【過去問演習(3)No.131-135_施工】コンクリート技士 問題と解説

技士

【No.131】

マスコンクリートの,温度ひび割れ抑制対策に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)マスコンクリートの内部拘束による,ひび割れの対策として,保温性の高い型伜を使用した。
(2)マスコンクリートの内部拘束による,ひび割れの対策として,早期に型伜を取り外して散水し,冷却した。
(3)マスコンクリートの外部拘束による,ひび割れの対策として,コンクリートの打ち込み温度を低くした。
(4)マスコンクリートの外部拘束による,ひび割れの対策として,ひび割れ誘発目地を設置した。
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正解は(2)

【解説】
(1)○正しい。保温性のよい型枠を用いることで,表面部での温度降下速度を抑制し,内外部の温度差を小さくすることができるとともに,気温の変動による影響が緩和できます。とくに冬期施工では有効なひび割れ抑制対策の一つです。
(2)×誤り。型枠の早期取り外しや,散水による表面部の冷却は,内部,外部の温度差の増大につながり,これに伴う表面部の収縮変形が温度の高い内部のコンクリートに拘束されることで,表面部にひび割れが生じる場合があります。
(3)○正しい。コンクリートの最高温度は,打ち込み時のコンクリート温度が高いほど大きくなります。コンクリートは最高温度に達した後,周囲の環境温度に収束するまで降下します。この温度降下量が大きいほど,基礎地盤や既設コンクリート部材の拘束によって生じる外部拘束応力,(引張応力)も大きくなります。打ち込み温度を下げ,温度降下量を小さくすることは,外部拘束応力の低減に効果があります。
(4)○正しい。ひび割れ誘発目地とは,あらかじめ切欠きなどを設けた断面欠損部に,ひび割れを発生させるもので,外部拘束ひび割れの制御対策の一つです。

【No.132】

マスコンクリートの,温度ひび割れ制御対策に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)マスコンクリートの,温度ひび割れ制御対策として,単位セメント量を低減するために組骨材の最大寸法を小さくした。
(2)マスコンクリートの,温度ひび割れ制御対策として,ひび割れ幅を低減するために予測される,ひび割れと直交する方向の鉄筋量を増やした。
(3)マスコンクリートの,温度ひび割れ制御対策として,壁状構造物の外部拘東による,ひび割れ発生位置を制御するために,ひび割れ誘発目地を璧の高さとほぼ同じ間隔で設けた。
(4)マスコンクリートの,温度ひび割れ制御対策として,ひび割れの発生を抑制するために,保温性の高い型枠の存置期間を長くした。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。粗骨材の最大寸法を小さくすると,同じスランプを得るための単位水量は増加します。したがって,水セメント比が同じであれば,単位セメント量も増加することになります。
(2)○正しい。壁の外部拘束による温度ひび割れは,鉛直方向(主筋方向)に生じます。このひび割れ幅を抑制する方法として,水平方向(配力筋方向)の鉄筋量を増やす方法があります。
(3)○正しい。ひび割れ発生位置を制御する方法として,ひび割れ誘発目地があります。土木学会示方書設計編では,誘発目地の間隔は,部材の高さの1~2倍程度とするのがよいとしています。
(4)○正しい。保温性のよい型枠を用いることで,表面部での温度降下速度を抑制し,内外部の温度差を小さくすることができるとともに,気温の変動による影響が緩和できます。とくに,冬期施工では有効なひび割れ抑制対策の一つです。

【No.133】

流動化コンクリートに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)ベースコンクリートのスランプを8cm,流動化後のスランプを21cmとした。
(2)流動化コンクリートの単位水量を,流動化後と同じスランプの,一般のコンクリートと同等とした。
(3)流動化コンクリートの細骨材率を,ベースコンクリートと同じスランプの,一般のコンクリートと同等とした。
(4)打ち込みが完了するまでの時間を,現場において流動化した後,20分以内とした。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。ベースコンクリートからのスランプの増加量が過大であると,材料分離等が生じやすくなります。そのため,流動化剤の添加によるスランプの増加量は10cm以下が原則です。
(2)×誤り。流動化コンクリートは,流動化剤の添加により,単位水量を増加させることなくスランプを増大させて施工性を改善したり,単位水量を減じてコンクリートの品質改善を図るものです。すなわち,流動化後と同じスランプの,一般のコンクリートよりも,単位水量は小さくできます。
(3)×誤り。流動化コンクリートは,流動化後のスランプと同じスランプの,一般のコンクリートに比べて,セメントペースト量が少ないため,材料分離が生じやすいです。そのため,流動化前のベースコンクリートの細骨材率は,やや高めにしておくのがよく,一般には,流動化後のスランプと同じスランプの,一般のコンクリートの細骨材率を使用するのがよいです。
(4)○正しい。流動化コンクリートの流動化剤添加後からの,スランプの経時的な低下量は,通常のAE減水剤を用いたコンクリートに比べて大きいです。そのため,流動化コンクリートは流動化後,20~30分以内に打ち込みを完了させるのが望ましいです。

【No.134】

高流動コンクリートの施工計画に関する次の記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)高流動コンクリートの施工計画において,土木学会示方書に従って,打ち込み時の自由落下高さを8mとして計画した。
(2)高流動コンクリートの施工計画において,JASS5に従って,自由流動距離を8mとして計画した。
(3)高流動コンクリートの施工計画において,型枠に作用する側圧を液圧として型枠を設計した。
(4)高流動コンクリートの施工計画において,圧送時の管内圧力損失を一般のコンクリートよりも大きく設定した。
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正解は(1)

【解説】
(1)×誤り。土木学会示方書では,打ち込み時の高流動コンクリートの,最大自由落下高さは5m以下を標準としています。
(2)○正しい。高流動コンクリートは,1箇所から継続して打ち込むと,自由流動距離が長くなりすぎて材料分離が生じることがあります。そのため,JASS5では,自由流動距離は20m程度までとしています。なお,コンクリート標準示方書では,最大水平流動距離として,8m以下を標準としています。
(3)○正しい。高流動コンクリートでは,単位水量を過度に大きくせずに,流動性を高めるために高性能AE減水剤等を使用します。高性能AE減水剤はコンクリートの凝結を遅延させる効果があるため,型枠に作用する側圧は通常のコンクリートよりも大きくなります。そのため,型枠は液圧として設計するのが原則です。
(4)○正しい。高流動コンクリートは塑性粘度が大きいため,コンクリートポンプ圧送時の負荷は,一般のコンクリートに比べて大きいです。とくに,粉体系は単位結合材量が多くなるほど,圧送負荷が増加します。

【No.135】

高流動コンクリートに関する次の一般的な記述のうち,不適当なものはどれか。
(1)スランプフローの保持性能に優れた配合にすると,凝結時間は長くなる。
(2)材料分離抵抗性を付与する方法によって,粉体系,増粘剤系,および,併用系に分類される。
(3)自己充填性を高めるには,実積率の小さい粗骨材を用いることが有効である。
(4)増粘剤は,セメントペーストや水の粘性を高めて,材料分離抵抗性を付与する。
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正解は(3)

【解説】
(1)○正しい。高流動コンクリートのスランプフローの保持性は,高性能AE減水剤の種類(遅延形の使用など)や,添加量を適切に定めて調整するのが一般的です。保持性に優れる配合のコンクリートは,凝結時間が長くなる傾向があります。
(2)○正しい。高流動コンクリートには,水粉体比の減少(粉体量の増加)によって,適正な材料分離抵抗性を付与する粉体系,増粘剤の混和によって材料分離抵抗性を付与する増粘系,水粉体比の減少(粉体量の増加)による材料分離抵抗性の付与とともに,増粘剤を加えてフレッシュコンクリートの品質安定性を高める併用系の3種類があります。
(3)×誤り。高流動コンクリートの自己充填性は,骨材粒子の形状や粒度分布に左右されます。自己充填性を向上させるには,実積率の大きい粗骨材を用いるのがよいです。
(4)○正しい。増粘剤は,セメントペーストの粘性を高め,材料分離抵抗性を向上させるために使用されます。なお,増粘剤には,増粘効果が比較的小さくコンクリートの流動性の変動を抑える効果に主眼を置いたものなどもあるので,増粘剤の種類ごとの特徴を十分に理解して選定することが重要です。
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