【診断士の問題と解説】1日5問!(Vol.41)鉄筋腐食、配合推定

コンクリート診断士 問題と解説Vol.41

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 このページの問題を一問一答形式の動画としてまとめました。復習用にご活用ください。通勤中や運動中に最適です。

【問201_鉄筋腐食】

 コンクリート中の鉄筋腐食に関する推定方法について、次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)コンクリート表面で内部鉄筋の自然電位を測定するため、入力抵抗のできるだけ小さな直流電圧計を使用した。
(2)鉄筋の自然電位の測定のために、カロメル電極の先端に硫酸銅溶液をしみこませたスポンジをコンクリート表面に押し当てた。
(3)鉄筋の分極抵抗の測定の前処理として、コンクリート表面を湿布で覆い、コンクリートを湿らせた。
(4)コンクリート表面に浮き水が生じるまで十分散水し、速やかにコンクリートの電気抵抗を測定した。
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正解(3)

(1)誤りです。自然電位法を行う際の注意点として、強い電流を流すと鉄筋の腐食が進行してしまうため、なるべく弱い電流で測定することが求められます。そのため、入力抵抗を100MΩと大きく、分解能が1mV以下の直流電圧計を使用します。
(2)誤りです。自然電位の照合電極には、飽和硫酸銅電極(CSE)、飽和塩化銀電極(SSE)、鉛電極(PRE)、飽和カロメル電極(SCE)が用いられます。ここで、電極の先に硫酸銅溶液をしみこませたスポンジは用いません。分極抵抗法の測定で、コンクリート表面の照合電極の先端に、水をしみこませたスポンジを用いる点と区別してください。
(3)問題のとおりです。鉄筋の分極抵抗の測定では、電極の先端を水で含水させたスポンジをコンクリート表面の測定点に押し当てて測定を行います。
(4)誤りです。コンクリート表面が水で覆われているような場合には、コンクリートの電気抵抗を正しく測定することはできません。

【問202_鉄筋腐食】

 コンクリート中の鉄筋腐食の調査に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか
(1)鉄筋の腐食速度を矩形波電流分極法で推定した。
(2)鉄筋の腐食速度を交流インピーダンス法で推定した。
(3)鉄筋の腐食範囲を自然電位法で推定した。
(4)鉄筋の腐食範囲を磁粉探傷法で推定した。
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正解(4)

(1)問題のとおりです。鉄筋の、腐食速度の推定には、分極抵抗法を用います。分極抵抗法には、直流法と、交流法がありますが、主に交流法を用います。交流法には、交流インピーダンス法、矩形波電流分極法があります。
(2)問題のとおりです。分極抵抗法は、交流電流を用いた交流インピーダンス法が一般的に用いられます。
(3)問題のとおりです。鉄筋の腐食範囲の推定には、自然電位法を用います。
(4)誤りです。磁粉探傷法は、鉄筋などの強磁性体を磁化することで、表面に生じたきずに磁粉を付着させ、きずを肉眼で容易に確認できるようにする方法です。

【問203_配合推定】

 硬化コンクリートの配(調)合分析に関する次の記述のうち、適当なものはどれか
(1)フッ化水素酸を用いる方法は、石灰石骨材を使用したコンクリートには適用できない。
(2)塩酸を用いる方法では、微粉砕した試料を塩酸で処理して求めた酸化ケイ素量からセメント量を計算する。
(3)誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP)を用いる方法は、セメント構成成分中の酸化アルミニウムに着目したものである。
(4)グルコン酸ナトリウムを用いる方法は、この溶液がセメント水和物を溶解し石灰石骨材をほとんど溶解しない性質を利用したものである。
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正解(4)

(1)誤りです。フッ化水素酸を用いた方法は、コンクリート試料を完全に分解し、酸化カルシウム量を求める試験です。石灰石骨材を用いたコンクリートにも適用できます。フッ化水素酸を用いた方法では、骨材の酸化カルシウム量の推定に、偏光顕微鏡を用います。
(2)誤りです。塩酸を用いるのは、セメント協会法と呼ばれます。セメント量を推定するためには、セメント中の酸化カルシウム量を定量します。石灰石骨材や貝殻を含んだ海砂を使用したコンクリートでは、骨材中のカルシウム成分と区別がつかないため、適用できません。
(3)誤りです。ICP法は、セメント成分のうち酸化カルシウムに次いで量が多く、変動が少ない、可溶性シリカを定量する方法です。石灰石骨材や貝殻を含んだ海砂を使用したコンクリートにも適用できます。
(4)問題のとおりです。グルコン酸ナトリウム法は、セメント協会法の欠点である、石灰石骨材や貝殻を含んだ海砂には適用できないことの解消を図った方法です。

【問204_配合推定】

 硬化コンクリートの配合推定をセメント協会法により行う場合に、骨材量、セメント量および結合水量を推定するために必要な測定項目の組合せとして、次のうち、適当なものはどれか
骨材量 セメント量 結合水量
(1) 炭酸カルシウム量 酸化カルシウム量 600℃における強熱減量
(2) 炭酸カルシウム量 600℃における強熱減量 酸化カルシウム量
(3) 不溶残分量 酸化カルシウム量 600℃における強熱減量
(4) 不溶残分量 600℃における強熱減量 酸化カルシウム量
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正解(3)

 セメント協会法は、まず硬化コンクリートを微粉砕して粒度調整を行います。この資料の一部を600±50℃の電気炉で強熱減量し、質量減から結合水量を算出します。
 次に粒度調整した試料に塩酸を加え、溶解した試料をろ過し、ろ液をEDTA標準液を用いた滴定により、酸化カルシウム量を定量し、セメント量を算出します。
 残留物は、1000±50℃の電気炉で強熱し、強熱後の質量から骨材量を算出します。

【問205_配合推定】

 セメント協会法による硬化コンクリートの配(調)合の推定方法に関する記述中の(A)~(C)にあてはまる次の語句の組合せのうち、適当なものはどれか
 セメント協会法は、コンクリートを105μmふるいを全通する程度に微粉砕した試料を塩酸(約0.1N程度)で処理した後、(A)および(B)を定量し、これらの値からそれぞれ骨材量およびセメント量を推定する方法である。なお、(C)を用いたコンクリートは、適用できない。
(A) (B) (C)
(1) 強熱減量 二酸化けい素 安山岩骨材
(2) 不溶残分 二酸化けい素 石灰石骨材
(3) 強熱減量 酸化カルシウム 安山岩骨材
(4) 不溶性分 酸化カルシウム 石灰石骨材
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正解(4)

 セメント協会法は、まず硬化コンクリートを微粉砕して粒度調整を行います。この資料の一部を600±50℃の電気炉で強熱減量し、質量減から結合水量を算出します。
 次に粒度調整した試料に塩酸を加え、溶解した試料をろ過し、ろ液をEDTA標準液を用いた滴定により、酸化カルシウム量を定量し、セメント量を算出します。
 残留物は、1000±50℃の電気炉で強熱し、強熱後の質量から骨材量を算出します。
 なお、石灰石骨材や貝殻を含んだ海砂を使用したコンクリートでは、セメント中と骨材中のカルシウム成分の区別がつかないため、適用できません。
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