【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.86)総合問題14

コンクリート診断士 問題と解説Vol.86

 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問411_ひび割れ】

 北陸地方にある無筋コンクリート製堤防のパラペット部において、方向性のない幅約1cmのひび割れが生じていた。ひび割れの起因に関する次の記述のうち、適当なものはどれとどれか
(1)コールドジョイントを起因とすると推察した。
(2)気温変化および日射による温度応力を起因とすると推察した。
(3)塩害を起因とすると推察した。
(4)アルカリシリカ反応を起因とすると推察した。
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正解(4)

(1)×:誤りです。コールドジョイントは、打ち重ね部分の締め固めが不十分となり、一体化が充分になされなかった場合に生じます。そのため、ひび割れが、水平に生じるなどの、方向性が表れます。
(2)×:誤りです。コンクリート製堤防は、マスコンクリートであるため、気温の変化や、日射による温度応力によって、ひび割れが生じることは、考えられません。
(3)×:誤りです。無筋コンクリートは、腐食する鉄筋が無いため、塩害による劣化は生じません。
(4)〇:問題のとおりです。アルカリシリカ反応により、コンクリート内部が膨張することで、方向性のないひび割れが生じる可能性があります。無筋コンクリートは、ひび割れを抑制する鉄筋が無いため、ひび割れが生じやすくなります。

【問412_ひび割れ】

 RC構造物の外壁に生じたポップアウトに関する次の記述のうち、不適当なものはどれとどれか
(1)さび汁を伴うポップアウトが生じていたので、この変状は、骨材中に含まれる、黄鉄鉱に起因していると推察した。
(2)黄鉄鉱を起因とする、さび汁を伴うポップアウトが生じていたので、アルカリシリカ反応生成物の供給が多かったため、さび汁が滲出したと推察した。
(3)ローモンタイトは乾湿の繰返しによって鉱物が転移・膨張し、これを含む骨材を使用すると、コンクリート表面の乖離やポップアウトなどの原因となる。
(4)凍結融解作用が懸念される地域で、表面に軽いスケーリングに加えポップアウトが多数発生していたので、コンクリート中の粗骨材の品質に起因した凍害の可能性が高いと判断した。
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正解(2)

(1)〇:問題のとおりです。さび汁を伴うポップアウトは、骨材中に含まれる、黄鉄鉱に起因することが多いです。
(2)×:誤りです。黄鉄鉱を起因とするポップアウトは、水分の供給が多い場合、さび汁が滲出します。
(3)〇:問題のとおりです。ローモンタイト(濁沸石)は乾湿の繰返しにより吸水・脱水します。また、脱水時に粉化してコンクリートを劣化させます。
(4)〇:問題のとおりです。凍害によるポップアウトは、コンクリート中の粗骨材の品質に起因します。粗骨材の吸水率は5%以上で凍害が生じやすくなります。JISでは、粗骨材の吸水率は3.0%以下とすることが規定されています。

【問413_劣化】

 1980年に施工されたRC橋脚の張出し部に劣化が生じていた。劣化部の鉄筋をはつり出したところ、せん断補強筋の曲げ加工部の内側に、亀裂が生じていた。個の劣化の原因に関する次の記述のうち、適当なものはどれとどれか
(1)活荷重による鉄筋の疲労を起因とすると推察した。
(2)コンクリートのクリープを起因とすると推察した。
(3)セメントの水和熱を起因とすると推察した。
(4)コンクリートのアルカリシリカ反応を起因とすると推察した。
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正解(4)

(1)×:誤りです。床版では、活荷重による鉄筋の疲労が生じやすいですが、張出し部では、生じません。
(2)×:誤りです。クリープは、コンクリートに一定の荷重がかかり、ひずみが増える現象です。橋脚の張り出し部の、せん断補強筋には、影響しません。
(3)×:誤りです。水和熱によりコンクリートが膨張する場合、コンクリートが充分に硬化しておらず、鉄筋だけが破断するような状況は発生しません。
(4)〇:問題のとおりです。アルカリシリカ反応により、内部からの膨張圧力が作用し、せん断補強筋の曲げ加工部の内側を、破断させることがあります。

【問414_維持管理】

 鋼単純I桁橋の、RC床版の取替に関する次の記述のうち、不適当なものはどれとどれか
(1)RC床版の撤去にあたっては、事前に桁高やフランジの形状に着目して、桁の種別を特定する必要がある。
(2)合成桁は曲げモーメントの作用に対して、RC床版と鋼桁が一体で挙動する。
(3)合成桁は非合成桁よりも、一般に、スパン長に対して桁高が比較的高い。
(4)合成桁では床版取替時には、桁の横倒れ座屈なども懸念されるため、補強や仮設桁による支持も検討する。
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正解(3)

(1)〇:問題のとおりです。RC床版の撤去にあたっては、事前に桁高やフランジの形状に着目して、桁の種別を特定する必要があります。
(2)〇:問題のとおりです。合成桁は曲げモーメントの作用に対して、RC床版と、鋼桁が一体で挙動します。
(3)×:誤りです。合成桁は桁の耐力に、床版の耐力を加算することができるため、一般に、非合成桁よりも、スパン長に対して、桁高が、比較的低くなります。
(4)〇:問題のとおりです。合成桁では床版取替時には、桁の横倒れ座屈なども懸念されるため、補強や仮設桁による支持も検討する必要があります。

【問415_火害】

 石灰石骨材を使用したRC造建築物の火害調査に関する次の記述のうち、不適当なものはどれとどれか
(1)コンクリート表面に煤(すす)が全面に付着していたため、受熱温度は300℃以下であると評価した。
(2)コンクリート表面が淡黄色に変色していたため、受熱温度は950℃以上であると評価した。
(3)コンクリートが火災によって中性化が進行していたため、受熱温度は200~400℃であると評価した。
(4)石灰石骨材が脆弱化して露出していたため、受熱温度は600℃以上であると評価した。
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正解(3)

(1)〇:問題のとおりです。コンクリート表面に煤(すす)が前面に付着していた場合、受熱温度は、300℃以下であると評価できます。
(2)〇:問題のとおりです。コンクリート表面が淡黄色に変色していた場合、受熱温度は950℃以上であると評価できます。
(3)×:誤りです。受熱温度が、500℃程度となると水酸化カルシウムが熱分解することにより、中性化が生じますが200~400℃では中性化しません。
(4)〇:問題のとおりです。石灰石は火災の熱に対する抵抗性が低く、600℃以上になると脆弱化し、露出する可能性があります。
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