コンクリート主任技士過去問 問題と解説
【平成24年度―問題1】
下表は、セメントクリンカーの組成化合物が、セメントの水和反応および硬化体の特性に及ぼす影響を示している。ア~エのうち、けい酸三カルシウム(C3S)として、適当なものはどれか。
なお、ア~エは次のいずれかを表している。
なお、ア~エは次のいずれかを表している。
- けい酸三カルシウム(C3S)
- けい酸二カルシウム(C2S)
- アルミン酸三カルシウム(C3A)
- 鉄アルミン酸四カルシウム(C4AF)
特性 | 組成化合物 | |||
ア | イ | ウ | エ | |
水和反応速度 | 非常に速い | かなり速い | 比較的速い | 遅い |
強度発現 | 1日以内の早期 | 強度にほとんど寄与しない | 28日以内の早期 | 28日以降の長期 |
水和熱 | 大 | 小 | 中 | 小 |
収縮量 | 大 | 小 | 中 | 小 |
化学抵抗性 | 小 | 中 | 中 | 大 |
(1)ア
(2)イ
(3)ウ
(4)エ
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正解(3)
(1)ア:アルミン酸三カルシウムは、1日以内の早期強度発現に寄与します。
(2)イ:鉄アルミン酸四カルシウムは、セメントの強度発現にほとんど寄与しません。
(3)ウ:けい酸三カルシウムは、28日以内の早期強度の発現に寄与します。
(4)エ:けい酸二カルシウムは、28日以降の長期強度の発現に寄与します。
水和反応速度は、アルミン酸三カルシウムが最も早く、続いて、けい酸三カルシウム、けい酸二カルシウム、鉄アルミン酸四カルシウムの順番となります。
セメントクリンカーの主成分4つのうち、水和熱が最も大きいのは、アルミン酸三カルシウムです。次に、けい酸三カルシウム、3番目はけい酸二カルシウム。最も水和熱が小さいのは、鉄アルミン酸四カルシウムです。
セメントクリンカーの主成分4つのうち、最も化学抵抗性が高いのは、鉄アルミン酸四カルシウムです。最も化学抵抗性が低いのは、けい酸三カルシウムです。
【平成24年度―問題2】
湿潤状態の細骨450.0gを質量190.0gのメスフラスコに入れ、水を入れながら十分空気を追い出し、水を500mlの目盛りのところまで満たした。このとき質量は963.2gとなった。この細骨材の表面水率として、適当なものはどれか。ただし、細骨材の表乾密度は2.61g/cm3、水の密度は1.00g/cm3である。
(1)1.3%
(2)1.6%
(3)1.9%
(4)2.2%
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正解(2)
表面水率=表面水の質量(g)/骨材の表乾質量(g)表より、W(g)を求めます。
450+W+190=963.2
W=323.2(g)次に、細骨材、表面水の体積を密度を用いて表します。
450+W+190=963.2
W=323.2(g)次に、細骨材、表面水の体積を密度を用いて表します。
S=(450-Y)/2.61・・・①
X=Y・・・②
S+X+W=500・・・③
③よりX=176.8-S・・・④
④と②を①に代入すると
S=(450-X)/2.61
S=(450-176.8+S)/2.61
2.61S=450-176.8+S
1.61S=273.2
S=169.7
X=Y=7.1
表面水率=7.1/(450-7.1)=0.016=1.6%
【平成24年度―問題3】
JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)における骨材の仕様に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)JIS A 5005(コンクリート用砕石及び砕砂)に規定されている砕石には、粒形判定実積率が58%以上の場合、微粒分量の最大値を3.0%から5.0%に緩和して使用することができる。
(2)JIS A 5002(構造用軽量コンクリート骨材)に規定されている軽量骨材には、人工軽量骨材、天然軽量骨材は使用が認められていない。
(3)JIS A 5011-1(コンクリート用スラグ骨材―第1部:高炉スラグ骨材)に規定されている高炉スラグ骨材は、アルカリシリカ反応性試験を行わなくてはならない。
(4)JIS A 5031(一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶解固化したコンクリート用溶解スラグ骨材)に規定されている溶解スラグ骨材は、使用が認められていない。
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正解(3)
(1)問題の通りです。粒形判定実積率が、58%以上の場合、微粒分量の最大値を、3.0%から、5.0%に緩和して使用することができます。実績率は、施工性を確保するために、砕石は55%以上、砕砂は53%以上と規定されています。実績率が大きいほど、施工性が向上します。
(2)問題の通りです。軽量コンクリートを使用することで、建物の重量が軽くなり、地震力や基礎への負担が減ります。その結果、経済的な構造とすることができるため、建築のトータルコストを低減することが可能となります。
(3)誤りです。レディーミクストコンクリート配合報告書に、下表に示す抑制対策の方法の記号を記入することで、アルカリシリカ反応の抑制対策とみなされます。
抑制対策の方法 | 記号 |
コンクリート中のアルカリ総量の規制 | AL( kg/m3) |
混合セメント(高炉セメントB種)の使用 | BB |
混合セメント(高炉セメントC種)の使用 | BC |
混合セメント(フライアッシュセメントB種)の使用 | FB |
混合セメント(フライアッシュセメントC種)の使用 | FC |
混和材(高炉スラグ微粉末)の使用 | B( %) |
混和材(フライアッシュ)の使用 | F( %) |
(4)問題の通りです。溶解スラグ骨材は、使用が認められていません。JISに違反して、溶融スラグを使用した建築物で、ポップアウト、コンクリート表面の剥離現象が発生した事件が、社会問題となりました。
【平成24年度―問題4】
混和剤に関する次の一般的な記述のうち、適当なものはどれか。
(1)高性能AE減水剤は、スランプ保持性能が低いため、レディーミクストコンクリートの運搬時間が長い場合には適さない。
(2)高性能AE減水剤は、セメントの水和反応を促進させてコンクリートの凝結を早めるため、寒中コンクリート工事に適している。
(3)高性能減水剤は、セメント分散性能が高いため、高強度コンクリートの製造に適している。
(4)発泡剤は、主としてその海面活性作用によりコンクリート中に多くの独立した微細な気泡を一様に分散させるため、ワーカビリティ―や耐凍害性を向上させる。
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正解(3)
(1)誤りです。高性能AE減水剤は、スランプ保持性能が高いため、レディーミクストコンクリートの運搬時間が長い場合には適します。
(2)誤りです。セメントの水和反応を促進させるのは、高性能AE減水剤ではなく、促進剤です。促進剤は、セメントの水和反応を促進させて、コンクリートの凝結を早めるため、養生温度が低く、水和反応が進みにくい、寒中コンクリート工事に適しています。
(3)問題文の通りです。減水作用は、空気連行性能とセメント分散性能によります。高性能減水剤、および、高性能AE減水剤は、空気連行性能と、セメント分散性能の両方を併せ持ちます。違いは、減水率の規定で、高性能減水剤は、減水率が10%以上、高性能AE減水剤は、減水率が18%以上と規定されています。
(4)誤りです。問題文はAE剤の説明です。減水剤および高性能減水剤は、セメント分散性能を持ちます。AE剤は、空気連行性能を持ちます。
【平成24年度―問題5】
下表は、コンクリートに用いる混和材の写真と密度の測定結果を示している。組合せとして、適当なものはどれか。
電子顕微鏡の写真 | |||
密度(g/cm3>/td> | 2.91 | 2.15 | 2.10 |
(1) | 高炉スラグ微粉末 | フライアッシュ | シリカフューム |
(2) | 高炉スラグ微粉末 | シリカフューム | フライアッシュ |
(3) | フライアッシュ | シリカフューム | 高炉スラグ微粉末 |
(4) | フライアッシュ | 高炉スラグ微粉末 | シリカフューム |
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正解(2)
シリカフューム:球形(平均粒形1pm)、粒の大きさが揃っている
フライアッシュ:球形(平均粒形20pm)、粒の大きさは不揃い
フライアッシュ:球形(平均粒形20pm)、粒の大きさは不揃い
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