強において,損傷度が大きい場合は,鋼板や炭素繊維シートを用いた工法により耐力と剛性の性能回復を図る。
(3)壁の補強において,損傷度が小さい場合には,樹脂注入工法などで性能回復を図る。
(4)壁の補強において,損傷度が大きい場合は鋼板や炭素繊維シートを用いた工法で,性能の回復を図る。
クリックで【No.188】の解答と解説をみる
正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。柱の補強において,損傷度が小さい場合には,樹脂注入工法などで性能回復を図ります。
(2)×誤り。柱の補強において,損傷度が大きい場合は,鋼板や炭素繊維シートを用いた工法により耐力の性能回復を図れますが,剛性の回復には,コンクリートの増し打ちなどの補強が必要です。
(3)○正しい。壁の補強において,損傷度が小さい場合には,樹脂注入工法などで性能回復を図ります。
(4)○正しい。壁の補強において,損傷度が大きい場合は鋼板や炭素繊維シートを用いた工法で,性能の回復を図ります。
【No.189】
補修方法に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)漏水やさび汁が認められないコールドジョイントに対し,劣化因子を遮断するために,縁切れ部をUカットし,ポリマーセメントモルタルを充填した。
(2)漏水やさび汁が認められない乾燥収縮ひび割れに対し,劣化因子の遮断をするために,ひび割れに可とう性エポキシ樹脂材を注入した。
(3)塩害で鋼材腐食が生じているPC桁で,鋼材が腐食によって膨張し,コンクリートがひび割れ,はく離している場合,耐荷力を回復するために,鋼材に防さび材を塗布し,ポリマーセメントモルタルで断面修復した。
(4)建物外壁に砂すじが生じていたため,美観の向上を目的として,砂すじとその近傍をケレンし,ポリマーセメントペーストを塗布した。
クリックで【No.189】の解答と解説をみる
正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。漏水やさび汁が認められないコールドジョイントは,耐力低下は無いと判断できるため,劣化因子を遮断するために,縁切れ部をUカットし,ポリマーセメントモルタルを充填します。
(2)○正しい。漏水やさび汁が認められない乾燥収縮ひび割れに対し,耐力低下は無いと判断できるため,劣化因子の遮断をするために,ひび割れに可とう性エポキシ樹脂材を注入します。
(3)×誤り。塩害で鋼材腐食が生じているPC桁で,鋼材が腐食によって膨張し,コンクリートがひび割れ,はく離している場合,ポリマーセメントモルタルによる断面修復では不十分であると考えられます。
(4)○正しい。砂すじは,耐力低下は無いため,美観の向上対策を実施します。
【No.190】
劣化抑制に関する次の記述のうち,最も適当なものはどれか。
(1)北陸地方にある道路橋の鉄筋コンクリート橋脚において,アルカリシリカ反応による亀甲状のひび割れが生じていた場合,ポリウレタン樹脂系被覆材による表面の被覆を実施する。
(2)北陸地方にある道路橋の鉄筋コンクリート橋脚において,アルカリシリカ反応による亀甲状のひび割れが生じていた場合,けい酸ナトリウムを主成分とする含侵材による表面への含侵を実施する。
(3)北陸地方にある道路橋の鉄筋コンクリート橋脚において,アルカリシリカ反応による亀甲状のひび割れが生じていた場合,流電陽極方式による電気防食を実施する。
(4)北陸地方にある道路橋の鉄筋コンクリート橋脚において,アルカリシリカ反応による亀甲状のひび割れが生じていた場合,炭酸カリウムを電解液とする再アルカリ化を実施する。
クリックで【No.190】の解答と解説をみる
正解は(1)
【解説】
(1)○正しい。ポリウレタン樹脂系被覆材による表面被覆は水分の供給を断つのでアルカリシリカ反応の進行抑制効果があります。
(2)×誤り。けいさんナトリウムはアルカリ性物質であり,アルカリシリカ反応の抑制には不適です。
(3)×誤り。流電陽極方式による電気防食工法は鉄筋が腐食している場合に適する工法であり,アルカリシリカ反応の進行抑制対策には適さません。
(4)×誤り。炭酸カルシウムを電解液とする再アルカリ化工法はアルカリを増やすことから,アルカリシリカ反応の進行抑制対策には適しません。