【No.46】
コンクリートの性質の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)ワーカビリティーとは,材料分離を生じることなく,運搬,打ち込み,締め固め,仕上げなどの作業が容易にできる程度を表すフレッシュコンクリートの性質のことである。
(2)JISA1101(コンクリートのスランプ試験方法)によれば,スランプコーンにコンクリートを3層に分けて詰める際に各層を25回突くと材料の分離を生じるおそれのあるときは,分離を生じない程度に突き数を減らして良い。
(3)JISA1147(コンクリートの凝結時間試験方法)に基づいて試験を行う場合,粗骨材が貫入針の障害となるので,コンクリートから粗骨材を取り除いた配合条件のモルタルを練り混ぜて,これを試料として用いる。
(4)コンクリート表面のプラスティック収縮ひび割れは,普通コンクリートより水セメント比の小さい高強度コンクリートで生じやすい。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。ワーカビリティーは,コンクリートの流動性や材料分離抵抗性等,フレッシュ性状の性質を表すもので,ワーカビリティーの評価は相対的なものです。ワーカビリティーの良いコンクリートは運搬,打ち込み,締め固め,仕上げ等の作業性が良好です。
(2)○正しい。スランプ試験は,スランプコーンに試料をほぼ等しい量の3層に分けて詰め,その各層を突き棒でならした後,25回一様に突いて行います。過度にコンクリートの粘性が小さい場合等,25回突くと材料の分離を生じるおそれのあるときは,分離を生じないように突き数をへらしてもよいです。
(3)×誤り。コンクリートの凝結時間試験方法における試料は,採取したコンクリートを5mmの網ふるいでふるって粗骨材粒を除去したモルタルとしなければなりません。これは,コンクリートから粗骨材を取り除いた配合条件のモルタルで練り混ぜた場合と,粗骨材が存在した状態で練り混ぜた場合とでは,モルタルの諸性状が異なり凝結時間に影響を及ぼすことがあるためです。ちなみに,粗骨材を取り除いたモルタル配合では,凝結時間が少し遅くなります。
(4)○正しい。コンクリート表面のプラスチック収縮ひび割れは,ブリーディングの少ないコンクリートほど生じやすいです。高強度コンクリートは,普通コンクリートより水セメント比が小さくブリーディングが少ないので,プラスチック収縮ひび割れが生じやすいです。
【No.47】
コンクリートの性質の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)JISA1123(コンクリートのブリーディング試験方法)による試験において,コンクリート上面に浸み出した水の体積を量り,試料上面の面積で割った値をグリーティング率とした。
(2)エントレインドエアを増加させると,フレッシュコンクリートのスランプは大きくなる。
(3)コンクリートの凝結時間は,塩分を含む骨材を用いると遅くなる。
(4)コンクリートの空気量は,練り混ぜ後,トラックアジテータで長時間撹拌すると減少する傾向にある。
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正解は(1)(3)
【解説】
(1)×誤り。コンクリート上面に浸み出した水の体積を量り試料上面の面積で割った値は,ブリーディング量でブリーディング率ではありません。
(2)○正しい。AE剤の使用によって連行されるエントレインドエアは,微細な気泡であり,そのボールベアリング効果によりコンクリートの流動性が向上し,スランプは大きくなります。ちなみにAE剤を使用した場合,通常のコンクリートでは空気量が1%増加するとスランプは2.5cm程度増大します。
(3)×誤り。塩分を含む骨材(海砂等)や海水には塩化ナトリウムが含まれているので,セメントの水和反応が促進され,凝結時間は早くなります。
(4)○正しい。フレッシュコンクリートに連行される空気には,エントラップトエアとAE剤によって連行されるエントレインドエアがあります。トラックアジテータで長時間攪拌するとエントラップトエアは比較的容易に脱泡するので,コンクリートの空気量は減少します。
【No.48】
一般的なコンクリートの強度特性に関する記述のうち,適当なものはどれか。
(1)曲げ強度は,一般に圧縮強度の1/5~1/8で,その比率は圧縮強度の増加とともに緩やかに低下する。
(2)曲げ強度は中央集中載荷方式による強度の方が,3等分点載荷方式による強度よりも大きな値となる。
(3)引張強度は,一般に圧縮強度の1/10~1/13で,その比率は圧縮強度の増加とともに緩やかに低下する。
(4)せん断強度は,一般に圧縮強度の1/4~1/6で,圧縮強度の増加とともに大きくなる。
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正解は全て
【解説】
(1)○正しい。曲げ強度は,一般に圧縮強度の1/5~1/8で,その比率は圧縮強度の増加とともに緩やかに低下します。
(2)○正しい。曲げ強度は中央集中載荷方式による強度の方が,3等分点載荷方式による強度よりも大きな値となります。
(3)○正しい。引張強度は,一般に圧縮強度の1/10~1/13で,その比率は圧縮強度の増加とともに緩やかに低下します。
(4)○正しい。せん断強度は,一般に圧縮強度の1/4~1/6で,圧縮強度の増加とともに大きくなります。
【No.49】
コンクリートの体積変化に関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)乾燥収縮ひずみは,粗骨材の岩種の影響を受けない。
(2)熱膨張係数は,鋼材の熱膨張係数の約2倍である。
(3)自己収縮ひずみは,水セメント比が小さいと大きくなる。
(4)クリープひずみは,載荷荷重を一定とした場合,載荷開始の材齢が若いほど小さくなる。
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正解は(3)
【解説】
(1)×誤り。コンクリートの乾燥収縮ひずみは,弾性係数の大きい岩種の骨材を使用したものほど小さくなる傾向が強い。
(2)×誤り。コンクリートの熱膨張係数は,通常の温度範囲では7~13×10-6程度で,水セメント比や材齢による影響は小さいが,岩種による影響は比較的大きいです。建設物に使用する一般的な鋼材もほぼ同様の値で,鉄筋コンクリート構造が成立する前提の一つです。
(3)○正しい。自己収縮とは,セメントの水和反応により凝結始発以後に巨視的に生じる体積減少で,結合材の量や水結合材比,混和材の種類や置換量,添加量などによる影響が大きいです。高強度コンクリートや高流動コンクリート,マスコンクリートなど結合材量が多く,水結合材比(≒水セメント比)の小さいコンクリートでは自己収縮ひずみが大きくなります。
(4)×誤り。クリープとは,コンクリートなどに荷重が持続的に作用した場合に時間の経過とともにひずみが増大する現象をいいます。なお,コンクリートのクリープに影響を及ぼす要因としては,水セメント比,載荷時の材齢,載荷応力,養生方法,骨材の比重・容積などがあり,載荷時の材齢が若いほどクリープひずみは大きくなります。
【No.50】
コンクリートの力学特性に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)引張強度と圧縮強度の比(引張強度/圧縮強度)は,圧縮強度が高いほど大きくなる。
(2)長期材齢における圧縮強度の伸びは,初期の養生温度が高いほど小さくなる。
(3)割線弾性係数は,供試体に縦振動を与えて得られる動弾性係数よりも小さい。
(4)高強度コンクリートでは,圧縮強度に及ぼす樞骨材の影響は一般のコンクリートよりも大きい。
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正解は(1)
【解説】
(1)×誤り。一般的なコンクリートの引張強度と圧縮強度の比(引張強度/圧縮強度)は1/10~1/13で,圧縮強度が高くなるほどその比率は小さくなります。
(2)○正しい。初期材齢の養生温度が50℃程度までの範囲では,養生温度が高くなるほど材齢28日程度までの圧縮強度は高くなります。しかし材齢の初期に養生温度が高いと長期材齢では水和を妨げる要因となる水和物が生成されるため,材齢経過に伴う強度増進が小さくなります。
(3)○正しい。コンクリートの静弾性係数は,圧縮強度試験から得られた応力度をひずみ度で除して求めた弾性係数です。通常,試験開始点とコンクリートの破壊荷重の1/3の点を結んだ割線弾性係数を静弾性係数と評しています。一方,動弾性係数は,コンクリートを弾性体と仮定し,その縦共振振動数や伝搬速度を測定して理論的に求めた弾性係数です。静弾性係数と動弾性係数を比較した場合,荷重を加えながら求めた実験値である静弾性係数の方が小さいです。
(4)○正しい。骨材の強度が普通強度のコンクリートの圧縮強度に影響を及ぼすことは一般的にはほとんどありません。しかし,軽石などの軟質な骨材が用いられた場合には,セメント水比を増加させても圧縮強度が増加しない場合があります。