【過去問演習(3)No.106-110_施工】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.106】

コンクリートの養生に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)養生温度が高いと,初期の強度の発現は早いが,長期強度の伸びが小さくなる。
(2)低熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートは,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも,湿潤養生期間を短くできる。
(3)JASS5によれば,コンクリートの圧縮強度が所定の値に達すれば,規定の湿潤養生日数にかかわらず,湿潤養生を打ち切ることができる。
(4)土木学会示方書によれば,セメント種類のほかに,日平均気温によって湿潤養生期間の標準値が異なる。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。コンクリートは養生温度が高いと,初期の強度の発現は早くなります。しかし,養生温度を低くすると,強度の増伸する期間が長くなります。このため,長期の強度を比較すると,初期に高い温度で養生されたコンクリートに比べて,低温で養生されたコンクリートの強度は高くなります。
(2)×誤り。低熱ポルトランドセメントは,普通ポルトランドセメントの早強成分と長期強度成分の比率を変え,長期強度成分比率を多くしたセメントです。このため,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べて初期強度は低く,湿潤養生に長期間を要します。
(3)○正しい。湿潤養生を長期間行うと,建築物等上部に積み重なる構造物の場合,つぎの工程に進めず,工期が遅延します。このため,JASS5ではコンクリートの圧縮強度が所定の値に達すれば,耐久性もある程度確保できるので,規定の湿潤養生日数によらず,湿潤養生を終了できます。
(4)○正しい。コンクリートの強度発現は,セメント種類および養生温度によって異なります。このため,土木学会示方書では,セメントの種類に加え,日平均気温により湿潤養生期間の標準値を変えています。

【No.107】

コンクリートの養生,表面仕上げに関する次の一般的な記述のうち,適当なものはどれか。
(1)高炉セメントB種を用いたコンクリートの湿潤養生期間は,普通ポルトランドセメントを用いた場合と同じである。
(2)膨張材を用いたコンクリートの湿潤養生期間は,膨張材を用いない,一般のコンクリートよりも短縮できる。
(3)表面仕上げは,コンクリートを打ち込んだ後,速やかに行うのがよい。
(4)沈下ひび割れを取り除くためには,コンクリートの凝結が始まる前にタンピングを行うのがよい。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。高炉セメントB種を用いたコンクリートは,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べ,強度の発現が遅くなり,湿潤養生期間を長くしなければなりません。
(2)×誤り。膨張材の多くは,セメントと同様な硬化材であり,セメントと置換して用いることが多いです。これらの膨張材を用いたコンクリートの硬化性状は,膨張材を用いない,一般のコンクリートと同様です。つまり,その湿潤養生期間を短縮することはできません。
(3)×誤り。コンクリートは打ち込んだ直後から分離現象により,表面にブリーディングによる水が上昇してきます。ブリーディング終了以前に仕上を行うと,仕上によって表面に形成される密実な層の下にブリーディングによる水が溜り,表面直下に脆弱層が形成され,表面が剥離することがあります。仕上はコンクリートのブリーディングが終了した後に開始するのがよいです。
(4)○正しい。沈下ひび割れは,コンクリートのブリーディングによる水分の上昇に伴い,表層に微粒分が集まるため,コンクリートの健全部分が相対的に沈下することになります。この沈下作用により,沈下を阻害される部分,鉄筋の上,部材の高さの異なる部分等に沈下ひび割れが生じます。ひび割れを取り除くためには,コンクリートの凝結が始まる前にタンピングを行うのがよいです。

【No.108】

コンクリートの養生に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)湿潤養生は,コンクリートの表面が散水しても,荒れない程度に硬化した後に,なるべく早く開始するのがよい。
(2)養生温度が高いと,初期の強度は高くなるが,長期の強度の伸びは小さくなる。
(3)湿潤養生期間が長いほど,コンクリートの水密性は高くなる。
(4)膜養生とは,コンクリートの表面に透水性のシートを設置し,その上から散水する養生方法である。
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正解は(4)

【解説】
(1)○正しい。コンクリ―トから水分が失われると,硬化に支障を来すほか,水分が抜けた微細な経路は,後に収縮の原因となったり,異物の侵入路となります。このため,湿潤養生はできる限り早めに始めるのがよいです。水平面の場合,日射,風等により水分が急速に失われることがあるため,表面が散水しても荒れない程度に硬化したら湿潤養生を開始するのがよいです。
(2)○正しい。養生温度が高いと,セメントの水和反応が急激に進み,初斯の強度発現は高くなります。しかし,その後の水和は緩慢となり,長期の強度の伸びは小さくなります。
(3)○正しい。コンクリ―トの水密性は,硬化組織の緻密性により左右されます。長期間湿潤養生を行うと水和反応が長期にわたって進行し,コンクリートの組織は緻密になり,水密性は高くなります。
(4)×誤り。膜養生とは通常,コンクリートの表面に,遮水性の膜を形成する薬剤を塗布することにより,コンクリート表面からの水分の逸散を防ぐ養生方法です。

【No.109】

支保工に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)支保工の設計に用いる鉛直方向荷重のひとつとして,コンクリートの打ち込み時の衝撃荷重を考慮した。
(2)支保工に作用する水平方向荷重を,鉛直方向荷重の1%として計画した。
(3)支保工の水平部材を支える支柱の位置を,建物の各階の上下で揃えるように計画した。
(4)支保工の取り外し時期を,現場養生を行ったコンクリート供試体の圧縮強度から判定した。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。支保工の設計に用いる鉛直方向荷重には,コンクリートと鉄筋の重量に加え,型枠,支保工の自重,さらに,動荷重として作業員,コンクリート運搬機器の荷重および衝撃荷重があります。
(2)×誤り。支保工に作用する水平方向荷重を算定する場合,厚生労働省産業安全研究所は,型枠の精度により,鉛直方向荷重の2.5%と5%を推奨値としています。
(3)○正しい。水平部材を支える支柱は,床や梁等の水平部材に曲げ荷重が作用しないように,各階の上下で揃えなければなりません。
(4)○正しい。支保工の取り外し時期は,部材のコンクリート強度を確認して行わなければなりません。部材のコンクリート強度は現場養生を行ったコンクリート供試体の圧縮強度から推定します。

【No.110】

型枠に作用する側圧に関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)型枠に作用する側圧は,打ち込みの初期では,液圧として作用するものと見なして設計する。
(2)型枠に作用する側圧は,ある打ち込み高さで最大となり,それ以上コンクリートの高さが増加しても最大値は変わらないものと見なして設計する。
(3)型枠に作用する側圧の最大値は,打上がり速度が小さいほど大きくなる。
(4)型枠に作用する側圧の最大値は,コンクリート温度が高いほど小さくなる。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。型枠に作用する側圧は,打ち込みの当初は,液圧として作用します。型枠の設計にあたっては,打ち込み当初は,液圧が作用するものと見なして設計します。
(2)○正しい。通常の打ち込み速度で打ち込む場合,側圧は,ある打ち込み高さまでは,液圧として作用し上昇を続けます。しかし,コンクリートの凝結が始まる時間をこえて打ち込みを続けると,コンクリートの高さが増加しても最大値は変らなくなり,型伜の最下部の側圧は徐々に小さくなります。
(3)×誤り。側圧の最大値は,コンクリートの凝結時間と打上がり速度により決定します。すなわち,打ち上がり速度が遅ければ,打ち込み高さが高くなる前に凝結が始まるため,液圧として作用する時間が短くなり,側圧は小さくなります。
(4)○正しい。側圧の最大値は,凝結時間と打上がり速度により決定します。コンクリート温度が高い場合,コンクリートの凝結は速くなるため,側圧の最大値は小さくなります。
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