コンクリート診断士 問題と解説Vol.2-42
このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。
【No.206】
コンクリートの凍害に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)気温の降下にともなって,コンクリート中では系の小さい細孔中の水から凍結し始める。
(2)同一空気量のコンクリートの耐凍害性は,気泡径の分布によらず同程度である。
(3)海岸際に立地するコンクリート構造物において,海水の飛沫を受ける部分は,飛沫を受ける部分よりもスケーリングが発生しにくい。
(4)積雪寒冷地に立地するコンクリート構造物において,常に雪で覆われている部分は,南面などの雪が解けやすい部分よりもスケーリングが発生しにくい。
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正解は(4)
【解説】
(1)×誤り。コンクリート中では,温度低下に伴って,まず大きい空隙中の水が凍結し,次いで,小さい細孔中の水が凍結します。
(2)×誤り。同一空気量で,気泡径の小さい分布の多い方が気泡間の距離が近くなり,耐凍害性は大きくなります。
(3)×誤り。湾岸海岸構造物において,海水の飛沫を受ける部分は受けない部分よりも水の供給量が多く,凍害の促進が予想され,スケーリングも発生しやすいです。
(4)○正しい。積雪寒冷地の構造物の場合,常に雪で覆われている部分は,雪が解けやすい部分よりも水の供給が少なくなり,凍害は受けにくくスケーリングは発生しにくいです。
【No.207】
コンクリートの化学劣化に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)内在硫酸塩によるコンクリートの膨張劣化は,硫酸塩を多く含むセメントの使用がその一因と考えられている。
(2)内在硫酸塩によるコンクリートの膨張劣化は,プレキャストコンクリート部材では,蒸気養生中の高温の影響で,カルシウムシリケート水和物が分解する。
(3)プレキャストコンクリート部材が水分の供給が多い環境に置かれた場合に,エトリンガイトの遅延生成により著しい膨張が生じ,ひび割れが発生する。
(4)酸の浸食作用は,温度が高いほど大きい。
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正解は(2)
【解説】
(1)○正しい。内在硫酸塩によるコンクリートの膨張劣化は,硫酸塩を多く含むセメントの使用がその一因と考えられています。
(2)×誤り。内在硫酸塩によるコンクリートの膨張劣化は,プレキャストコンクリート部材では,蒸気養生中の高温の影響で,エトリンガイトが分解します。
(3)○正しい。プレキャストコンクリート部材が水分の供給が多い環境に置かれた場合に,エトリンガイトの遅延生成により著しい膨張が生じ,ひび割れが発生します。
(4)○正しい。酸の浸食作用は,温度が高いほど大きいです。
【No.208】
コンクリートの凍害と塩害の複合劣化に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)凍結融解環境下では,塩化ナトリウムが吸収されやすい。
(2)凍結融解環境下では,コンクリートに塩化ナトリウムが供給されると,毛細管内の水の凝固点効果の影響等により,未凍結水量が増加する。
(3)凍結融解環境下では,コンクリートに塩化ナトリウムが供給されると,浸透圧の増加によって凍害による劣化の進行が促進されることがある。
(4)凍害で劣化したコンクリートでは,塩化ナトリウムが侵入しやすくなり,細孔内のpHの低下にともなって,アルカリシリカ反応が促進されることがある。
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正解は(4)
【解説】
(1)○正しい。凍結融解環境下では,塩化ナトリウムが吸収されやすい。
(2)○正しい。凍結融解環境下では,コンクリートに塩化ナトリウムが供給されると,毛細管内の水の凝固点効果の影響等により,未凍結水量が増加します。
(3)○正しい。コンクリート中の細孔における未凍結水の移動にともない,浸透圧が増加し,凍結,膨張により凍害が促進されます。
(4)×誤り。塩化ナトリウムの濃度が高くなると,pHが上昇し,アルカリシリカ反応が促進されます。
【No.209】
鉄筋コンクリート橋脚の健全性の評価方法に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか。
(1)鉄筋コンクリート橋脚の健全性の評価方法について,衝撃振動試験は,躯体を打撃することで振動を励起させ,これにより構造物の衝撃係数を測定するものである。
(2)鉄筋コンクリート橋脚の健全性の評価方法について,衝撃振動試験の加振によって発生するせん断変形量はわずかで,曲げ変形量が支配的である。
(3)鉄筋コンクリート橋脚の健全性の評価方法について,衝撃振動試験は,固有振動数から推定できる橋脚の曲げ剛性や地盤ばねの変化に着目した健全性の評価が可能である。
(4)鉄筋コンクリート橋脚の健全性の評価方法について,衝撃振動試験は,河川中にある橋脚基礎の洗堀調査に用いられる場合が多い。
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正解は(1)
【解説】
(1)×誤り。鉄筋コンクリート橋脚の健全性の評価方法について,衝撃振動試験は,躯体を打撃することで振動を励起させ,これにより構造物の固有振動数を測定するものです。
(2)○正しい。鉄筋コンクリート橋脚の健全性の評価方法について,衝撃振動試験の加振によって発生するせん断変形量はわずかで,曲げ変形量が支配的です。
(3)○正しい。鉄筋コンクリート橋脚の健全性の評価方法について,衝撃振動試験は,固有振動数から推定できる橋脚の曲げ剛性や地盤ばねの変化に着目した健全性の評価が可能です。
(4)○正しい。鉄筋コンクリート橋脚の健全性の評価方法について,衝撃振動試験は,河川中にある橋脚基礎の洗堀調査に用いられる場合が多いです。
【No.210】
硬化コンクリート中の全塩化物イオン濃度を塩化物イオン電極を用いた電位差滴定法で求める手順について,最も不適当なものはどれか。
(1)電位差滴定法では,コンクリート片を500μmふるい全通過程度まで粉砕する。
(2)電位差滴定法では,粉砕した試料に硝酸を加え,溶液のpHを3以下とした後,加熱煮沸して全塩化物イオンを抽出する。
(3)電位差滴定法では,試料溶液とするには,蒸留水を加えて既定の容量とする。
(4)電位差滴定法では,試料溶液を電位差滴定装置にセットし,硝酸銀溶液で滴定する。
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正解は(1)
【解説】
(1)×誤り。電位差滴定法では,コンクリート片を150μmふるい全通過程度まで粉砕します。
(2)○正しい。電位差滴定法では,粉砕した試料に硝酸を加え,溶液のpHを3以下とした後,加熱煮沸して全塩化物イオンを抽出します。
(3)○正しい。電位差滴定法では,試料溶液とするには,蒸留水を加えて既定の容量とします。
(4)○正しい。電位差滴定法では,試料溶液を電位差滴定装置にセットし,硝酸銀溶液で滴定します。