【コンクリート主任技士過去問解説】平成23年度No6~10

主任技士過去問解説

コンクリート主任技士過去問 問題と解説

【平成23年度―問題6】

 回収水に関する次の記述のうち、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)および同付属図書C(レディーミクストコンクリートの練混ぜに用いる水)の規定に照らして、不適当なものはどれか
(1)スラッジ水の使用にあたり、単位セメント量に対するスラッジ固形分の質量の割合を3%以下とした。
(2)練混ぜ水として上水道水以外の水と上澄水とを混合して用いる場合、それぞれの水が、混合する前のそれぞれの規定に適合していることを確認した。
(3)呼び強度30のコンクリートの練混ぜ水として、スラッジ水を使用した。
(4)スラッジ固形分率を1.5%とし、スラッジ水に含まれるスラッジ固形分を水の質量に含めてコンクリートの配(調)合を計算した。
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正解(4)

(1)問題の通りです。JASS5では、スラッジ水の使用にあたり、単位セメント量に対するスラッジ固形分の質量の割合を、3%以下とすることが規定されています。
(2)問題の通りです。練混ぜ水として上水道水以外の水と上澄水とを混合して用いる場合、それぞれの水が、混合する前のそれぞれの規定に適合していることを確認する必要だあります。
(3)問題の通りです。JASS5では、計画供用期間が長期の級のコンクリート、および、高強度コンクリートでは、回収水を使用しないよう定めていますが、呼び強度30は、36を超える高強度コンクリートには該当しませんので、スラッジ水を使用することができます。
(4)誤りです。スラッジ固形分率の限度は、以下と規定されています。
①スラッジ水を用いる場合には、スラッジ固形分率が3%を超えてはならない。なお、レディーミクストコンクリートの配合において、スラッジ水中に含まれるスラッジ固形分は、水の質量には含めない。
②スラッジ固形分率を1%未満で使用する場合には、スラッジ水は練混ぜ水の全量に使用し、かつ、濃度の管理期間ごとに1%未満となるよう管理しなければならない。なお、このスラッジ固形分率を1%未満で使用する場合には、スラッジ固形分を水の質量に含めてもよい。

【平成23年度―問題7】

 一般のコンクリートの配(調)合に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか
(1)単位水量および単位セメント量が等しい条件では、細骨材の粗粒率が小さい場合や細骨材率が大きい場合には、スランプは小さくなる。
(2)単位セメント量が大きい場合やコンクリートの練上がり温度が高い場合には、空気量は大きくなる。
(3)単位セメント量が小さい場合や細骨材率が小さい場合には、コンクリート圧送時に材料分離が生じやすくなるため、輸送管内で閉塞が生じやすい。
(4)細骨材の最大寸法が大きい場合には、同じスランプのコンクリートを得るための単位水量を小さくすることができる。
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正解(2)

(1)問題の通りです。細骨材の粗粒率が小さい場合や、細骨材率が大きい場合は、コンクリート中の微粒分が大きくなります。微粒分が大きいと、もったりとしたコンクリートが練り上がるため、スランプが小さくなります。
(2)誤りです。単位セメント量が大きい場合やコンクリートの練上がり温度が低い場合には、コンクリートの粘度が大きくなるため、空気保持性能が高くなり、空気量が大きくなります。
(3)問題の通りです。単位セメント量が小さいと、材料分離抵抗性が低くなります。また、細骨材率が小さい場合、つまり、粗骨材率が大きい場合、材料分離が生じやすく、ポンプ圧送の際の閉塞などに注意する必要があります。
(4)問題の通りです。細骨材の、最大寸法が大きい場合は、コンクリートの流動性が高くなるため、同じスランプのコンクリートを得るための単位水量は、小さくすることができます。

【平成23年度―問題8】

 下表のように計画した配(調)合のコンクリートの試し練りの結果、フレッシュコンクリートの単位容積質量が2326kg/m3であった。このコンクリートの空気量として、適当なものはどれか。ただし、セメントの密度は3.15g/cm3、細骨材の表乾密度は2.61g/cm3、粗骨材の表乾密度は2.66g/cm3とする。
セメント 細骨材 粗骨材
(kg/m3) (kg/m3) (kg/m3) (kg/m3)
170 340 718 1056
(1)5.1%
(2)4.9%
(3)3.2%
(4)1.8%
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正解(1)

 単位容積の合計が1m3として、密度と単位質量から計算します。

【平成23年度―問題9】

 下表のコンクリートの配(調)合に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。ただし、セメントの密度は3.15g/cm3、砂の表乾密度は2.58g/cm3、砂利の表乾密度は2.64g/cm3、砕石の表乾密度は2.64g/cm3とし、砂と砂利の容積比は4:6とする。
水セメント比(%) 空気量(%) 細骨材率(%) 単位量(kg/m3)
セメント 砂利 砕石
55.5 4.5 166 1029
(1)コンクリートの単位容積質量は、2305kg/m3である。
(2)砂の単位量は、366kg/m3である。
(3)砂利の単位量は、480kg/m3である。
(4)細骨材率は、44.1%である。
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正解(1)

 (1)から(4)の数値を入れてみて、単位容積の合計が1m3となるような値を探します。(1)が正解となってくれるのは、出題者の思いやりかもしれません・・・。

【平成23年度―問題10】

 下図は、ビンガム体と仮定した3種類のフレッシュコンクリート(A)~(C)のせん断応力と流動速度(せん断ひずみ速度)との関係を模式的に示したものである。フレッシュコンクリート(A)~(C)と、図中のア~ウの組合わせとして、適当なものはどれか
(A)[普通 27 12 20 N]のレディーミクストコンクリート
(B)流動化後のスランプが18cmの流動化コンクリート
(C)スランプフローが60cmの高流動コンクリート
(A) (B) (C)
(1)
(2)
(3)
(4)
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正解(3)

 横軸の「せん断応力」の切片が、小さいほど軟らかいコンクリート、つまりグラフの左側ほど軟らかいコンクリートです。
 高流動コンクリートは「ウ」、(A)と(B)のスランプを比べると、(A)が12cm、(B)が18cmです。グラフから「イ」はスランプが小さい(A)、「ア」は(B)です。

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