コンクリート主任技士過去問 問題と解説
【平成29年度―問題16】
表1は高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートの計画配(調)合である。また、表2はレディーミクストコンクリート工場において、表1の計画配(調)合に基づいて実際に練り混ぜた時の(1)~(4)のバッチの計量印字記録による計量値である。
表2に示す軽量印字記録から求められる単位量と、表1に示す計画配(調)合との差について、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に準じて判定した場合、(1)~(4)の計量値のうち合格となるものはどれか。
なお、1バッチ当たりの練混ぜ量は2.0m3とした。水の密度を1.00g/cm3、セメントの密度を3.15g/cm3、高炉スラグ微粉末の密度を2.90g/cm3、細骨材の表乾密度を2.56g/cm3、粗骨材の表乾密度を2.60g/cm3とし、練混ぜ時の細骨材の表面水率は2.8%、粗骨材は表面乾燥飽和水状態とする。
表2に示す軽量印字記録から求められる単位量と、表1に示す計画配(調)合との差について、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)に準じて判定した場合、(1)~(4)の計量値のうち合格となるものはどれか。
なお、1バッチ当たりの練混ぜ量は2.0m3とした。水の密度を1.00g/cm3、セメントの密度を3.15g/cm3、高炉スラグ微粉末の密度を2.90g/cm3、細骨材の表乾密度を2.56g/cm3、粗骨材の表乾密度を2.60g/cm3とし、練混ぜ時の細骨材の表面水率は2.8%、粗骨材は表面乾燥飽和水状態とする。
単位量(kg/m3) | |||||
水 | セメント | 高炉スラグ 微粉末 |
細骨材 | 粗骨材 | 化学混和剤 |
169 | 281 | 111 | 711 | 992 | 3.05 |
計量値(kg) | ||||||
水 | セメント | 高炉スラグ 微粉末 |
細骨材 | 粗骨材 | 化学混和剤 | |
(1) | 298 | 560 | 224 | 1409 | 1984 | 6.11 |
(2) | 298 | 557 | 226 | 1464 | 1984 | 6.09 |
(3) | 298 | 573 | 220 | 1416 | 1984 | 6.10 |
(4) | 298 | 569 | 225 | 1504 | 1984 | 6.12 |
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正解(4)
計量印字記録の水の量を求めるためには、計画配合の水の量から、骨材の表面水量を減ずる必要があります。問題では、粗骨材は表面乾燥飽和水状態のため、表面水は0とし、細骨材は表面水率2.8%であることから計算します。
<1バッチ当たりの細骨材の表面水>
2×711×0.028=39.8(kg)<計画配合の1バッチ当たりの質量>
水:2×169-39.8=298(kg)
セメント:2×281=562(kg)
高炉スラグ:2×111=222(kg)
細骨材:2×711×(1.00+0.028)=1432(kg)
粗骨材:2×992=1984(kg)
化学混和剤:2×3.05=6.10(kg)
2×711×0.028=39.8(kg)<計画配合の1バッチ当たりの質量>
水:2×169-39.8=298(kg)
セメント:2×281=562(kg)
高炉スラグ:2×111=222(kg)
細骨材:2×711×(1.00+0.028)=1432(kg)
粗骨材:2×992=1984(kg)
化学混和剤:2×3.05=6.10(kg)
水 | セメント | 高炉スラグ 微粉末 |
細骨材 | 粗骨材 | 化学混和剤 |
298 | 562 | 222 | 1462 | 1984 | 6.10 |
計量値の許容差は次のとおりです。
水 | セメント | 高炉スラグ 微粉末 |
細骨材 | 粗骨材 | 化学混和剤 |
±1% | ±1%(混和材は±2%) | ±3% |
(1)不合格です。
細骨材:(1409-1462)/1462×100=-4%
細骨材:(1409-1462)/1462×100=-4%
(2)不合格です。
高炉スラグ:(2244-222)/222×100=+2%
高炉スラグ:(2244-222)/222×100=+2%
(3)不合格です。
セメント:(573-562)/562×100=+2%
セメント:(573-562)/562×100=+2%
(4)合格です。
【平成29年度―問題17】
呼び強度27のレディーミクストコンクリートを製造しているA工場およびB工場がある。標準偏差σは、圧縮強度の実績をもとにA工場では2.1N/mm2、B工場では2.6N/mm2うを採用している。また、配合計画として、下式を採用している。
A工場:配合強度=(呼び強度の強度値)+2.5σ
B工場:配合強度=(呼び強度の強度値)+2.0σ
B工場:配合強度=(呼び強度の強度値)+2.0σ
製造したコンクリートの圧縮強度は正規分布に従うものとする。この2工場の呼び強度27のレディーミクストコンクリートに関する次の(ア)~(ウ)の記述について、正誤の組合せが正しいものはどれか。
(ア)A工場の方がB工場より、配合強度は高い。
(イ)A工場の方がB工場より、呼び強度の強度値を下回る確率は低い。
(ウ)A工場の方がB工場より、圧縮強度の試験結果が36N/mm2を上回る確率が低い。
(イ)A工場の方がB工場より、呼び強度の強度値を下回る確率は低い。
(ウ)A工場の方がB工場より、圧縮強度の試験結果が36N/mm2を上回る確率が低い。
(ア) | (イ) | (ウ) | |
(1) | 正 | 誤 | 誤 |
(2) | 正 | 正 | 誤 |
(3) | 正 | 正 | 正 |
(4) | 誤 | 誤 | 正 |
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正解(3)
(ア)配合強度の比較
A工場:27+2.5×2.1=32.3N/mm2
B工場:27+2.0×2.6=32.2N/mm2
A工場:27+2.5×2.1=32.3N/mm2
B工場:27+2.0×2.6=32.2N/mm2
(イ)呼び強度の強度値を下回る確率
A工場:27+2.5σ
B工場:27+2.0σ
図より、2.5σの方が27Nを下回る確率は低くなります。
A工場:27+2.5σ
B工場:27+2.0σ
図より、2.5σの方が27Nを下回る確率は低くなります。
(ウ)36N/mm2を上回る確率
A工場:(36.0-32.3)/2.1=1.77
B工場:(36.0-32.2)/2.6=1.46
A工場:(36.0-32.3)/2.1=1.77
B工場:(36.0-32.2)/2.6=1.46
(イ)(ウ)のイメージ図は次のとおりです。
【平成29年度―問題18】
JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)の規定に照らして、回収骨材およびドラム内に付着したモルタルの使用方法に関する記述として誤っているものはどれか。
(1)回収骨材として、舗装コンクリートから回収した骨材について未使用の骨材の微粒分量を超えないように調整して用いた。
(2)回収骨材の置換率の上限が5%以下となるように管理・記録して使用するので、「レディーミクストコンクリート配合計画書」の細骨材および粗骨材のそれぞれの回収骨材の使用方法の欄に「A方法」と記入した。
(3)付着モルタル安定剤を用いてスラリー状にしたモルタルをトラックアジテータのドラムから排出し、専用容器で保存することとし、保存期間を24時間と定めた。
(4)所定の付着モルタル安定剤の希釈溶液をトラックアジテータのドラム内に投入するにあたって、トラックアジテータが工場に到着してから投入するまでの限度を3時間以内とした。
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正解(4)
(1)問題のとおりです。JISでは、回収骨材は、普通・舗装・高強度コンクリートから回収し、骨材の微粒分量が超えないこととされています。
(2)問題のとおりです。回収骨材の置換率が5%以下となるように管理し、配合計画書には「A方法」と記入することとしています。
(3)問題のとおりです。付着モルタル安定剤を用いたモルタルは、保存期間は24時間とされています。
(4)誤りです。付着モルタル安定剤の投入は、コンクリートの練混ぜから3時間以内とされています。工場到着から3時間以内ではありません。
【平成29年度―問題19】
ポンプによるコンクリートの圧送に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)コンクリートポンプは、上向き垂直管、テーパ管、ベント管およびフレキシブルホースの水平換算距離と水平管の長さによって計算された圧送負荷の1.25倍を上回る吐出圧力を有する機種を選定する必要がある。
(2)下向きに圧送する場合は、上向きの圧送の場合に比べて、配管内のコンクリートの自重による圧送負荷が無視できるので、閉塞する可能性は小さくなる。
(3)吸水率が高い人工軽量骨材を低い含水状態で用いたコンクリートを圧送すると、圧力によって骨材が吸水するので、閉塞を生じやすい。
(4)コンクリートを高所に圧送する場合は、圧送を中断した時にコンクリートの自重によって逆流が生じやすいので、ポンプの吐出口に近い水平管に逆止弁を取り付けるのがよい。
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正解(2)
(1)問題のとおりです。コンクリートの圧送負荷は、上向き垂直管、テーパ管、ベント管およびフレキシブルホースの水平換算距離と水平管の長さによって計算します。コンクリートポンプの選定にあたって、計算値の1.25倍以上の圧送能力を持つ機種を選定し、余裕を持たせます。
(2)誤りです。下向き圧送の場合、自重によりコンクリートが落下するため、材料分離が起きます。材料分離が起きると閉塞の可能性が高くなります。
(3)問題のとおりです。吸水率が高い人工軽量骨材を用いると、圧送時の圧力により、水分が骨材の空隙内に移動します。コンクリートの水分が少なくなると、閉塞の可能性が高くなります。
(4)問題のとおりです。コンクリートを高所に圧送する場合には、圧送の中断時に、自重により逆流するおそれがあるため、吐出口に近い部分に逆止弁を取り付けるとよいとされています。
【平成29年度―問題20】
コンクリートの打込み・締固め・打継ぎに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
(1)高さ4mの壁にコンクリートを打ち込む際、コンクリートの材料分離を防ぐために、縦型シュートを用いて自由落下高さが1.5m以下になるようにした。
(2)スランプ12cmのコンクリートを打ち込む際、均質かつ密実になるように、コンクリートの表面にセメントペーストが薄く浮き、光沢が出る程度まで締め固めた。
(3)ボックスカルバートの側壁にコンクリートを打ち込むにあたり、収縮ひび割れを集中させるために、断面欠損率50%で縦方向のひび割れ誘発目地を側壁の高さと同一の間隔で設けた。
(4)鉛直打継ぎ部の一体性を高めるために、チッピングを施した旧コンクリート表面を十分乾燥させた後に、セメントペーストを塗布してコンクリートを打ち込んだ。
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正解(4)
(1)問題のとおりです。コンクリートを自由落下させると材料分離の恐れがあります。高さの高い壁や柱を打設する場合は、シュートを用いて自由落下高さが1.5m以下になるようにします。
(2)問題のとおりです。コンクリートの締め固めは、表面にセメントペーストが薄く浮き、光沢が出る程度まで行います。
(3)問題のとおりです。収縮ひび割れを集中させるために目地を設ける場合、断面欠損率を20%(1/5)以上確保します。
(4)誤りです。打継ぎ部の一体性確保のために、打継ぎ表面をチッピングすることは正しいです。しかし、打継ぎ部はセメントペーストの塗布は行わず、散水・吸水させ、表面に水が残っていない状態にします。
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