【過去問演習(3)No.41-45_性質】コンクリート技士 問題と解説

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【No.41】

フレッシュコンクリートの性質に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)エントレインドエアを増加させると,フレッシュコンクリートのスランプは大きくなる。
(2)コンクリートの凝結時間は,塩分を含む骨材を用いると遅くなる。
(3)コンクリートの空気量は,練り混ぜ後,トラックアジテータで長時間撹拌すると減少する傾向にある。
(4)コンクリートの凝結時間は,コンクリートから粗骨材をふるいを用いて取り除いたモルタルの貫入抵抗試験によって求める。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。AE剤の使用によって連行されるエントレインドエアは,微細な気泡であり,そのポールベアリング効果によりコンクリートの流動性が向上し,スランプは大きくなります。ちなみに,AE剤を使用した場合,通常のコンクリートでは空気量が1%増加するとスランプは2.5cm程度増大します。
(2)×誤り。塩分を含む骨材(海砂等)や海水には塩化ナトリウムが含まれているので,セメントの水和反応が促進され,凝結時間は早くなります。
(3)○正しい。フレッシュコンクリートに連行される空気には,エントラップトエアとAE剤によって連行されるエントレインドエアがあります。トラックアジテータで長時間攪拌するとエントラップトエアは比較的容易に脱泡するので,コンクリートの空気量は減少します。
(4)○正しい。JISA1147ー2007(コンクリートの凝結時間試験方法)で規定しているコンクリートの凝結試験は,練り混ぜられたコンクリート中の粗骨材を5mm網ふるいでふるったモルタルをプロクター貫入抵抗試験装置によって測定します。

【No.42】

コンクリートの力学特性に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)引張強度と圧縮強度の比(引張強度/圧縮強度)は,圧縮強度が高いほど大きくなる。
(2)長期材齢における圧縮強度の伸びは,初期の養生温度が高いほど小さくなる。
(3)割線弾性係数は,供試体に縦振動を与えて得られる動弾性係数よりも小さい。
(4)高強度コンクリートでは,圧縮強度に及ぼす粗骨材の影響は一般のコンクリートよりも大きい。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。一般的なコンクリートの引張強度と圧縮強度の比(引張強度/圧縮強度)は,1/10~1/13で,圧縮強度が高くなるほどその比率は小さくなります。
(2)○正しい。初期材齢の養生温度が50℃程度までの範囲では,養生温度が高くなるほど材齢28日程度までの圧縮強度は高くなります。しかし,材齢の初期に養生温度が高いと長期材齢では水和を妨げる要因となる水和物が生成されるため,材齢経過に伴う強度増進が小さくなります。
(3)○正しい。コンクリートの静弾性係数は,圧縮強度試験から得られた応力度をひずみ度で除して求めた弾性係数です。通常,試験開始点とコンクリートの破壊荷重の1/3の点を結んだ割線弾性係数を静弾性係数と評しています。一方,動弾性係数は,コンクリートを弾性体と仮定し,その縦共振振動数や伝搬速度を測定して理論的に求めた弾性係数です。静弾性係数と動弾性係数を比較した場合,荷重を加えながら求めた実験値である静弾性係数の方が小さいです。
(4)○正しい。骨材の強度が普通強度のコンクリートの圧縮強度に影響を及ぼすことは一般的にはほとんどありません。しかし,軽石などの軟質な骨材が用いられた場合には,セメント水比を増加させても圧縮強度が増加しない場合があります。

【No.43】

一般の鉄筋コンクリートの各種部材に発生するひび割れに関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)床スラブにおいて,コンクリート打ち込み後の沈下によるひび割れは,鉄筋の上部に生じやすい。
(2)開口部を有する壁において,乾燥収縮によるひび割れは,開口部の隅角部から斜めに生じやすい。
(3)部材によらず,鉄筋腐食によるひび割れは,鉄筋に洽って生じやすい。
(4)両端が強く拘束されている部材において,アルカリシリカ反応によるひび割れは,亀甲状に生じやすい。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。単位水量が多いコンクリートや,打ち込み後の締め固めが不十分だった場合,コンクリートが硬化する前の打ち込み後1時間~2時間程度の間に,ブリーディングによるコンクリート表層部が下がる現象が生じます。さらに床スラブ等に配置された鉄筋がコンクリート表層部の沈下を抑えようとすると,鉄筋の上部のコンクリートを押し広げる力が作用し,鉄筋に沿ってひび割れが生じることがあります。
(2)○正しい。開口部がある建物では,乾燥収縮によって開口部の隅角部からひび割れが発生し,斜め方向に伸びます。
(3)○正しい。鉄筋が腐食し,錆が発生して鉄筋の体積が膨脹することによって発生するひび割れは鉄筋に沿って生じやすいです。
(4)×誤り。アルカリシリカ反応によるひび割れは,鉄筋量が比較的少ない壁では膨脹を拘束する力が小さいため亀甲状のひび割れが生じます。一方,鉄筋量の多い部材では主鉄筋に沿ってひび割れが生じ,さらに部材両端が強く拘束される部材では拘束されている面に直角にひび割れが生じます。

【No.44】

コンクリートの圧縮強度に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれ。
(1)空気量が少ないと,高くなる。
(2)練り混ぜ時間が長いと,高くなる。
(3)供試体が乾燥していると,濡れている場合より高くなる。
(4)円柱供試体の直径に対する高さの比が大きいと,高くなる。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。一般に,水セメント比等が一定の場合,空気量が1%増加すると硬化後の圧縮強度は4~6%低下します。
(2)○正しい。ミキサーの構造や性能が同等の場合,一般に練り混ぜ時間が短いとセメント,骨材,水が十分に混合されないため,コンクリートの組織が均質になりにくいです。そのため,練り混ぜ時間を十分に取って均質に練り混ぜられたコンクリートに比べ,硬化後の圧縮強度は小さくなります。
(3)○正しい。圧縮強度試験時に供試体を乾かすと,濡れたままの状態で試験をした場合よりも見掛けの圧縮強度は大きくなります。
(4)×誤り。円柱供試体の場合は,載荷面の直径に対する高さの比率が大きくなると,圧縮強度は小さくなります。

【No.45】

温度20℃,相対湿度60%の恒温恒湿環境下でコンクリートのクリープ試験を行った場合のクリープひずみに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)同一水セメント比でセメントペースト量が多いほど,小さくなる。
(2)載荷開始時の材齢が若いほど,大きくなる。
(3)載荷応力度が小さいほど,小さくなる。
(4)部材の断面寸法が小さいほど,大きくなる。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。セメントペースト量が多いほどクリープ歪みは大きくなります。これは,一般にコンクリートが骨材とセメントペーストによって構成されており,骨材と比較してセメントペーストはクリープが大きいため,セメントペースト量が多いとよりクリープが大きくなるためです。
(2)○正しい。載荷時の材齢が若いほど,クリープは大きくなります。
(3)○正しい。載荷荷重が小さいほどクリープ歪みは小さくなります。
(4)○正しい。部材や供試体の寸法が小さいほど,測定されるクリープは大きくなります。
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