【一級土木施工管理技士】過去問演習(No.96~100)

【No.96】

コンクリート用骨材に関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)アルカリシリカ反応を生じたコンクリートは特徴的なひび割れを生じるため,その対策としてアルカリシリカ反応性試験で区分A「無害」と判定される骨材を使用する。
(2)細骨材中に含まれる多孔質の粒子は,一般に密度が小さく骨材の吸水率が大きいため,コンクリートの耐凍害性を損なう原因となる。
(3)JlSに規定される再生骨材Hは,通常の骨材とほぼ同様の品質を有しているため,レディーミクストコンクリート用骨材として使用することが可能である。
(4)砕砂に含まれる微粒分の石粉は,コンクリートの単位水量を増加させ,材料分離が顕著となるためできるだけ含まないようにする。
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正解は(4)

【解説】
(1)〇正しい。アルカリシリカ反応は,コンクリートの細孔溶液中のアルカリと骨材からシリカが反応して生成したアルカリシリカゲルが吸水膨張してひび割れ等を生じさせます。
(2)〇正しい。細骨材中に含まれる多孔質の粒子は,一般に密度が小さく骨材の吸水率が大きいため,コンクリートの耐凍害性を損なう原因となります。
(3)〇正しい。再生骨材Hは,構造物などの解体工事によって生じたコンクリート塊から造られた骨材で,レディーミクストコンクリート用骨材として使用することが可能です。
(4)×誤り。砕砂に含まれる微粒分の石粉は,適度な粉末度,混入量であれば強度の増進やワーカビリティーの改善効果があります。

【No.97】

コンクリート用混和材に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)フライアッシュを適切に用いると,コンクリートのワーカビリティーを改善し単位水量を減らすことができることや初期強度の増進などの効果がある。
(2)膨張材を適切に用いると,コンクリートの乾燥収縮や硬化収縮に起因するひび割れの発生を低減するなどの効果がある。
(3)高炉スラグ微粉末を適切に用いると,コンクリートの湿潤養生期間を短くすることができることや,コンクリートの長期強度の増進などの効果がある。
(4)石灰石微粉末を適切に用いると,ブリーディングの抑制やアルカリシリカ反応を抑制するなどの効果がある。
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正解は(2)

【解説】
(1)×誤り。フライアッシュを適切に用いると,水和反応による発熱を抑えられますが,初期強度は小さくなります。
(2)〇正しい。膨張材を適切に用いると,コンクリートの乾燥収縮や硬化収縮に起因するひび割れの発生を低減するなどの効果があります。
(3)×誤り。高炉スラグ微粉末を適切に用いると,耐久性の改善とワーカビリティーが向上しますが,十分な養生温度と湿潤養生期間が必要です。
(4)×誤り。石灰石微粉末にはアルカリシリカ反応の抑制効果はありません。

【No.98】

コンクリートの打ち込みに関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)コンクリートの1層当たりの打ち込み高さは,棒状バイブレータの振動部分の長さよりも大きくなるようにする。
(2)コンクリートを2層に打ち重ねる部位の締め固めについて,下層側のコンクリートの過剰締め固めを起こさぬようにするため,上層側のコンクリートの締め固めでは,振動機を下層側のコンクリートに入らないようにする。
(3)コールドジョイントの発生を防止するため,壁とスラブの連続した部分のコンクリートを連続して打ち込むようにする。
(4)コンクリートを2層以上に分けて打ち込む場合,上層と下層が一体となるように施工しコールドジョイントが発生しないよう外気温による許容打重ね時間間隔を定めるようにする。
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正解は(4)

【解説】
(1)×誤り。コンクリートの1層当たりの打ち込み高さは,棒状バイブレータの振動部分が下層部分に貫入するように振動部分の長さよりも小さくなるようにします。
(2)×誤り。コンクリートを2層に打ち重ねる部位の締め固めについて,上層側のコンクリートの締め固めでは,振動機を下層側のコンクリートに10cm程度入るようにします。
(3)×誤り。壁とスラブの連続した部分のコンクリートは,沈下ひび割れを防止するため壁の部分のコンクリートの沈下収縮がほぼ終了してからスラブを打ち込むようにします。
(4)〇正しい。コンクリートを2層以上に分けて打ち込む場合,上層の打ち込みは下層が固まり始める前に行い,上層と下層が一体となるように施工します。外気温か高いと硬化が早まりコールドジョイントが発生し易いので,外気温による許容打重ね時間間隔を定めるようにします。

【No.99】

暑中コンクリートに関する次の記述のうち,適当でないものはどれか。
(1)暑中コンクリートでは,練上がり温度の10もの上昇に対し,所要のスランプを得るための単位水量が2~5%増加する傾向にある。
(2)暑中コンクリートでは,練り混ぜ後できるだけ早い時期に打ち込まなければならないことから,練り混ぜ開始から打ち終わるまでの時間は1.5時間以内を原則とする。
(3)暑中コンクリートは,最高気温が25℃を超える時期に施工することが想定される場合に適用される。
(4)暑中コンクリートは運搬中のスランプの低下・連行空気量の減少・コールドジョイントの発生防止のため打ち込み時のコンクリート温度の上限は35℃以下を標準としている。
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正解は(3)

【解説】
(1)〇正しい。暑中コンクリートでは,所要のスランプを得るための単位水量と練上がり温度には一定の関係があります。また,コンクリート温度が高くなると,スランプや空気量の経時変化も大きくなる場合が多いです。
(2)〇正しい。暑中コンクリートでは,スランプは時間の経過に伴って低下しやすいため,練り混ぜ開始から打ち終わるまでの時間は,1.5時間以内を原則とします。
(3)×誤り。暑中コンクリートは,最高気温ではなく,日平均気温か25℃を超える時期に施工することが想定される場合に適用されます。
(4)〇正しい。暑中コンクリートは運搬中のスランプの低下・連行空気量の減少・コールドジョイントの発生防止のため打ち込み時のコンクリート温度の上限は35℃以下を標準としています。

【No.100】

コンクリート構造物の温度ひび割れの抑制に関する次の記述のうち,適当なものはどれか。
(1)マスコンクリートの養生では,コンクリート温度をできるだけ緩やかに外気温に近づけるようにし,必要以上の散水は避ける。
(2)コンクリートの練上がり温度を下げるためには,骨材の温度を下げるよりも,練り混ぜ水の温度を下げる方が効果は大きい。
(3)マスコンクリートのパイプクーリングにおいて通水する水は,冷却効果を高めるためにできるだけ温度を下げておくことが望ましい。
(4)ひび割れ誘発目地を設ける場合は,目地部のひび割れ幅が過大とならぬよう,断面欠損率をできるだけ小さく設定することが望ましい。
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正解は(1)

【解説】
(1)〇正しい。マスコンクリートの養生では・必要以上の散水を行いコンクリート表面の温度を低下させると,ひび割れの発生を助長させることがあります。
(2)×誤り。コンクリートの練上がり温度を下げるためには,練り混ぜ水の温度を下げるよりも,大量の熱エネルギーを保有している骨材の温度を下げる方が効果は大きいです。
(3)×誤り。マスコンクリートのパイプクーリングにおいて通水する水は,温度が低すぎると,部材間及びパイプ周囲での温度差が大きくなり,ひび割れの発生を助長することがあります。
(4)×誤り。ひび割れ誘発目地は,目地間隔をコンクリート部材の高さの1~2倍程度とし,その断面欠損率を50%程度以上とすることで確実にひび割れを誘発できる場合が多いです。
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