【過去問演習No.126-130】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.126】

型枠・支保工に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)型枠に作用するコンクリートの設計用側圧を,柱に比べ壁で大きくした。
(2)コンクリートの設計用側圧を,コンクリートの打ち込み速度や打上がり高さなどを考慮して決定した。
(3)はり型枠の底板を,側板の脱型と支保工の解体後に取り外した。
(4)水平部材を支える支柱の位置を,建物の上下階で揃えた。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。型枠に作用する側圧は,打ち込み速度,打上がり高さ,コンクリート温度等コンクリートの品質そのものの要因のほか,打ち込みむ部材の形状によっても異なります。壁状の比較的小さい断面の部材に比べ,柱などの比較的大きい断面の部材では側圧は大きくなります。
(2)○正しい。上記(1)に記したとおり,コンクリートの打ち込み速度,打上がり高さによって側圧は異なります。
(3)○正しい。はり型枠あるいはスラブの底板型枠は,特殊な細工をしない限り,支保工解体以前には取り外すことはできません。原則として支保工解体後に取り外すこととしています。
(4)○正しい。多層の構造物を打上げていく場合,1層の施工に要する期間を標準的に2週間とすると,2層目のコンクリート打設時において1層目のコンクリート強度は所要の強度に達していない可能性が高いことが十分考えられます。このとき,2層目の支柱は1層目の床上に建てることになりますが,1層目と2層目の支柱の位置がずれていると,1層目のスラブに曲げ外力が作用することとなります。このため,上下の支柱は同じ位置に設置します。

【No.127】

型枠および支保工に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)型枠および支保工の倒壊事故は,水平方向荷重に起因することが多い。
(2)型枠および支保工の設計における水平方向荷重としては,コンクリートの側圧が支配的である。
(3)表面加工していない合板製のせき板は,コンクリートに変色や硬化不良をもたらすことがある。
(4)鋼製型枠は,合板型枠に比べて転用回数を多くすることができる。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。型枠支保工の倒壊事故は,鉛直荷重を受ける部材(支柱等)に,施工に伴う振動あるいは地震力,凰圧力などの水平荷重が作用し,鉛直部材が変形して倒壊に至るものが支配的です。
(2)×誤り。上記(1)に記したように,倒壊事故は水平荷重によるものが支配的です。一方,側圧による事故は型枠の損壊(パンク)を生じるが,損壊によってコンクリート側圧が開放されると他への波及は少なく,型枠支保工の倒壊に至ることは少ません。
(3)○正しい。木材は太陽光に曝されると内部からリグニン等が浸出し,コンクリートの硬化を阻害することがあります。合板の表面加工の目的は主として表面の強度耐久性を高め材料の使用回数を高めることにありますが,同時に合板の材料による上記硬化不良を防ぐ効果もあります。
(4)○正しい。鋼板と合板の表面強度に思考が至れば,容易に解ける設問です。

【No.128】

型枠・支保工の構成材の役割に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)せき板は,コンクリートと接する板類で,コンクリートの出来形を決めるためのものである。
(2)締付け材は,せき板と支保工を緊結し,型枠・支保工の精度,安全性を向上させるためのものである。
(3)セパレータは,せき板を所定の間隔に保つためのものである。
(4)水平つなぎは,スラブを支えるせき板のたわみを防止するためのものである。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。型枠・支保工のなかでコンクリートと接する部材中のもっとも面積の大きい部材を「せき板」といいます。せき板は,コンクリートの出来形,つまり形状と表面状態を決定します。せき板の内側すなわち,コンクリートに接する面には,目地棒やインサートなどの他(3)に記述するセパレータなどが付けられます。
(2)○正しい。締付け材は,支保工つまりせき板の外側に取付ける桟木やパイプ等の補強材を緊結し,型枠・支保工の変形を防止し,精度,安全性を保証するものです。
(3)○正しい。型枠・支保工の中でセパレータは,せき板を所定の間隔に保つためのもので,コンクリートの断面寸法を決定するものです。通常直径8mm程度の棒鋼でつくられ,コンクリートの断面を決定する座金やコーンが取り付けられ,その両端に締付け材締め付け用のネジが切ってあります。
(4)×誤り。水平つなぎとは通常,垂直部材の中間に取付け垂直部材の横変形を拘束し,垂直部材が座屈するのを防止するものです。支保工に使われる水平つなぎは,床やはりなどの水平部材を支える支柱の中間部に取付け座屈を防ぐほか,支柱の脚元に取付け支柱の脚元が滑り支柱が倒れるのを防ぐこともあります。

【No.129】

コンクリートの施工に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)高炉セメントB種を用いたコンクリートの湿潤養生期間は,普通ポルトランドセメントを用いた場合と同じでよい。
(2)過度な金ごて仕上げは,コンクリート表面にセメントペーストが集まりすぎるので,収縮ひび割れの発生原因となりやすい。
(3)スパンの長いスラブや梁を設計図に示されたとおりに造るためには,コンクリートの自重による変形を考慮し,支保工を適切に上げ越しておくのがよい。
(4)コンクリート表面の変色や硬化不良を防止するには,せき板に用いる合板を日光にさらして十分乾燥させるのがよい。
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正解は(1)と(4)

【解説】
(1)×誤り。高炉セメントやフライアッシュセメント等の混合セメントを用いたコンクリートは,その混和率が高くなると普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べ強度の発現が遅れます。このため,混合セメントを用いたコンクリートの湿潤養生期間は,B種以上の混和率の場合,普通ポルトランドセメントを用いた場合に比べ長く設定しなければなりません。
(2)○正しい。過度に金ごて仕上げを行うと,コンクリート表面にセメントペーストが集まり,プラスティック収縮ひび割れの原因となります。
(3)○正しい。鉄筋コンクリート部材に対して許容レベルを下回る値であっても荷重が作用し続けると,クリープにより部材が変形することがあります。殊にスパンの長いスラブや梁の場合,強度的には十分安全な設計であってもたわみが大きくなることがあり,あらかじめ支保工を適切に上げ越しておくことが後のたわみの防止に有効です。
(4)×誤り。表面に塗装を施されていない合板が日光にさらされると,木材内部の成分が変化しコンクリートの硬化を阻害することがあります。また,合板に隕らず木板類一般は,乾燥により変形します。このため直射日光にさらして乾燥してはなりません。

【No.130】

コンクリートの施工に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)はり下の支保工を取り外す場合,必要とされるコンクリートの圧縮強度は5N/mm2である。
(2)型枠・支保工の設計に用いる鉛直方向荷重は,コンクリートの質量に鉄筋の質量を加えた値でよい。
(3)水平部材の支保工を組み立てる際に,打ち込まれるコンクリートの自朮などによる変形量を考慮して,上げ越し(むくり)を設けた。
(4)型枠・支保工の設計において,水平方向荷重として鉛直方向荷重の5%の荷重が作用するとした。
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正解は(1)と(2)

【解説】
(1)×誤り。はり下,床下等水平部材の支保工の取外しは,設計規準強度が確保された時を標準とします。ただし,構造計算により安全や変形が確保されるときは取り外すことができます。5N/mm2は,壁柱等の型枠取外しの強度です。
(2)×誤り。型枠・支保エの設計とくに支柱を設計する際には,床はり等の水平部材を例にとると,支柱が負担する全荷重を考慮しなければなりません。すなわち,支柱直上の大引き,底板,側板および桟木,パイプ,セパレータ等に鉄筋およびコンクリートの質量,さらに作業荷重を考慮しなければなりません。
(3)○正しい。水平部材,とくにスパンの長いはりや片持ちばりは,支柱を取り外した後クリープ変形によって中央や先端が下がることがあります。この変形を見込んで,あらかじめ上げ越し(むくり)を設けておくことがあります。
(4)○正しい。建築学会のJASS5あるいは土木学会示方書では,水平荷重は通常の構造物を通常の型枠・支保工で施工する場合,鉛直方向荷重の5%としています。
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