青緑色の発色とは
高炉スラグに含まれる硫化物が酸化していない状態の色=青緑色=品質に問題はありません。
コンクリート診断士試験2007年No.39の選択肢について、備忘録として掲載します。
問題文(2007年No.39)
コンクリート構造物の調査において確認された変状や変色に対する評価・判断として、次のうち不適当なものはどれか。
- コンクリート表面に明褐色のエフロレッセンスの析出が確認されたので、鋼材の腐食の有無を調べた。
- コンクリート表面に発生したひび割れから光沢を有する白色の析出物が確認されたので、骨材のアルカリシリカ反応性の有無を調べた。
- コンクリートの内部が青緑系の色を呈していたので、高炉セメントが使用されていたと判断した。
- 火害を受けたコンクリート表面が淡黄色に変色していたので、受熱温度は300℃程度と判断した。
正解(4)
少し詳しく見ていきます
- 明褐色=さび汁の色、という判断で鋼材の腐食(さび)が懸念されます。正しい。
- 光沢を有する白色の析出物=アルカリシリカゲル、と判断されるため、アルカリシリカ反応の有無を調査。正しい。
- 高炉セメントには、高炉スラグが含有されています。高炉スラグは、製鉄業から大量に発生する副産物です。この高炉スラグに含まれる主な成分は、石灰(CaO)およびシリカ(SiO2)です。また、硫化物(S)も含まれていますが、その硫化物が原因となり、コンクリートの内部が青緑色に呈色する場合があります。この青緑色は、高炉セメントに含まれる硫化物の還元色で、これが空気にさらされるなどして酸化すると青緑色から白色に変化します。高炉セメントを用いたコンクリート構造物の表面が、型枠脱型直後に青緑色を呈するという現象がみられる場合がありますが、これは、型枠脱型直後はコンクリートに含まれる硫化物が酸化しておらず、還元色(青緑色)を呈していることに起因します。そのため、型枠脱型後、一定期間(1週間程度)が過ぎると硫化物が酸化し、白色に変化するため、自然なコンクリートの色になります。正しい。
- 淡黄色は、受熱温度が950~1200℃の場合、現れる。誤り。
以上、備忘録までに記しました。