コンクリート診断士 問題と解説Vol.2-45
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【No.221】
鉄筋コンクリート造建築物のタイル外装仕上げにおいて,躯体との界面でタイルのはく離が発生した。タイル張り工法が,後張り工法と先付け工法であった場合に適用する剥落防止対策に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)後張り工法の外装タイルがコンクリート躯体との界面ではく落したため,剥落防止対策として,目地部を削孔して,注入口付きアンカーピンを設置し,エポキシ樹脂を注入した。
(2)後張り工法の外装タイルがコンクリート躯体との界面ではく落したため,剥落防止対策として,アンカーピンで躯体に固定した補強メッシュとポリマーセメントモルタルでタイル面を被覆した。
(3)先付け工法の外装タイルがコンクリート躯体との界面ではく落したため,剥落防止対策として,目地部を削孔して,注入口付きアンカーピンを設置し,エポキシ樹脂を注入した。
(4)先付け工法の外装タイルがコンクリート躯体との界面ではく落したため,剥落防止対策として,アンカーピンで躯体に固定した補強メッシュとポリマーセメントモルタルでタイル面を被覆した。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。後張り工法の外装タイルの剥落防止対策として,目地部を削孔して,注入口付きアンカーピンを設置し,エポキシ樹脂を注入します。
(2)○正しい。後張り工法の外装タイルの剥落防止対策として,アンカーピンで躯体に固定した補強メッシュとポリマーセメントモルタルでタイル面を被覆します。
(3)×誤り。先付け工法は,建築現場で型枠の内側にタイルを張り付けた後に,コンクリートを打設する工法です。よって,目地はないため,躯体にアンカーピンを打って固定する工法を採用します。
(4)○正しい。先付け工法の外装タイルの剥落防止対策として,アンカーピンで躯体に固定した補強メッシュとポリマーセメントモルタルでタイル面を被覆します。
【No.222】
夏期に施工されたボックスカルバートの側壁に,鉛直方向に,幅0.3~0.5mmの貫通ひび割れが,5m間隔で発生した。使用したセメントは普通ポルトランドセメントである。このようなひび割れを抑制するための対策として,次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)夏期に施工されたボックスカルバートの側壁に,鉛直方向に,幅0.3~0.5mmの貫通ひび割れが,5m間隔で発生した。使用したセメントは普通ポルトランドセメントである。このようなひび割れを抑制するための対策として,セメントを中庸熱ポルトランドセメントに変更した。
(2)夏期に施工されたボックスカルバートの側壁に,鉛直方向に,幅0.3~0.5mmの貫通ひび割れが,5m間隔で発生した。使用したセメントは普通ポルトランドセメントである。このようなひび割れを抑制するための対策として,側壁の鉛直方向に配筋されている主筋の鉄筋量を増やした。
(3)夏期に施工されたボックスカルバートの側壁に,鉛直方向に,幅0.3~0.5mmの貫通ひび割れが,5m間隔で発生した。使用したセメントは普通ポルトランドセメントである。このようなひび割れを抑制するための対策として,コンクリート製造時に,冷却した骨材を使用した。
(4)夏期に施工されたボックスカルバートの側壁に,鉛直方向に,幅0.3~0.5mmの貫通ひび割れが,5m間隔で発生した。使用したセメントは普通ポルトランドセメントである。このようなひび割れを抑制するための対策として,伸縮目地を追加した。
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正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。温度によるひび割れを抑制するための対策として,セメントを中庸熱ポルトランドセメントに変更します。
(2)×誤り。温度による鉛直方向のひび割れを抑制するための対策として,側壁の鉛直方向に配筋されている主筋の鉄筋量を増やしても,ひび割れを抑制する効果はありません。
(3)○正しい。温度によるひび割れを抑制するための対策として,コンクリート製造時に,冷却した骨材を使用します。
(4)○正しい。温度によるひび割れを抑制するための対策として,伸縮目地を追加します。
【No.223】
鉄筋コンクリート構造物における,劣化機構および対策の目的に対して適用する表面保護工法として,次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)硫酸による化学的浸食による劣化に対して,劣化因子の遮断を目的に,ケイ酸塩系表面含侵材を用いた表面含侵工法を用いた。
(2)中性化による劣化に対して,劣化因子の遮断を目的に,エポキシ樹脂を用いた表面被覆工法を用いた。
(3)アルカリシリカ反応による劣化に対して,劣化速度の抑制を目的に,シラン系表面含侵材を用いた表面含侵工法を用いた。
(4)凍害による劣化に対して,劣化速度の抑制を目的に,ポリマーセメントモルタルを用いた表面被覆工法を用いた。
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正解は(1)
【解説】
(1)×誤り。硫酸による化学的浸食による劣化に対する劣化因子の遮断を目的とした工法は,エポキシ樹脂等を用いた表面被覆工法です。ケイ酸塩系表面含侵材塗布は,コンクリート中のカルシウムイオンと反応してケイ酸カルシウムを生成することにより表面を緻密化し,劣化因子の侵入を抑制する効果を有しますが,硫酸による化学的浸食には十分な抑制効果は期待できません。
(2)○正しい。中性化による劣化に対して,劣化因子の遮断を目的に,エポキシ樹脂を用いた表面被覆工法を用います。
(3)○正しい。アルカリシリカ反応による劣化に対して,劣化速度の抑制を目的に,シラン系表面含侵材を用いた表面含侵工法を用います。
(4)○正しい。凍害による劣化に対して,劣化速度の抑制を目的に,ポリマーセメントモルタルを用いた表面被覆工法を用います。
【No.224】
鉄筋コンクリート造建築物に発生したひび割れに対する対策の目的および対策方法に関する次の記述のうち,最も適当なものはどれか。
(1)片持ち梁側面に幅0.5mmのせん断ひび割れが生じたため,耐荷力を回復するために,セメント系注入材を用いた低圧注入工法を用いた。
(2)外壁に,0.3mm幅のひび割れが縦方向に生じたため,水の侵入防止を目的として,可とう性エポキシ樹脂を用いたUカット充填工法を用いた。
(3)垂れ壁底面に,1.5mm幅のひび割れが生じたので,鉄筋腐食の進行抑制を目的として,ウレタン系注入材を用いた低圧注入工法を用いた。
(4)地下外壁の内面に幅0.1mmのひび割れが鉛直方向に生じたため,漏水の防止を目的として,ポリマーセメントペーストを用いた表面被覆工法を用いた。
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正解は(2)
【解説】
(1)×誤り。せん断ひび割れに対して,低圧注入工法は補修を目的としており,耐荷力の回復を目的とした補強工法ではありません。
(2)○正しい。外壁のひび割れに対して,水の侵入防止を目的とした工法として,可とう性エポキシ樹脂を用いたUカット充填工法は適当です。
(3)×誤り。垂れ壁底面のひび割れに対し,鉄筋腐食の進行を抑制することを目的とした工法としては,鉄筋が露出するまでコンクリートをはつり取り,防錆処理を施したのちに,ポリマーセメントモルタルを充てんする工法が適用されます。ウレタン系注入材を用いた低圧注入工法は適用されません。
(4)×誤り。地下外壁内面のひび割れに対して,漏水の防止を目的とした工法として,ポリマーセメントモルタルを用いた表面被覆工法のみでは,漏水を止めることは困難です。水圧を伴う地下外壁の場合は,コンクリートの表面を緻密な構造に変化させる方法が適します。工法としては,ケイ酸塩系防水材を用いた含侵材塗布工法などがあります。
【No.225】
コンクリート構造物の断面修復工法に用いられるポリマーセメントモルタルのポリマーセメント比と,ポリマーセメントモルタルの性能の一般的な大小関係の組合せとして,次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)断面修復工法に用いられるポリマーセメントモルタルについて,ポリマーセメント比が大きくなると,圧縮強度は大きくなる。
(2)断面修復工法に用いられるポリマーセメントモルタルについて,ポリマーセメント比が大きくなると,既設コンクリートとの付着性は大きくなる。
(3)断面修復工法に用いられるポリマーセメントモルタルについて,ポリマーセメント比が大きくなると,透水係数は小さくなる。
(4)断面修復工法に用いられるポリマーセメントモルタルについて,ポリマーセメント比が大きくなると,中性加速度係数は小さくなる。
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正解は(2)
【解説】
(1)×誤り。ポリマーセメントモルタルは,ポリマーセメント比が大きくなると,圧縮強度は小さくなります。
(2)○正しい。ポリマーセメントモルタルは,ポリマーセメント比が大きくなると,既設コンクリートとの付着性は大きくなります。
(3)○正しい。ポリマーセメントモルタルは,ポリマーセメント比が大きくなると,透水係数は小さくなります。
(4)○正しい。ポリマーセメントモルタルは,ポリマーセメント比が大きくなると,中性加速度係数は小さくなります。