コンクリート診断士 問題と解説Vol.2-25
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コンクリート診断士_一問一答_No2-25_基本問題25
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【No.121】
塩化物イオン含有量による鋼材腐食調査に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)塩化銀沈殿法は,硫酸塩溶液中で,塩化物イオンが銀イオンと反応して生じる塩化銀が沈殿し,この塩化銀沈殿物の重量を推定して塩化物イオン量を算出する方法である。
(2)モール法は,塩化物イオンの濃度が未知である水溶液に,濃度が既知の硝酸銀水溶液を滴下して塩化銀を沈殿させ,加えた硝酸銀水溶液の体積から塩化物イオンの濃度を求める方法である。
(3)クロム酸イオンの存在下で,塩化物イオンを含有した溶液に硝酸銀溶液を滴下していくと,クロム酸銀よりも塩化銀の方が溶解度が小さいために先に沈殿する。
(4)クロム酸イオンの存在下で,塩化物イオンを含有した溶液に硝酸銀溶液を滴下していくと,余剰の硝酸銀とクロム酸が反応し,赤褐色に呈色する。呈色した時点で滴下を終了させ,加えた硝酸銀水溶液の体積から塩化物イオンの濃度を求める。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。塩化銀沈殿法は,硫酸塩溶液中で,塩化物イオンが銀イオンと反応して生じる塩化銀が沈殿し,この塩化銀沈殿物の重量を推定して塩化物イオン量を算出する方法です。
(2)○正しい。モール法は,塩化物イオンの濃度が未知である水溶液に,濃度が既知の硝酸銀水溶液を滴下して塩化銀を沈殿させ,加えた硝酸銀水溶液の体積から塩化物イオンの濃度を求める方法です。
(3)×誤り。クロム酸イオンの存在下で,塩化物イオンを含有した溶液に硝酸銀溶液を滴下していくと,塩化銀よりもクロム酸銀の方が溶解度が小さいために先に沈殿します。
(4)○正しい。クロム酸イオンの存在下で,塩化物イオンを含有した溶液に硝酸銀溶液を滴下していくと,余剰の硝酸銀とクロム酸が反応し,赤褐色に呈色します。呈色した時点で滴下を終了させ,加えた硝酸銀水溶液の体積から塩化物イオンの濃度を求める。
【No.122】
電位差滴定法に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)電位差滴定法の反応そのものは,モール法と同じで,硝酸銀水溶液を用いた塩化物イオンの沈殿滴定法である。
(2)電位差滴定法は,反応の当点量(中和点)の近くで,被測定液の特性に大きな変化が生じるのを電極電位の測定から把握する方法である。
(3)電位差滴定法は,色の変化を目で見て判断し,化学的な変化をとらえて測定する。
(4)電位差滴定法では,滴定曲線の反曲点が現れる点は,溶液中の塩化物イオンがすべて反応したことを表す。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。電位差滴定法の反応そのものは,モール法と同じで,硝酸銀水溶液を用いた塩化物イオンの沈殿滴定法です。
(2)○正しい。電位差滴定法は,反応の当点量(中和点)の近くで,被測定液の特性に大きな変化が生じるのを電極電位の測定から把握する方法です。
(3)×誤り。電位差滴定法は,色の変化を目で見て判断するのではなく電気化学的な変化を捉えるため微量分析に適用します。
(4)○正しい。電位差滴定法では,滴定曲線の反曲点が現れる点は,溶液中の塩化物イオンがすべて反応したことを表します。
【No.123】
自然電位法による鋼材腐食に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)自然電位法は,鉄筋が腐食することによって変化する鉄筋表面の電位から,腐食の可能性を判断する電気化学的方法である。
(2)自然電位法は,鉄筋とコンクリート表面のかぶり厚さの間の電位差を測定し,腐食の傾向を推定する。
(3)自然電位法は,コンクリート構造物が,ひび割れ発生までの,初期の腐食段階の診断では使用できない。
(4)自然電位法は,照合電極の先端には,含水させたスポンジを巻きつけて,コンクリート表面の測定点に押し当てて保持し,指示値が安定するまで待って,値を読み取る。
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正解は(3)
【解説】
(1)○正しい。自然電位法は,鉄筋が腐食することによって変化する鉄筋表面の電位から,腐食の可能性を判断する電気化学的方法です。
(2)○正しい。自然電位法は,鉄筋とコンクリート表面のかぶり厚さの間の電位差を測定し,腐食の傾向を推定します。
(3)×誤り。自然電位法は,コンクリート構造物が,ひび割れ発生までの,初期の腐食段階の診断に有効です。
(4)○正しい。自然電位法は,照合電極の先端には,含水させたスポンジを巻きつけて,コンクリート表面の測定点に押し当てて保持し,指示値が安定するまで待って,値を読み取る。
【No.124】
自然電位法による鋼材腐食に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)自然電位法は,電流をできるだけ流さずに電位差を測定することが重要であり,入力抵抗が100MΩで,電圧計は分解能が1mV以下の直流電圧計を使用する。
(2)自然電位法は,自然電位測定値Eが卑であるほど腐食の可能性は少なく,コンクリート中の鉄筋が腐食すると自然電位は貴に移行する。自然電位が卑にあるときは腐食の可能性が少ない。
(3)自然電位法は,腐食の可能性について診断するものであり,鉄筋の腐食速度を測定するものではない。
(4)自然電位法は,測定するコンクリートの表面は,乾燥して電気的に絶縁体に近い場合やコンクリート表面に塗装等の絶縁材料が被覆されている場合,表面が覆われている場合,鉄筋が絶縁材料で表面被覆している場合は適用できない。
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正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。自然電位法は,電流をできるだけ流さずに電位差を測定することが重要であり,入力抵抗が100MΩで,電圧計は分解能が1mV以下の直流電圧計を使用します。
(2)×誤り。自然電位法は,自然電位測定値Eが貴であるほど腐食の可能性は少なく,コンクリート中の鉄筋が腐食すると自然電位は卑に移行します。自然電位が貴にあるときは腐食の可能性が少ないです。
(3)○正しい。自然電位法は,腐食の可能性について診断するものであり,鉄筋の腐食速度を測定するものではありません。
(4)○正しい。自然電位法は,測定するコンクリートの表面は,乾燥して電気的に絶縁体に近い場合やコンクリート表面に塗装等の絶縁材料が被覆されている場合,表面が覆われている場合,鉄筋が絶縁材料で表面被覆している場合は適用できません。
【No.125】
分極抵抗法による鋼材腐食に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)分極抵抗法は,鉄筋の腐食程度を推定する方法であり,自然電位法と同様に鉄筋と電極を接続する。
(2)分極抵抗法は,コンクリート表面に当てた外部電極から内部鉄筋に微弱な電流または電位差を負荷した時に生じる電位変化量または電流変化量から,腐食速度と反比例の関係にある分極抵抗を求め,内部鉄筋の腐食速度を推定しようとする電気化学的方法である。
(3)分極抵抗法は,水溶液中で腐食している金属を試料電極として,外部から強制的に電流を流すと電極と溶液界面に存在する電位差が変化し,逆に電位を変化させると電流が変化する。
(4)腐食化学の分野において,電極への電流の電位差にずれが生じる現象を分極という。
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正解は(1)
【解説】
(1)×誤り。分極抵抗法は,鉄筋の腐食速度を推定する方法であり,自然電位法と同様に鉄筋と電極を接続します。
(2)○正しい。分極抵抗法は,コンクリート表面に当てた外部電極から内部鉄筋に微弱な電流または電位差を負荷した時に生じる電位変化量または電流変化量から,腐食速度と反比例の関係にある分極抵抗を求め,内部鉄筋の腐食速度を推定しようとする電気化学的方法です。
(3)○正しい。分極抵抗法は,水溶液中で腐食している金属を試料電極として,外部から強制的に電流を流すと電極と溶液界面に存在する電位差が変化し,逆に電位を変化させると電流が変化します。
(4)○正しい。腐食化学の分野において,電極への電流の電位差にずれが生じる現象を分極といいます。